第二十二話 傷付いた女剣士
予約投稿の時間を間違えておりました……。
朝七時に待っていてくださった方、申し訳ありません。
気を取り直して新章開幕です。
新キャラも登場いたします。
どうぞお楽しみください。
「お疲れ様、アルクスちゃん。そっち片付いたら、今日は上がっていいわよ」
「ありがとうございますウィンクトゥーラさん! でも何かあれば手伝いますよ?」
「私も日報を書いたらおしまいだから大丈夫よ。ありがとうね」
「お疲れ様です! じゃあ入口の看板、返しておきますね!」
「お願いね」
よーし! 今日の仕事はおしまい!
最近は救護院の仕事が早く終われる日が増えてきた。
今まで病気の人には、薬を出して何日か後にまた来てもらうのが普通だった。
それに加えて怪我をした患者さんも来るから、毎日患者さんが絶えなかった。
でも私が青の初級回復魔法を使うと、病気はその日のうちに治っちゃう!
それにその後橙の初級回復魔法を使うと、病気が嘘みたいに元気になる!
そうすると段々患者さんの数が落ち着いて、救護院全体がゆったりしてきた気がする。
この時間だと先生はまだ来てないかな。
そんな事を考えながら入口を出たところで、カルクルムさんとばったり会った。
「あ、カルクルムさん」
「おやアルクスさん。今日はもうお仕事は終わりですか?」
「はい。ウィンクトゥーラさんも日報書いたら仕事おしまいだって言ってました」
「そうなんですね」
おやおや? 嬉しそうな顔!
ウィンクトゥーラさんをご飯に誘うのかな?
あのお食事会以降、ウィンクトゥーラさんとカルクルムさんが、何だかきらきらしてる気がする。
幸せそうな様子を見ると、私まで嬉しくなる。
二人が結婚したら素敵だろうなぁ。
カルクルムさんを見送って、おっと、忘れずに看板を返して、と。
「お、アルクスー!」
! ポルポラさんの声だ!
ルームスのところにいた時に、色々面倒を見てくれた女剣士さん!
追放されて途方に暮れていた時に、この町の救護院の地図と紹介状を書いてくれた、ウィンクトゥーラさん、先生と並ぶ大恩人!
「ポルポラさん!」
私は笑顔で振り返り、
「よぉ! 元気そうだな!」
「……ポルポラ、さん……?」
包帯で顔を覆った人と目が合った。
「ど、どうしたんですかその顔!? い、一体何が!?」
「あー、酸蜥蜴にやられた。あ、でも安心しろよ? 怪我自体は治ってるんだ」
「え、そ、そんな……」
ポルポラさんはあっけらかんと言うが、私は血の気が引くのを感じた……。
酸による怪我は、治療が難しい……。
皮膚が溶けたりただれたりするので、たとえすぐ治癒の法術を使っても痕が残りやすい……。
それが顔だなんて……!
「それでルームスの奴がさ、『化け物みたいな顔を見せるな。飯がまずくなる』なんて言うからさ。まぁ良い機会だと思って抜けてきたんだ」
「……!」
あいつ……!
顔に傷を負ったポルポラさんに何て事を……!
「で、トゥーラ姉は中か?」
「え、あ、はい、いますけど……」
「そっか。おーい! トゥーラ姉! あたしが来たぞー!」
ウィンクトゥーラさんを呼びながら、救護院に入っていくポルポラさん。
ポルポラさんは親御さんがいなくて、孤児院で育ったそうだ。
その時、修道院から手伝いに来ていたウィンクトゥーラさんと仲良くなったと聞いた。
冒険者仲間の時は頼りになるお姉さんって感じだったけど、こうやって家族を呼ぶみたいにウィンクトゥーラさんを呼ぶのって、何か素敵だなぁ。
「ぽ、ポルポラ!? ちょ、ちょっと待ってね!」
ウィンクトゥーラさんが扉の奥で慌てた声を上げる。
どうしたんだろう?
仕事が終わって着替えてる?
でもカルクルムさんいるしなぁ……。
「何だよトゥーラ姉。あたし達の間で何も隠す事なんてないだろ?」
「ちょっ、待っ……!」
ポルポラさんが勢いよく扉を開いた。
そこには、物入れに身体を半分入れたカルクルムさんと、それを押し込もうとしているウィンクトゥーラさんの姿があった。
……かくれんぼかな?
「え、ちょっ……!」
「ぽ、ポルポラ……!?」
一瞬二人は絶句して、
「トゥーラ姉彼氏できたの!?」
「ポルポラどうしたのその顔の包帯は!?」
二人同時に叫んだのだった。
読了ありがとうございます。
何やら怪しげですが、ウィンクトゥーラはただカルクルムと話していただけです。
突然ポルポラの声を聞いてパニックになり、一番誤解されそうな行動を取ってしまいました。
誤解のなきように。
次回もよろしくお願いいたします。




