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初級回復魔法しか使えないようにされた上に追放された法術士の私が、虹の聖女と呼ばれるまでの物語  作者: 衣谷強
青の章

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第十二話 明日への決意

アウラン食堂からの帰り道。

アルクスはアーテルに住んでいる所や仕事について質問をします。

謎多き男、アーテルはどう答えるのか?


どうぞお楽しみください。

「いやー、今日はご馳走さん。美味かったな」

「いえ、こちらこそ大事な事を教えてくださって、ありがとうございます!」


 アウラン食堂を出た私達は、すっかり日が暮れた町を歩く。

 今日はすごくいい気持ちで眠れそう……。


「そうだ、先生ってどこに住んでるんですか?」

「俺か?」


 先生はいつも自分から会いに来てくれる。

 私の魔力や『専魔の腕輪』の状態を確認してくれる。

 でも毎日来てもらうのも悪いし、救護院の仕事も患者さんの数によって長引く事もある。

 先生の住んでいる所がわかれば、私から会いに行けるもんね。


「あぁ、俺は木の上とか橋の下とかで寝てるぞ」

「嘘ぉ!?」


 ……! そうか!

 黒ずくめで仮面って不審がられる格好だから、宿にも泊まれなくてそんな所で……!

 だったら私の下宿に……!

 狭いけど! 


「……くくっ、アルクスお前、俺が空飛べるって言ったら信じそうだな」

「は……? え……、はぁ!?」


 騙された!

 からかわれた!

 私は先生の事心配してるのに!


「怒るな怒るな。くくっ、これも教育の一環だ」

「笑ってる時点で説得力ないです!」


 むー! 腹立つー!

 ……ってあれ? 教育って言ったら……。


「あの、先生」

「何だ? 流石に空は飛ばないぞ?」

「じゃなくて! 私、先生に法術を教わっているじゃないですか」

「法術というより『専魔の腕輪』の使い方って感じだがな」

「それって先生の知識とか経験を分けてもらっているって事ですよね? そうしたらちゃんと授業料を払った方がいいんじゃないかと……」

「それで今日ご馳走してもらったんじゃないか」

「それは今日までの分です! これからも教わるなら、曖昧にしない方が……」


 さっきの話を聞いた後だと特にそう思う。

 持ち主だったルームスも知らない、『専魔の腕輪』の本当の使い方。

 それを生かして私に新しい力をくれた。

 それはただで済ませちゃ……わっ!?

 ……先生がまた頭を撫でてる……。


「ちゃんと今日教えた事を早速実行してるな。感心感心」

「ちょ、子ども扱いしないでくださいよ! もう十六歳なんですから!」

「え、十六歳!?」


 ……先生?


「今どこ見て言いました……? 身長ですか? 身長ですよね? ……何で目を逸らすんですか?」

「んんっ……。俺からしたら十六歳だってまだまだ子どもだよ」

「うぅ……」


 ……そう言われると、私に反論の言葉はない。

 先生は仮面でよくわからないけど、二十歳を超えているのは間違いないだろうし、雰囲気がとても大人っぽい。

 そんな先生からしたら、ルームスにあっさり騙されたり、持ち慣れないお金に動揺しちゃう私は、子どもっぽく見えるだろうなぁ……。


「……よし。じゃ、こうしよう。新しい付与を覚える毎にあの店でご馳走してもらう。これでどうだ?」

「え、はい、私はいいですけど……。先生はそれでいいんですか? さっき言ってたみたいにもっと高級なお店とか……」

「あの店が気に入ったのさ。それに俺は法術や魔道具の専門家って訳でもないからな。趣味みたいなもんだ」

「……?」


 アウラン食堂を気に入ってくれたのは嬉しい。

 でも別の事が気になる。

 趣味だって言うのに、何であんなに詳しいんだろう……。

 法術に別の効果を付与するなんて話、聞いた事もないのに……。


「あの、それじゃあ先生のお仕事って……?」

「あぁ、俺はもう稼ぐだけ稼いで悠々自適ってやつでな。お前に教えるのも暇つぶしみたいなもんだ」

「暇つぶし……?」

「あぁそうだ。ちょっと待ってるものがあってな」

「何を待ってるんですか?」

「大人な女性との素敵な出会いとか?」


 むぅ、またそうやって子ども扱いしてごまかすんだ。

 一人前って認めてもらえたら、教えてくれるのかな。


「そうだアルクス。次の休みは?」

「あ、えっと、明日です!」

「よし、そしたら善は急げだ。明日、朝から修行いけるか?」

「……! 勿論です!」

「よし、いい返事だ。新しい付与に挑戦してみよう」

「はい!」

「場所は前の時と一緒な」

「え……」


 山の中……。

 冷たい川……。

 しびれる手……。

 嫌な思い出が蘇る……!


「そうそう時間だが、こっちも準備があるから、そんなに早くなくていいぞ。朝飯しっかり食べて来いよ。じゃあなー」

「……はい……」


 手を振る先生に振り返す手が震える……。

 いや、頑張るって決めたんだ!

 私は手をぎゅっと握りしめると、下宿へ向かって歩き出した。

読了ありがとうございます。


次回から新たな力の習得に動き出します。

アルクスはどんな力を得るのか?


次回もよろしくお願いいたします。

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― 新着の感想 ―
[一言] 16歳理想と現実「理想」 <i708111|34709> 16歳理想と現実「現実」 <i708112|34709>
[良い点] 次の修行はどんな内容なのか、そして色は何色なのか、とても楽しみです! [一言] 十六歳と聞いてどこを見てしまったのか……ずっと煮豆定食ばかり食べていたら、栄養が偏って小さくても仕方ないです…
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