第六十八話 知る決意
タベッラを説得し、黄の初級回復魔法を付与した魔吸石を冒険者組合に渡す約束を取り付けたアルクス。
しかしそこで聞いたアーテルについての話に引っかかっていて……?
どうぞお楽しみください。
「よぉアルクス」
「……先生」
いつもの救護院の帰り。
私は一つの決意を胸に、先生を待っていた。
「どうしたどうした元気ないなー。また救護院にかつてお姉様だった方々が押し寄せたかー?」
「いえ、最近はみんな美肌になったので、ほとんど来なくなりました……」
私が振られたと誤解した人が、慰めの差し入れに来たりはするけど……。
「ふーん。じゃああれか? 黄の初級回復魔法を付与した魔吸石を製薬組合に断られたのかー?」
「……いえ、それはタベッラさんが引き受けてくれました」
……そう、そこで知ったんだ。
先生が知っている色々な知識。
その中の魔力かまどが、百二十年も前の本に『古代の遺跡から出てきた』って書いてあった事を……。
そんな大昔の技術を、まるで当たり前の事みたいに語る先生……。
「そりゃ良かったなー。じゃあ他に何か気になる事でもあるのか?」
「……はい、あの、先生に聞きたい事があります」
先生はいい人だと信じてるけど、知らない事が多すぎるんだよね。
どうして法術や魔術の事に詳しいのか。
何で仮面をずっと被っているのか。
どこから来たのか。
前に暇つぶしって言ってたけど、その後は何をしようとしているのか……。
少しでも知れたら……。
「何だ? 女の好みか?」
「ふぇ!?」
お、女の人の好み!?
そういうの聞いたら教えてくれるの!?
き、聞いてみたい……!
「ど、どんな人が好みなんですか?」
「俺は女の好みにはうるさいぞー? まず年下でー」
年下!
うん、それで!?
「目の数が二個以下でー」
目の数が二個以下!
……ん?
「鼻と口が一つずつでー」
……まさか、先生また……!
「手足の合計が四本以下な女が好みだな」
「その条件に外れたら人間じゃないですよね!」
またからかわれた!
もう! 先生って何でいつもこうなの!?
「本当はどんな人が好みなんですか!」
「そうだなぁ……。真面目で一生懸命でー」
「真面目で、一生懸命……!」
「人の言う事を素直に聞いてー」
「……はい……!」
「騙されやすくておちょくり甲斐のある奴とか、結構好きだぞー」
「だまっ……!?」
先生が仮面の下の口元でにやにや笑ってる!
い、一度ならず二度までもー!
「よし、魔力も腕輪も問題なし。じゃーな」
「あ! 先生! 待っ……!」
止める間もなく、先生はするっと夕方の人混みに消えてしまった。
うー! 先生はいつもそうだ!
付与とかを教えてくれる時は真剣だけど、それ以外は軽くてふざけていていい加減……!
私だけじゃなくて、他の人にもこんな感じだし……。
本当に魔法に詳しいだけの遊び人なのかなぁ……。
読了ありがとうございます。
風が語りかけます……。
ちょろい、ちょろすぎる……。
次回もよろしくお願いいたします。




