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初級回復魔法しか使えないようにされた上に追放された法術士の私が、虹の聖女と呼ばれるまでの物語  作者: 衣谷強
紫の章

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第五十九話 綻び始めた思惑

ロセウスとポルポラの仲を深めるために、アウラン食堂に連れて来たアルクス。

想像以上に好評の鶏肉に、動揺してしまいましたが……?


どうぞお楽しみください。

「はー! 美味かった!」

「喜んでもらえて良かったよ! ねぇアルクスちゃん!」

「……はい、よかった、です……」


 上機嫌のポルポラさんと女将さん。

 しかし私はその流れに乗れずにいた。

 ……あっという間に鶏肉四つも食べちゃうんだもんなぁ……。

 いや、喜んでもらえるのはいいよ?

 でもこのお支払いって、やっぱり誘った私になるのかな?

 それはちょっと……。

 嫌とは言わないけど!

 ……いや、大丈夫大丈夫。

 払える、うん、大丈夫……。

 明日から節約すれば……。


「この鶏肉はね、ロセウスさんが作ってくれた魔力かまどのお陰でできた料理なのさ!」

「そうなのか! 凄いなロセウス! 魔術士なのに魔道具まで作れるのか!」

「え、あ、その、ち、違うんです……。僕はただ言われた通りに魔吸石まきゅうせきに付与しただけで……」


 あぁ! 女将さんに先に言われちゃった!

 しかもポルポラさんがちょっと誤解したせいで、ロセウスさんが否定しちゃった!

 お支払いの事でぐるぐるしてる場合じゃなかった!


「あ、あの、でも、その付与がなかったらできなかったわけですし、それに魔力かまどを私が作ってほしいって言ったら、すぐ賛成してくれて……!」


 こうなったらロセウスさんの優しさで攻めるしかない!


「へぇ! この魔力かまど、アルクスちゃんのために作ったのかい!? いやぁ、素敵じゃないか!」

「え?」

「あ、あの、その……」


 私のために作った……?

 あ! しまった!

 これじゃロセウスさんが私の事好きみたいじゃない!

 この誤解はまずい!

 早く解かないと!


「そう言えば冒険者仲間の時も、何かとアルクスの事を気にかけてたな! そういう事だったのか!」


 だからポルポラさん!

 そんなんじゃないのに!

 ……あれ? でも確かにポルポラさん以外で私を助けてくれてたのって、ロセウスさんが一番だったかも……?


「ち、違うんです! あの時は、そういうのじゃなくて……!」

「あぁわかるよ。最初は純粋に助けてあげたい気持ちだけだったんだよな? でも成長したアルクスに助けられて、驚いた気持ちはあっただろう?」

「それは、その、そうですが……」

「ただ守るだけだと思っていた相手が自分と肩を並べたら戸惑うのも当然だ。だけど対等になったからこそ気付く気持ちってのもあるんじゃないか?」

「……! そ、それは、あると思いますが……」


 えっと、あれ?

 何か話の流れがおかしいよ?

 ロセウスさんはポルポラさんが好きで、仲良くなりたいから私の事を見てたり一緒にご飯に来たりしたんだよね?

 ……もしかして、私勘違いしてる……?

 もし、もしもだよ?

 ロセウスさんがポルポラさんの事を好きじゃなかったら……?

 いや、好きは好きだと思うよ?

 でもウィンクトゥーラさんとカルクルムさんみたいに、恋人同士になりたい好きじゃなかったら……?

 私を見ていた理由が、私に話しかけたいだけだったとしたら……?

 ロセウスさんが本当に好きなのって……。

 ……私……?


「……ぴゃぁぁぁ……」

「どうしたアルクス。顔真っ赤だぞ?」

「あらあら照れちゃって!」

「……あの、アルクスさん……?」


 いや、わからない!

 これも私の勘違いかもしれないもん!

 明日先生に相談……。

 ……いや、駄目だ!

 何かこの事は相談するの違う気がする!

 とにかく今日はお支払いをして家に帰って……!


「あ、あの、とりあえず食べ終わりましたし、今日はここで解散にしませんか……? お代は僕が払いますんで……」


 !?


「あらやだ太っ腹ねぇ!」

「良いのかロセウス? あたし四枚も食べちゃったけど……」

「い、いいんです! 自分が関わった魔力かまどで作った鶏肉を、こんなに喜んでもらえて、嬉しいですから……!」


 ほら! やっぱりポルポラさんの事が好きなんだ!

 だからご飯をご馳走してあげたんだ!

 ……あれ? でも私の分も払ってくれてる!?

 これどっちなのー!?

読了ありがとうございます。


雲行きが怪しくなって来ました(わくわく)。


次回もよろしくお願いいたします。

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