第百五話 陰る光
七色の付与に初級回復魔法を混ぜ、若返りを安定して使える白の初級回復魔法を習得したアルクス。
早速喜びと共にアーテルに報告に行きますが……?
どうぞお楽しみください。
「先生見てください!」
「何をだ? その目の隈をか?」
あ! しまった!
昨日の夜中、白の初級回復魔法を完成させた嬉しさで眠れなくて、そのまま来ちゃった……!
「お前、無理するなってあれだけ言ったのによ……」
「で、でもそのお陰でできたんです! 先生を助ける付与が!」
「……そうかアルクス。もう少しちゃんと寝た方がいいぞー?」
寝落ちして変な夢を見たと思われてる!?
本当なのに!
頑張ったのに!
なら実際に見せてあげないと!
「寝ぼけてるわけじゃないです! ほら!」
「……? ただの初級回復魔法じゃ……、ない!?」
どうですか!
色は同じでも効果は全然違うんですから!
七つの付与に普通の初級回復魔法を加えて混ぜて、太陽の形にした白の初級回復魔法!
虹の初級回復魔法と同じ若返りの効果がありながら、制御も完璧!
これには先生も弟子の成長に大喜びでしょ!
さぁ! 思いっきり褒めてください!
「……お前、凄いな……」
「へっ!?」
「今日程お前を凄い奴だと思った事はない……」
「え、ちょ……!」
そ、そんなに素直に褒める!?
「……しかし太陽とは……。いや、考えてみれば当然か……。日が昇り、沈む事で一日とする時間の象徴……。むしろ虹の初級回復魔法の効果がこの劣化版だった訳だ……」
「……はー……」
そうなんだ! 言われてみると納得!
じゃあこれを豆茶みたいにひとしずくずつ注げば、一日一日を巻き戻すように若返らせられるんだ!
「じゃあこれで先生を助けられますね!」
「え、いや、習得できたのは凄いと思うし、間違いなく今後の役に立つとは思うが……」
何!?まだ何かあるの!?
「これを点滴みたいに注いで、俺の五百年を中和するつもりなんだろ?」
「てん、てき……?」
蛙と蛇みたいな……?
それぐらいのつもりで、五百年をやっつけろって事……?
「あぁ、点滴っていうのは、栄養や薬を少しずつ身体に入れる治療法の一つだ」
「……へぇ……」
全然わからない……。
五百年前の技術かな?
「あー、一定の間隔で、身体に液状の栄養や薬をひとしずくずつ筒状の針から血管に入れるんだ」
「そ、そうです! そんな感じです!」
「だとして、だ」
先生は一つ溜息をついた。
何だろう?
「一年が三百六十五日。五百年分で十八万二千五百日。それを中和するのに一秒一回白の初級回復魔法を注ぐとすると、十八万二千五百秒かかるな?」
「は、はい……」
そ、それってどれくらいの時間なんだろう……。
「分に直せば三千と八十三分。時間に直せば五十一時間。つまり丸二日と三時間だ。その間のまず食わずで白の初級回復魔法を使い続けるのか? 無理だろ?」
「っ……!」
そ、そう言われると……!
何も食べない、眠らないで二日過ごした事は、ルームスのせいで何回かある。
でも何も飲まない、お手洗いに行けないっていうのはさすがに……!
「だからアルクス、気にするな。白の付与を覚えられただけで十分だ。俺も師匠として弟子に超えられて嬉しい限りだしな」
「……駄目です! 何とかします!」
「そんな事言ったって、白の初級回復魔法は他の奴と交代なんかできないし、魔吸石に付与したって、一気に注ぎ込む事しかできない」
「うぅ……」
「アルクス、お前は良くやった。だからこれ以上無理をするな」
「……まだ時間はあります! 何とかしてみせます!」
「あ、おい! 待てアルクス!」
先生の呼び止める声を無視して、私は先生の部屋を出た。
せっかくここまで来たんだ……!
絶対、絶対に先生を助けてみせる……!
読了ありがとうございます。
この世界は地球と同じ自転公転周期です。
まぁ宇宙で生物が生まれる星の条件ってかなり厳しいですから、たまたま重なってもおかしくはないのです。
ね(迫真)?
次回もよろしくお願いいたします。




