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初級回復魔法しか使えないようにされた上に追放された法術士の私が、虹の聖女と呼ばれるまでの物語  作者: 衣谷強
白の章

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第百八話 砕ける仮面

いよいよアドウェルサ復活の日を迎えたアルクス。

果たして世界の命運は……?


どうぞお楽しみください。

「おー、来たなー」

「……あれが……」


 静かな夜に、地響きが広がる。

 王都の外の地面がひび割れて、そこからどろりとした何かがあふれ出した。

 それはみるみる量を増やして、城壁の上に立っているのに見上げるような大きさになっていく。

 あれがアドウェルサ……!

 魔力を吸って成長する、五百年前に作られた人造生物……。

 世界を滅ぼしかねない、恐ろしい存在……。


「よぉ。五百年間待ったぜー。愛しのかわい子ちゃん」

「……」


 ……むー。

 皮肉と冗談だっていうのはわかるけど、何か嫌だなぁ。


「先生! 早くやっつけちゃってくださいよ!」

「待て待て。ちゃんと全部出てきてからじゃないと、取り逃した部分から再生するからなー」

「……そうですか」

「何だ、びびってるのかー?」

「そんなんじゃないです! あんなでろでろ!」


 先生を五百年縛った存在。

 そのおかげで先生に会えたけど、感謝する気はまるでない。

 早く消えてほしい……。


「凄い度胸だな。後ろ見てみろ」

「え?」


 振り返るとみんな真っ青な顔をしていた。


「あ、あんなのをどうにかできるの……?」

「……院長、手、離さないでくださいね……。立っていられなくなりますから……」

「……はは、ポルポラ……。これを消滅させられる魔術なんてあるのかな……」

「……あたしにゃ想像もつかないね。五百年魔力を溜めないと倒せない、というのは伊達じゃないな……」

「陛下がアーテル様を救世主とお呼びした意味がようやく理解できました……。あれが魔法も弓矢も効かないとなったら、手の打ちようがありません……」


 わ、ウィンクトゥーラさんとクーラーティオさん、ロセウスさんとポルポラさんが手を繋いで震えてる……。

 サーニタースさんも法衣の裾をぎゅっと握って……。


「あれがまぁ普通の反応だなー。お前怖くないのかー?」

「え? だって先生がやっつけてくれるんですよね?」


 先生がアドウェルサをやっつけるために五百年かけて魔力を溜めて準備してたんたもん。

 私の不安はやっつけた後の事だけ!


「……そこまで信頼されちゃ、応えない訳にはいかないな」


 にやっと笑う先生。

 前に顔を戻した先生の視線を追うと、アドウェルサはゆっくりこっちに向かって移動を始めた。


「さーて、んじゃ行くかー」


 先生が仮面を外した……!

 きりっとした黒い目。

 整った鼻筋。

 細い眉。

 ……かっこいい……。

 ってそんな事考えてる場合じゃない!


「『解放』」


 先生がそう言って仮面を握ると、まるで薄い氷みたいにぱきんと割れた。

 ! す、すごい魔力が先生に流れ込む……!


「人間の都合で作って、人間の都合で消されるお前に悪いなーって気持ちはある」


 アドウェルサを光の膜が包み込む!


「救いようのない馬鹿共に会って、お前に滅ぼされるのも仕方ないかなー、なんて思った事もある」

「先生……」


 五百年の間、色んな事があったんだろうなぁ……。

 そんな話も後で聞けたりするのかな……。

 あ! 光の膜の中がきらきら光り始めた!


「だがやっぱりまだお前にこの世界はやれないわ。馬鹿よりも大事にしたい奴の方がまだ多いんでな」

「!」


 一瞬先生が私を見た!

 それだけで心臓が跳ねて、嬉しさに包まれる……!


「あばよ」


 先生が指を弾いた。

 その瞬間、光の膜の中がものすごい光に包まれる!

 夜なのにまるで昼間の太陽みたい……!


「せ、先生、これは……!?」

「あぁ、魔力は吸収されるからな。触れられないように広範囲に結界魔法を張り、その中を粉状にしたアルミニウムと酸化鉄で満たす」

「え、あ、ある……?」

「簡単に言うと、めちゃくちゃ燃える金属の粉だ。そいつに火をつけると猛烈な熱と光を出す」


 あ、さっきのきらきらしてたのは、その粉だったんだ……。


「その熱は結界の効果で内部で高まり続け、魔法の炎では出せない超高温に至る。そうなれば……」


 光が収まってきた……。

 光の膜が消えて、真っ赤になってぐつぐつしてる地面だけが残って、アドウェルサは影も形もない……!


「……消えた……。消えたわクーラーティオ!」

「はい院長! これで世界は救われたんですね!」

「……はは、凄い瞬間に立ち合っちゃったな……」

「凄いもの見たなロセウス! あれを怪物退治に使えないか!?」

「……これは、報告に困りますね……」


 みんなの喜ぶ声で、じわじわと実感が込み上げる……!

 アドウェルサは、やっつけた……!


「先生! やりましたね!」

「ぐ……」


 先生が膝をついた!

 あ、黒い髪が、白く……!


「……さーて、ここからは、お前の、お手並み、拝見だ……。思う、存分、練習しろ……」

「……! はい!」


 先生に教えてもらった七つの付与。

 そして私がずっとずっと使い続けてきた初級回復魔法。

 私のこれまでの全てを一つにして……!


「行きます!」


 先生の未来を掴み取るんだ!

読了ありがとうございます。


アーテルの決め技は当初核融合を考えていたのですが、放射線への対処を考えるのがめんど、……難しかったのでテルミット反応にしてみました。

あっさりやっちゃってごめんねアドウェルサ。


次回もよろしくお願いいたします。

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