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初級回復魔法しか使えないようにされた上に追放された法術士の私が、虹の聖女と呼ばれるまでの物語  作者: 衣谷強
黄の章

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第七十一話 アーテルへの誘い

ポルポラとロセウスから食べさせてもらった剣牙猪の肉に感激したアルクス。

アーテルにも食べさせたいと画策しますが……?


どうぞお楽しみください。

「先生! 剣牙けんが猪のお肉って美味しいんですよ!」

「うお、アルクス? 何だ急に」

「今日初めて食べたんですけど、すっごく美味しかったんです!」

「お、おう、そうか……」


 いつものように救護院の前で待っていた先生に、私は不意打ちをしかける!

 前は何だかうまい事はぐらかされたけど、今回こそは先生の秘密をあばく!

 そのためには先生の心を揺さぶって、気持ちの隙を作る!

 さぁ! いつもは救護院から出てくる私が後ろから来たから、びっくりしたでしょ!

 このまま美味しい剣牙猪のお肉と、ポルポラさんが先払いしてくれたお酒と、女将さんが用意してくれた奥まった個室で、先生の秘密を赤裸々にしてしまおう……!

 それにしてもこんなに先生の秘密をあばくのにぴったりな贈り物がもらえるなんて……!

 私には幸運の神様が付いてるのかもしれない!


「剣牙猪かぁ……。ぱさぱさしてて、あんまり好きじゃないんだよなぁ」


 な、何言ってんですかこのすっとこどっこい先生は!

 あんなに美味しいお肉は滅多に食べられるものじゃ……!


「!」


 ……ははぁん?

 先生は本当に美味しいお肉を知らないんですねぇ……?

 いいでしょう!

 私が感動で意識を手放すほどの美味しさを、先生にも味あわせてあげましょう!


「……まったく、先生もまだまだですね」

「え、何でお前に上から目線を向けられてるの?」

「私が本当の美味しさってやつを見せてあげますよ!」

「えぇ……? 牛の厚焼肉にびびってたお前が強気に出れる根拠は何だ……?」

「それは味わえばわかります! さぁついてきてください!」

「いや、剣牙猪の魔力かまど焼きだろ? 味の予想はつくし別に……」


 な!

 味の予想……!?

 そんなのできたって食べたくなるのが普通でしょ!?

 むしろできるからこそ食べたくなる……!

 今の私がそうだし……!


「!」


 ……成程。わかっちゃいました!

 前に美味しくないのを食べたから、それで剣牙猪のお肉は美味しくないと思い込んでいるんですね……?

 ふっふっふ……。

 可哀想な先生……。

 私がその悲しい思い込みを解いてあげます!


「まぁまぁ。絶対損はさせませんから! 騙されたと思ってついてきてください!」

「いや、騙されたくない。特にお前には」


 むー! 先生はいつも失礼!

 まったくもう! 騙すとか言葉のあやなのに!


「ほら! お礼ですから! 大人しくついてきてください!」

「お礼ってそんな強制するもんじゃないだろ……」

「いいから! 行きますよ!」


 先生の手を握って、私はアウラン食堂に向かう。

 秘密が知れるというわくわくだろうか。

 私の胸はどきどきと高鳴っているのでした。

読了ありがとうございます。


おててにぎって、あらあらうふふ。


次回もよろしくお願いいたします。

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― 新着の感想 ―
[一言] そうか!! アルクスは高回転型思考エンジン搭載型なんだ! 回転が早すぎて空回りの謎周回遅れ。 決してポンコツなんかじゃない
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