第百三話 料理の極意
王城に戻り夕食に臨むアルクス。
その味に衝撃を受けて……?
どうぞお楽しみください。
「こ、これは……!」
「挽肉焼きにございます」
目の前には丸いお肉。
焼き立ての湯気からソースの甘辛い匂いが立ち上って、あぁ、美味しそう!
ブルブスさんが、「修行の妨げにならないよう、町の定食屋のように料理はひとまとめで出しますね」と言ってくれた通り、パンと野菜とスープが並ぶ。
その真ん中に、この挽肉焼き!
どんな味なんだろう!
「い、いただきます!」
落ち着くために、まずスープ……。
「! お、美味しい……!」
澄んだ色をしてるのに、すっごく色々な味がする!
何の味かはわからないけど、とにかく美味しい!
つ、次は野菜……!
「ふ、ふわぁ……!」
これも美味しい!
野菜自体がしゃきしゃきしてて美味しいのもあるけど、このドレッシングが最高!
いくらでも食べれそう!
……でも挽肉焼きが冷める前に……!
「ん〜〜〜っ!」
柔らかっ!
肉汁っ!
美味しい!
こんなに美味しいものがこの世にあったなんて!
「お気に召していただいたようで何よりです」
「あ……! ど、どうも……。とっても、美味しいです……」
料理長さんがにこにこしてる……。
夢中になっちゃって恥ずかしい……。
「その挽肉焼きは、牛肉と豚肉に加えて、剣牙猪と鋭角鹿の肉を加えて丁寧に挽いてあります」
「え、か、怪物の肉まで入っているんですか!?」
「はい。この挽肉焼きの利点は、混ぜる肉によって味に深みが出る事です。異なる特徴を持つ肉を混ぜ合わせる事で、単体では出し得ない味を出せるのです」
「そうなんですね……」
「今回は牛肉の旨味と豚肉の脂、そして剣牙猪と鋭角鹿の野生味を加えてました。以前に晩餐会にも出した料理なんですよ!」
「すごい……!」
そう聞くと、もっと美味しそうに思える!
もう一口!
うん、美味しい!
「更にこのソースにも大量の野菜を煮込んで溶かした上に、鶏の骨から取った出汁を加えて味の深みを出していて、肉に絡むようとろみを付けています!」
「そうなんですね!」
「その出汁はスープにも使っていて、岩塩で味を整える事でさっぱりしつつも奥の深い味を作り出しています!」
「それでこんなに美味しいんですね……!」
「ドレッシングも卵を一度黄身と白身に分けて丁寧に混ぜ、お酒から作った酢を混ぜる事で深みと爽やかさを両立しております!」
「これならいくらでも食べれちゃいそうです!」
「料理とは足し算! 様々なものを合わせて足して、新しい味に導く! それこそが料理人の本懐です!」
「なるほど!」
すごい! すごいすごいすごい!
違うものを組み合わせて、新しい味にかぁ……。
アウラン食堂とはまた違う料理の仕方なんだなぁ……。
私は一つのお肉の味を楽しめる料理も好きだけど……。
「……おーい、料理の説明を楽しむのも良いが、飯が冷めるぞー」
「あ、は、はい!」
「し、失礼しました!」
先生の言葉に我に返る!
そうだ! この後修行もあるのに、つい……!
「慌てるなアルクス。ゆっくり楽しめ」
「は、はい!」
急いで口に入れようとするのを、先生が止める。
うん、折角の美味しい料理、しっかり楽しんで修行の力にしよう!
読了ありがとうございます。
ハンバーグは確か地名由来だから使わない方が良かった、はず……。
次回もよろしくお願いいたします。




