第百四話 縒り集まって
虹の初級回復魔法を完全に習得しようと努力を続けるアルクス。
しかし七色の付与を制御するのは難しく……。
どうぞお楽しみください。
「うーん……」
どうしたら虹の初級回復魔法を操れるようになるんだろう……。
先生が『後払いの仮面』に五百年溜めた魔力を使って、封印された化け物アドウェルサをやっつけた後、戻ってくる五百年分の時間。
そんなのを受けたら死んじゃうから、虹の初級回復魔法でその分若返らせないといけない。
でも一気に注げば、先生を赤ちゃん以前に戻しちゃう。
かと言ってゆっくりしすぎたら、歳を取って死んじゃう。
多すぎず、少なすぎず、そして五百年分注ぐには……。
「! そうだ! 豆茶!」
城下町で飲んだ、豆にお湯を注いで作る豆茶。
いらない苦さとかを出さないために、少しずつ、回すようにお湯を注いでいた。
それが下の器に、ぽたぽたとひとしずくずつ落ちていった。
あんな感じに注げたら……!
「……うー……」
駄目だ……。
普通の初級回復魔法をお皿のようにして、七色の付与を乗せる今のやり方じゃ、そんな繊細な事はできない……。
いくら『専魔の腕輪』の補助があっても、一度にたくさんの初級回復魔法を制御するのは難しすぎる……。
「! 一つにできたら……!」
あの色々な肉を混ぜて焼いた挽肉焼きみたいに、全部の付与を混ぜたらどうだろう!?
一つになったら制御も簡単だし、少しずつ注ぎ込むのもできるかも!
早速……!
「……うぅ……」
赤と橙、黄と緑、青と藍、そして紫。
混ぜてから組み合わせようとするけど、二つ合わせたものと一つだけのものとだと、力が均等にならない……。
そうすると、安定してる四つの付与と、不安定な三つの付与じゃ、若返りの効果を残したまま混ぜ合わせられない……。
じゃ、じゃあ一番強くて制御しづらい赤を一つにして、橙と黄、緑と青、藍と紫で混ぜて……。
……駄目かぁ。効果が安定しないのがわかる。
もう一つ、何か色があったらなぁ……。
今から先生、何か教えてくれないかな……。
……あれ?
「……もう、一つ……?」
……何で忘れていたんだろう。
何も付与していない、ただの初級回復魔法……。
色は白。
これを加えたら……!?
先生が教えてくれた、安定しやすい丸の要素も加えて……!
「……」
頭の中で八つの色を丸く配置する。
その色と色とを結びつけていく。
いくつもの線が重なって、組み合わさっていく。
すると真ん中に小さな丸が見えてきた。
その周りに、八つの色をてっぺんにした三角形が八つ。
……これ、どこかで見たような……?
「……あ……。太、陽……?」
そういえば先生が、「太陽の光には、虹の色全部が含まれている」って言ってた……!
なら太陽の形でまとめたら、虹の初級回復魔法の力をそのままに一つにできる……!?
「!」
その瞬間、頭の中で作った太陽の形が白く光る!
「……『真なる白』……?」
震える手で、その真なる白を付与した初級回復魔法を展開する……。
……わかる。
この中には、私が覚えた付与が全部含まれてる……。
つまり、これなら先生を助けられる!
「……やったぁ! ……っと」
嬉しさで思いっきり叫んでから、今が夜中だと気がついた……。
お城の人を起こしてないよね……?
……大丈夫そう。よかった……。
扉から耳を離すと、もう一度真なる白の初級回復魔法を展開する。
うん、できてる!
私は嬉しさを噛み締めるように、手のひらをぎゅっと握りしめるのだった……。
読了ありがとうございます。
太陽は生命の星ですからね。
アルクスの魂も燃えています。
次回もよろしくお願いいたします。




