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初級回復魔法しか使えないようにされた上に追放された法術士の私が、虹の聖女と呼ばれるまでの物語  作者: 衣谷強
黄の章

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第六十四話 付与の脅威

痛みの後に新たな付与を手に入れたアルクス。

製薬組合のタベッラに新たな付与について相談を持ちかけますが……?


どうぞお楽しみください。

「タベッラさん! 新しい付与ができました!」

「……今度は何だ? 人が空飛ぶとか言っても驚かんぞ?」


 タベッラさんがにやりと笑う。

 もう! また私を変な奴扱いして!

 でもこんな様子なら、『俊敏』と『鋭敏化』を付与する黄の初級回復魔法の事を話しても大丈夫かな。


「今回は『俊敏』と『鋭敏化』の付与ができるようになりました!」

「は……?」


 あれ?

 よく聞こえなかったのかな?

 目を点にしているタベッラさんに、もう一度伝える。


「だから、『俊敏』と『鋭敏化』です」

「あ、あぁ、うん、聞こえてはいる。聞こえてはいたんだが、頭が理解を拒んでな……」

「え?」


 何だろう?

 また頭抱えてる……。


「……アルクス、それはあれだろ? 使うと素早く動けたり、ものの動きがゆっくり見えたりするやつだろ……?」

「そうですけど……。知ってるんですか?」

「……知ってるって言うか、うちの製薬組合で、最高級品の一つの効果なんだよ……」

「あ、それで知って……、え?」


 最、高級品……?


「……一流の冒険者や騎士がここぞと言う時の切り札に買っていく薬でよ……。まず間違いなく勝てる代わりにお値段も張るっていう品なんだが……」

「……もしかして、これ売っちゃ駄目なやつですか……?」

「……二つの意味でな……」


 二つの意味?

 今売ってる高い薬が売れなくなる事以外に困る事があるのかな?


「一つ目は察しの通りだ。うちの稼ぎ頭を一つ潰される訳だからな。製薬組合に属する者として良い顔はできないな」

「……ですよね……。で、もう一つは何ですか?」

「副作用だ」

「副作用?」

「『俊敏』は身体を素早く動かす。つまりその分力が必要になるって事だ。そして『鋭敏化』は感覚が鋭くなる分、その感覚を整理する頭に負担がかかる」

「……じゃああんまり使いすぎると……!」

「身体か頭かその両方がぶっ壊れるな」

「ひぃ……!」


 そ、そんな恐ろしい副作用があるなんて……!

 先生! ちゃんと言っといてよー!


「材料が高価なのもあるが、そういった事もあって製薬組合では『俊敏薬』の値段を高く設定している。しかしお前の付与だと……」

「安くて気軽に使えちゃう……」

「二つ目の理由がそれだ。『俊敏』は強力な力だ。使い過ぎれば身を滅ぼす、そうとわかっていても使いたくなるほどの、な……」

「……はい」


 これは売れないなぁ……。

 ポルポラさんに大活躍させてあげられると思ったのになぁ……。


「とにかく多用しないように気をつけろ。自分にも他人にも、な」

「わかりました……」


 あれだけ痛い思いをしたのに使い所がないなんて……。

 あーあ、残念だなぁ……。

読了ありがとうございます。


さて、黄の初級回復魔法の行方やいかに。


次回もよろしくお願いいたします。

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― 新着の感想 ―
[一言] なんだ? なぜコイツらはこんなにノロイんだ? い、いや違う! 止まってる! オレは止まった時間を動いているんだ!! そうか、オレは世界を支配する力を超えた! ふふふっ、ザ・ワールド…
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