第百九話 白の初級回復魔法
アーテルを救うべく、白の初級回復魔法をかけるアルクス。
果たして二日間不眠不休でかけ続けられるのでしょうか……?
どうぞお楽しみください。
「行きます!」
白の回復魔法を展開して、横にした先生へと注ぎ込む!
豆茶を淹れるように、少しずつ同じ間隔で!
白の初級回復魔法は太陽。
沈んだ日が昇って、一日を巻き戻すようにして、小刻みに夜と昼を繰り返す。
「……ふっ……、ふっ……」
先生は苦しそうに細かく息を続けている。
アドウェルサをやっつけるために五百年溜めた魔力。
それと一緒に身体に戻って来た五百年。
その間に受けた傷や疲労も、身体に戻って来ているんだ……!
でも白の初級回復魔法はその全部を癒す!
とにかく途切れないように続けていけばいい!
頑張って先生!
私も頑張るから!
「アルクスさん、これ……」
ロセウスさんが、私の膝の上に赤く光る魔吸石を置いた。
じんわりと暖かさが広がる……!
「僕とポルポラ、サーニタースさんは先に寝るね。朝になったらウィンクトゥーラさん、クーラーティオさんと代わるから」
私はロセウスさんの言葉に頷く。
私への橙の初級回復魔法の付与は、交代制でしてもらう事になってる。
先生に白の初級回復魔法を二日間かけ続けるために、みんなで考え抜いた作戦。
何としても成功させるんだ!
「アルクスちゃん、かけるわね」
ウィンクトゥーラさんの声に、私は無言で頷いた。
一時間ごとにかけてもらう予定だったけど、もうそんなに経っていたんだ。
この分なら楽勝かな?
「慈しみ深き光の御手よ。この者の傷を癒したまえ。『初級回復魔法』」
背中に当てられたウィンクトゥーラさんの手から、じわりと温かさが流れ込んでくる。
身体に力がみなぎる感じ!
「……ふぅ。じゃあ頑張ってね」
ウィンクトゥーラさんの手が離れる。
私の集中を乱さないように、最低限の言葉だけをかけてくれる。
この後は紫の初級回復魔法で魔力を回復してもらって、少し休んでもらう。
その間に今度はクーラーティオさんが橙の初級回復魔法をかけてくれる。
それを三回繰り返して、六時間経ったらロセウスさん、ポルポラさん、サーニタースさんと交代。
三人は二回ずつ回復して、またウィンクトゥーラさん、クーラーティオさんと交代。
仮眠や食事をとりながらやってもらえば、きっと二日間途切れずに回復をしてくれるだろう。
紫の魔吸石もいっぱい用意した。
後は私が頑張るだけ!
寝なくても、ご飯が食べられなくても、橙の初級回復魔法をかけてもらってれば大丈夫!
先生の五百年に比べたら、二日間頑張るだけなんて、大した事ない!
「……先生、絶対に助けますからね……」
口の中だけで小さく呟くと、私は再び付与に意識を集中した。
読了ありがとうございます。
ちなみにロセウス、ポルポラ、サーニタースで三人組にしたのは、二人がまだ初級回復魔法に不慣れだからです。
何かあった時にベテラン宮廷法術士のサーニタースなら対応できる、との考えでした。
次回もよろしくお願いいたします。




