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初級回復魔法しか使えないようにされた上に追放された法術士の私が、虹の聖女と呼ばれるまでの物語  作者: 衣谷強
黄の章

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第六十六話 立ちこめる不安

アーテルから怪物が増加するという話を聞き、不安を覚えるアルクス。

ひとまず黄の初級回復魔法を付与した魔吸石まきゅうせきをポルポラへと渡しますが……?


どうぞお楽しみください。

「あの、ポルポラさん……」

「ん? 何だ?」

「最近怪物って増えてます……?」

「ん? 言われてみればそうだな! 前より依頼が随分増えてる気がするな!」

「そう、ですか……」

「何だ何だ心配か? 安心しろ! アルクスに『硬化』の魔吸石まきゅうせきをもらってるんだ! 遅れは取らないさ!」

「……そうですよね……!」


 ポルポラさんの力強い言葉にそう答えはしたけど、私の中から不安が消えない。

 先生はいつも普通の人が見えてないものを見てる気がする。

 その先生が「これから怪物の量が増える」って言った……。

 ただの冗談でそんな事は言わないはずだ。

 だから私は……!


「あの、これ、使ってみてもらえませんか!?」

「何だ? 新しい付与か! どんな効果だ?」


 黄の初級回復魔法を付与した魔吸石を、ポルポラさんは興味深そうにくるくると回して見る。


「えっと、『俊敏』と『鋭敏化』なんですけど……」

「何ぃ!? あの高い『俊敏薬』と同じ効果なのか!? それは凄い!」

「……ただ、身体とかへの負担があるみたいなので、この緑の初級回復魔法を付与した魔吸石を一緒に使ってもらえたらいいかなって……」


 緑の初級回復魔法を付与した魔吸石を渡すと、ポルポラさんは興奮した様子で私の肩を叩いた。


「至れり尽くせりだな! ありがとう! これならどんな怪物にも勝てる!」


 自信満々に言うポルポラさん。

 うん、ポルポラさんは強い。

 『硬化』の付与を使いながらも、それに頼り切りにならず、危なげのない討伐をしていると聞いた。

 そして最近ではロセウスさんも冒険者として加わって、多彩な魔術で仲間を支えているそうだ。

 二人の息の合った戦い方は、ここ数年で最強とさえ言われている。

 だけど……。


「……あの! 気を付けてくださいね!」

「……? どうした? 自分で言うのも何だが、あたしの腕はアルクスも知ってるだろう?」

「も、勿論です!」

「それに、その、何だ……。あ、あいつと組んでからは凄く戦いやすくて、その、調子も良い……」

「はい……」


 ちょっと照れてるのか、目を逸らして頬を掻くポルポラさんが可愛い。


「……んんっ! 更にここまで手厚い付与だ。これをひっくり返されるような事はないと思うが、まだ何か不安があるのか?」

「……それが、その、先生が、これから怪物の量が増えるだろうから、黄の初級回復魔法に冒険者の人を慣れさせておいた方がいいって言ってて……」

「アーテルさんが? うーん、確かにそれは気になるところだがな……」

「何かとんでもない事が起きる気がして、私不安で……」

「だが待てアルクス」


 うつむく私の頭に、ポルポラさんの手が乗せられる。

 温かい……!


「アーテルさんがお前にそんな顔をさせるために、そんな事を言ったとは思えない」

「え……?」

「むしろちゃんと道を示してくれているじゃないか。この『俊敏』と『鋭敏化』に冒険者が慣れたら、怪物が増えても対応できるってな」

「……!」


 そんな事、考えもしなかった……!

 でも確かにそうだ……!

 私が勝手に怖がっていただけだ……!


「だからこの魔吸石、もっと沢山作ってさ! 冒険者達をどんどん強くすりゃ良いんだよ! そしたらどんな脅威だって乗り越えられるさ!」

「はい!」


 にかって笑うポルポラさんに、私は元気よく答えた!

 そうだ! 怖がってるだけじゃ仕方がない!

 今私にできる事を頑張ろう!

読了ありがとうございます。


「黄の初級回復魔法量産の暁には、怪物なぞあっという間に叩いてみせるわ!」


防御激高で高速移動してくる上に自動回復付き……。

ガ◯ダム量産並みにタチが悪い……。


次回もよろしくお願いいたします。

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