第五十八話 開戦! お食事会!
ロセウスがポルポラを好きだと感じたアルクス。
食事会に誘い、魔力かまどの鶏肉で二人の仲を取り持とうとしますが……?
どうぞお楽しみください。
「あらいらっしゃいアルクスちゃん! 今日はポルポラさんとロセウスさんも一緒なのね!」
「女将さん、こんばんは!」
「こんばんはー。今日はあたし腹ぺこなんで、美味しいの頼むよ」
「よ、よろしくお願いします……」
「あいよ!」
さぁ、やってきましたアウラン食堂!
ここでポルポラさんがあの魔力かまど特製の鶏肉を食べたら、きっと驚き、喜ぶだろう。
そこでその魔力かまどの元となる火炎系魔術の付与をしたのがロセウスさんと知ったら、「すごいなロセウス! 見直したぞ!」ってなるはず!
ロセウスさんも今は緊張してるけど、ポルポラさんが褒めてくれたら、緊張もほぐれるはず!
完璧だ! 完璧な作戦だ!
「さ、こちらにどうぞ!」
「ありがとうございます! じゃあロセウスさんはここに!」
「は、はい……」
「隣にポルポラさん座ってください!」
「ここだな」
「!」
「あー、楽しみだなぁ新料理!」
困ったような顔で訴えかけてくるロセウスさん。
でも駄目です!
ポルポラさんの「すごいなロセウス! 見直したぞ!」はお隣で聞くのが一番です!
そこから二人の話は弾んで、気付いた時にはウィンクトゥーラさんとカルクルムさんみたいな恋人に……!
「料理はあれでいいんだね?」
「はい! よろしくお願いします!」
流石女将さん!
流れるような配慮!
後は料理が来るまでの間、話を繋げば……!
「そういやロセウスと隣り合って話するのって初めてか?」
「……そうかも、しれませんね……」
「ルームスの野郎には酷い目に遭わされたよなー」
「……えぇ、あの、そうですね……」
むー!
折角ポルポラさんが話しかけてくれてるのに、何なのその態度!
こっちをちらちら見て、助けてほしいのかな?
まったく、しょうがないなぁ……。
いざ恋人になっても助けてあげられないんだからね!
「ポルポラさんに負けた後、ルームスはロセウスさんに無理を押し付けたんですよねー」
「あ、そ、そうなんです! それで本当に困っちゃって、その時に助けてくれたのがアルクスさんなんです!」
「そうなのか! 流石アルクスだ! あたしの時も諦めずに頑張ってくれたもんな!」
「ポルポラさんの、その、お怪我を治したのもアルクスさんなんですよね! 本当にすごいと思います!」
「いやー、私は先生に教わった通りにやっただけで……」
って照れてる場合じゃない!
二人して私を褒めてどうするの!
いや、ポルポラさんの言葉は普通に嬉しいし、ロセウスさんの感謝も嫌じゃないんだけど、違うんだよ!
何このもどかしい感じ!
「アーテルさんも凄い人だよなー。色々な事知ってるし、教え方も上手いし、仮面も格好いいし!」
「はい! 自慢の先生です!」
「え……! そ、そうなんですか……?」
「どうしたロセウス。お前もアーテルさんには会ってるはずだろ?」
「……いえ、はい、まぁそうなんですが……」
何で急に暗くなるの!?
話を弾ませようと思ったのに、どうしてこううまく行かないのかな!?
あ! そうか!
ポルポラさんが先生の事褒めたから、ポルポラさんが先生の事好きなんじゃないかと勘違いしたんだ!
まったく慌てん坊だなぁ。
先生とポルポラさんが会って話したのなんてちょっとしかないのに。
一緒に冒険者の仲間として頑張ってきたロセウスさんの方が絶対お似合いだよ!
「はいお待ち! 鶏肉の特別焼きだよ!」
「おわ! 凄いなこの肉……! 見ただけでも今までの鶏肉とは全然違うのがわかる!」
「ですよね! さぁ食べましょう! ほらロセウスさんも!」
「え……? あ! はい! いただきます!」
よーし! これで準備は整った!
ポルポラさんの感想に合わせて、ロセウスさんが魔力かまどを作るのに貢献した事を伝える!
「……! 美味い! 何だこれ! 美味い! 美味すぎる! 本当に鶏肉か!?」
「ふっふっふ……。そうでしょうそうでしょう! 何を隠そうこのお肉はロセウスさんの」
「おかわり!」
「え……?」
早い!
もう食べちゃったの!?
美味しいのはわかるけど、わぁ、お皿きれい……。
「あいよ! そう来るだろうと思って、既に新しい肉を焼き始めているよ!」
「最高だぜ女将さん!」
「当たり前だよぉ!」
……あれ? 何かポルポラさんと女将さんで仲良くなってる……?
だ、大丈夫!
魔力かまどがロセウスさんなしには完成しなかった事は変えようのない事実!
話す機会が少し後になっただけ!
食べ終わったらそこで話そう!
その間に私も最高の鶏肉を食べる!
「……」
ロセウスさん! もっと美味しそうに食べないと!
隣にポルポラさんがいるからって緊張しすぎだと思う!
はぁ、ウィンクトゥーラさんの時も思ったけど、恋すると人っていつも通りに動けなくなるんだなぁ。
でもそんなんじゃポルポラさんと恋人になれないぞ!
カルクルムさんみたいに積極的にいかないと!
……隙を見て橙の初級回復魔法をかけちゃおうかな……?
前途多難なお食事会はこうして幕を開けたのであった……。
読了ありがとうございます。
自称恋愛達人のアルクスでも、なかなか思惑通りには事は運ばないようで……?
次回もよろしくお願いいたします。




