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初級回復魔法しか使えないようにされた上に追放された法術士の私が、虹の聖女と呼ばれるまでの物語  作者: 衣谷強
紫の章

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第五十五話 付与魔術の活用法

ロセウスの魔術付与の成功を目の当たりにしたアルクス。

魔吸石まきゅうせきの取り扱いを一手に担うタベッラに相談しますが……?


どうぞお楽しみください。

「魔術の、付与……?」

「はい! 風魔術を付与して気持ちいい風を出したり、火炎系の魔術を付与して美味しい肉が焼けるかまどを」

「待て待て! 頭の整理が追いつかん……! 何でアルクスの周りはこうも常識破りが続くんだ……!?」

「……あー、わかります……。僕も冒険者組合で貸し出してる魔吸石まきゅうせきが全部アルクスさんの作ったものって聞いて驚きましたもん……」


 救護院の応接室で頭を抱えるタベッラさんと、うんうんと頷くロセウスさん。

 何か失礼じゃないですか!?

 付与や魔吸石の事を教えてくれたのは先生だし、実際に付与したのはロセウスさんなのに、まるで私がおかしいみたいに!


「……まぁわかった。今度はロセウス君の付与した魔吸石を売ればいいんだな?」

「はい! お願いします!」

「……あの、売れますかね……」

「……むしろ売れすぎる事が確定してるから悩むんだよ……。これだったら製薬組合を辞めて利益を独占するんだったなぁ……」

「えっ……!?」

「冗談だよ冗談」


 軽く笑うタベッラさん。

 あぁびっくりした。

 でも製薬組合のお仕事を辞めてもって思うくらい、やり方によってはお金を稼げるのかもしれない……。


「だがこの魔術を付与した魔吸石を普通に売ったら大変な事になる。やはり最初は冒険者組合に売って、そこから動向を見るのが良いと思う」

「お任せします!」

「……」


 魔力かまどを作ってほしい気持ちもあるけど、ここはタベッラさんに任せるのが一番いいよね。


「さて、そうするとまずは氷結系の魔術で食料や収集物の保存に使うのが一番良さそうだな」

「あ、あの……。一つだけいいですか……?」

「何だ?」

「……ま、魔力かまどを一つ作ってもらう訳にはいかないですか……?」

「え?」


 ロセウスさんも魔力かまどに興味が……!?

 諦めかけていた夢が、今再び……!?


「……できない事はないが……。いや、そうだな。うちで製薬のために炉を使うから、その職人に相談してみる」

「ありがとうございます」

「場所はどこに作りたいんだ?」

「あの、アウラン食堂というところに……」

「ロセウスさん! ありがとうございます!」


 やったぁ! 夢が叶う!

 ……もっとも牛肉を次に頼む機会は相当先だろうけど……。


「じゃあ火炎系魔術をいくつか付与した魔吸石をくれ」

「わかりました。付与します」


 ロセウスさんが呪文を唱えて付与を始めた。

 強さの違う火炎系魔術を四つも!

 やっぱりすごいな、ロセウスさんは。


「なぁアルクス。この魔吸石は握る事で付与された魔術や法術を発動するよな?」

「はい、そうですよ?」

「火炎系魔術の場合、手で握ってすぐ放り込むとかになるのか?」

「いえ、動物の皮とかを棒の先にくくりつけて、それで押したり挟んだりすれば、直接手で触れなくても発動できますよ」

「そうか。ならそこら辺をうまく組み込めば、良い炉が作れそうだな」

「ありがとうございます!」


 お礼を言うと、タベッラさんはにやっと笑った。


「礼ならロセウス君に言うんだな」

「勿論言いますよ!」

「いや、そうじゃなくて……。いや、まぁいいか」

「何ですか? にやにやして……」

「いやー、何でもない何でもない」


 絶対何かある感じの笑い方だ……。

 何か儲かる話でも思いついたのかな?


「付与、終わりました」

「お、ありがとな。じゃあ設計図を書かせておくから、アウラン食堂の方には話を通して置いてな! じゃ!」


 そう言い残すと、タベッラさんは付与のすんだ魔吸石を持って帰って行った。

 私に若干の不満を残して。

 でもこれで魔力かまどが作れるんだからよしとしよう!


「早く完成するといいですね」

「はい!」


 笑顔のロセウスさんに私も笑顔で答えると、再びお仕事に戻る準備を始めるのだった。

読了ありがとうございます。


何笑なにわろてんねん。


次回もよろしくお願いいたします。

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[一言] これで魔道具士夢想転生!
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