第百二話 新たな決意
街歩きを続けるアルクス一行。
アルクスはアーテルに生きる意志を取り戻させる事ができるのでしょうか?
どうぞお楽しみください。
「豆茶、ですか……」
「おう、飲んでみるか?」
「は、はい……」
「んじゃ、盾の旦那、よろしくー」
「では三つお願いします」
「あいよ!」
お店の人が、黒い豆をごりごりと削って、布袋に入れる。
その上からお湯をゆっくり注ぐと、下の大きな器にぽたぽたとしずくか落ちる。
「へいお待ち!」
大きな器から小さい器に移された豆茶が、目の前に出される。
……焦げたような匂いのする真っ黒な液体は、昔飲んだものと同じ……。
苦くてえぐくて、とても美味しいとは思えなかったけど……。
でも先生が好きなものっぽいし、頑張って、飲む!
「……んっ」
……あれ?
苦いは苦いけど、嫌な苦さじゃない……。
これなら飲める……!
「お、悪くないなー」
「ふむ、この値段でこれ程の味は珍しいですね。何か工夫があるのですか?」
「おぉ、お目が高い! 淹れ方に工夫があるんですよ! 湯をゆっくり注ぎ、一滴一滴落とす事で、雑味が入り込むのを防いでるんです!」
ゆっくり注ぐ事で、雑味が入らない……。
それでこんな風にすっきりした味になってるんだ……。
「へぇ、豆にこだわるのはよく聞きますけどー、淹れ方に工夫をするとはねー」
「熟練の技術ですね」
「ありがとうございます! どうですかもう一杯?」
「いやー、また今度飲みに来ますー」
「では失礼します」
「ご馳走様でした!」
飲み干した器を返して、私達はお店を後にした。
同じものでも作り方次第でこんなに味が変わるんだなぁ。
鶏肉も普通に焼くのと魔力かまどで焼くのじゃ、全然味が違ったもんね。
……そうなると今晩のご飯、すごく楽しみ……!
お城のお料理って、きっと造り方からして違うはず……!
そしたら先生もきっと感動して、死ぬ気なんかなくなっちゃうんじゃないかな……!?
「どうしたアルクス、にやにやして」
「へ? あ、な、何でもないです!」
「本当かー? 何か企んでいるような顔だったけどなー?」
「な、何でもないですったら!」
「どう思いますー? 盾の旦那」
「……わ、私からは何とも……」
な、何で目を逸らすんですかブルブスさん!
「ま、何か企んでいるならやってみなー。何をしてくるのか楽しみにしてるぞー」
「そ、その言葉、忘れないでくださいね!」
「ほらやっぱり何か企んでるんじゃないかー」
あっ! しまった!
「アルクスが俺に勝とうなんて、五百年早いんだよなー」
「うぐぐ……!」
「で、何をしようとしてたんだー? 良いやり方を一緒に考えてやるから教えてみろー」
「お、教えません!」
「良いのかー? 俺の指導があった方が、良い作戦になると思うぞー?」
「結構です!」
また先生は私の事からかって……!
絶対に先生に、アドウェルサをやっつけた後も生きようと思わせてやるんだから!
読了ありがとうございます。
もし五百年生きたアーテルに衝撃を与える程の食事だとしたら、アルクスは……。
次回もよろしくお願いいたします。




