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初級回復魔法しか使えないようにされた上に追放された法術士の私が、虹の聖女と呼ばれるまでの物語  作者: 衣谷強
橙の章

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第十八話 アルクスの暗躍

アーテルに言われて、ウィンクトゥーラが誘われた食事の意味を知ったアルクス。

舞い上がるアルクスに、余計な事はしないようアーテルは釘を刺しましたが……?


どうぞお楽しみください。

「ふぉおおお! 力がみなぎる!」

「これからはこんなにお疲れになる前に、お休みを取ってくださいね!」

「ありがとうアルクスちゃん! また来るぜ!」

「いや、来ないで済む方がいいんですよー!」


 やれやれ。

 あくまで一時的な回復なんだから、休みはちゃんと取ってほしいなぁ。

 ともあれ橙の初級回復魔法は好評だ。

 特に最近は魔物の目撃数が増えてきているので、西の森側に壁を作る計画が進められている。

 町の安全のために少しでも早く作らないといけないからと、昼夜を問わず働く人が増えてきた。

 となればカルクルムさんほどじゃなくてもくたびれた人は増えてくる訳で、青の初級回復魔法と合わせて、私は救護院に毎日通う事になっていた。

 となればウィンクトゥーラさんとも毎日顔を合わせる訳で……。


「アルクスちゃん、お疲れ様。今日はもう上がって大丈夫よ」

「ありがとうございます!」


 うん、やっぱり違う。

 仕事はいつも通りしているウィンクトゥーラさんだけど、何だか綺麗になった気がする。

 そして時々暦をじっと見たり、鏡を見つめたりしてる。

 きっとカルクルムさんとの食事を楽しみにしてるんだろうなぁ。

 先生は『余計な事はするな』とか言ってたけど、これは応援しなきゃ!

 まずは情報収集!

 私の仕事が終わって、ウィンクトゥーラも手が空いてる様子の今しかない!


「ねぇウィンクトゥーラさん」

「何かしらアルクスちゃん」

「好きなお料理って何ですか?」

「え? ……そうね。野菜を沢山煮込んだスープとか好きね。ほっとするわ」

「あー、それ私も好きです」


 よしよし、いい話を聞けた。

 カルクルムさんが来た時に教えてあげよう。

 そうしたら……。


『どうぞウィンクトゥーラさん! 最高級の野菜をふんだんに使った高級スープです!』

『まぁ! 私の好みを知っていてくださったなんて! カルクルムさん素敵です!』


 ってなるよね!

 高級なスープのお店は、カルクルムさんに見つけてもらうとして……。

 次だ!


「あと、贈り物をもらうとしたら何が嬉しいですか?」

「……えっと、急に何?」


 戸惑った様子のウィンクトゥーラさん。

 まぁそうだよね。

 しかし! こんな時用の言葉も考えてある!


「ウィンクトゥーラさんにはいつもお世話になっているので、次のお給料が入ったら何か贈りたいと思いまして!」

「まぁ……!」


 これは本心だもんね。

 で、その情報はカルクルムさんに教えて、私は別のものを贈る!

 そうしたら……!


『ウィンクトゥーラさん、これを……!』

『まぁ! これは私が欲しかったもの……! ありがとうございます! カルクルムさん大好き!』


 ってなるよね!

 それに私からの贈り物って聞いたら、そんなに高いものはお願いしないはず!

 さぁ! ウィンクトゥーラさんの欲しいものは何!?


「その気持ちだけで嬉しいわ。でも折角だから、新しい手巾を買ってもらおうかしら」

「え、あの、も、もう少し高いのでも大丈夫ですよ……?」

「うぅん、いいの。アルクスちゃんからもらうものなら何でも嬉しいから。だから残りのお金をアルクスちゃん自身のために使ってね」

「は、はい……。ありがとうございます……」


 う、嬉しい……!

 そんな風に思ってくれていたんだ……!

 って喜んでいる場合じゃない!

 流石にカルクルムさんから手巾一枚ってわけにはいかないよねぇ……。

 そうしたら何か別の方向から……!


「おいアルクス」

「ぴゃっ!?」


 せ、先生!?

 何でここに!?


「表の看板が返してあったから、今日の仕事は終わったんだろう? いつまでも出て来ないから様子を見に来たんだが、お前何やってたんだ?」

「え、いや、その、ウィンクトゥーラさんと世間話を……、はは……」

「世間話、ねぇ……」


 ちらっとウィンクトゥーラさんを見る先生。

 ふっと息を吐くと、私の頭をぽこんと叩いた。


「な、何するんですか」

「待たせた罰だ。さ、行くぞ」


 むー。もう少しウィンクトゥーラさんから話を聞きたかったのにー。

 救護院は壁建設関係以外でも、患者さんが増えてきている。

 今まで薬でも治るのに時間がかかった『解毒』『病気治癒』『体力回復』が、その場で治るというのが人気の原因みたい。

 だから私は忙しいし、院長のウィンクトゥーラさんはもっと忙しい。

 滅多にない機会だったのになぁ……。


「じゃあウィンクトゥーラさん、お先に失礼します」

「えぇ、また明日ね。アーテルさんも毎日お疲れ様です」

「いえいえー。ではまたー」


 先生と共に救護院を後にする。


「……」

「……?」


 無言ですたすたと歩く先生。

 いつもだと救護院を出たところで私の魔力と『専魔の腕輪』をちょっと見て終わりなのに……。

 あ、路地に入った。

 こんなところに何の用だろう?

 不思議に思いながらついて行くと、


「おーまーえーなー!」


 わ! 上から頭を掴まれた!

 何なに!? 私何かした!?

読了ありがとうございます。


間一髪セーフ。

さぁお説教の時間だ。


次回もよろしくお願いいたします。

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― 新着の感想 ―
[一言] アイアンクローで吊り下げ案件ですな 痛い痛いギブギブと
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