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初級回復魔法しか使えないようにされた上に追放された法術士の私が、虹の聖女と呼ばれるまでの物語  作者: 衣谷強
赤の章

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第七十五話 怒りを求めて

新たな付与の修行に初めて失敗したアルクス。

課題である『怒り』について、考えを巡らせますが……?


どうぞお楽しみください。

「あの、ウィンクトゥーラさん」

「何かしら?」

「ウィンクトゥーラさんが怒る時ってどんな時ですか?」

「そうねぇ……。やっぱり大事な人を傷付けられた時かしら」

「成程……」


 修行失敗の翌日。

 何とか習得のきっかけがもらえたら、とウィンクトゥーラさんに聞いてみたけど、聞いてよかった!

 確かに自分がされた事より、大事な人がされた事の方が頭にくるもんね。

 ポルポラさんがルームスにひどい事を言われた上に追放された時は、私がされた時より腹が立ったもん!


「でも急にそんな事聞いてどうしたの?」

「あの、次の付与の修行に、すごく怒った気持ちが必要みたいで……」

「そうなの。アルクスちゃんには大変かもしれないわね」

「はい、難しいです……」


 何か他に方法ないのかな?

 何もかもを壊したくなるほど怒るなんて、考えた事もないし……。


「参考になるかわからないけど、私はポルポラが顔に傷を負って帰ってきた時、凄く凄く怒ったわ」

「そうですよね……」


 私でさえすごく腹が立ったんだから、妹も同然のポルポラさんがあんな目に遭わされた時のウィンクトゥーラさんの怒りはどれほどだっただろう。


「でもそれは傷を作った酸蜥蜴さんとかげや化け物と言った貴族以上に、何とかしてあげたいのにどうしようもない自分に、その怒りは向いていたの」

「……はい」


 そうか……。

 私も似たような気持ちになった……。

 ポルポラさんの気持ちを考えず、無理して頑張ってるのを『元気そうだな』って思った自分に……。


「でもアルクスちゃんが治してくれたおかげで、その怒りは消えちゃいそうなくらい小さくなったの。ありがとうね、アルクスちゃん」

「い、いえ、そんな……! ありがとうございます……!」

「だから本当の怒りって、ただ嫌だった事よりも、するべき事をできなかった後悔だったり、大事なものを大事にできなかった気持ちが元になるんじゃないかしら」

「な、成程!」


 ただ怒るだけじゃなくて、その元まで考えれば、私にも本気で怒る事ができるかもしれない!

 青の初級回復魔法で、蛇に噛まれた人の治療を思い出す。

 あの時もし失敗していたら……。

 連れて来たお兄さんや、お家にいたお母さんはとても悲しんだだろう。

 ウィンクトゥーラさんは、私に治療を任せた責任を取らされただろう。

 救護院全体の評判を落とす事になったかもしれない……。

 そう考えたら……。


「うーん……」


 ……怖くて身震いはするけど、想像だけだと怒る気持ちにはならないなぁ。


「……やっぱり難しいですね……」

「でもそんな気持ち、持たないで済めば一番幸せかもしれないわ」

「え?」

「だってそれは、するべき事がちゃんとできて、大事なものをちゃんと大事にできてるって事じゃない? それは素敵な事よ」

「……そうかもしれないですね」


 青の初級回復魔法で治せない病気に効く付与。

 すごく気になるし覚えてもみたいけど、今の私にはきっと難しいんだろうな。

 だからもう少しゆっくり覚えたい。

 明日そう先生に話してみよう。

 きっと笑って許してくれるから……。

読了ありがとうございます。


このアルクスが心底怒る時は果たして来るのか……?


次回もよろしくお願いいたします。

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― 新着の感想 ―
[一言] アルクスが楽しみにしている肉を横から次々に掻っ攫って喰っちゃえば♥
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