第百一話 明かされた身分
ルームスを説得したアーテルに、心からの感謝を寄せるアルクス。
そのやり取りからブルブスはある事に気付いたようで……?
どうぞお楽しみください。
「さーて、街歩きを再開するかー」
「はい!」
「畏まりました」
ルームスの一件も片付いたから、気を取り直して観光と食べ歩きだ!
次は何がいいかなぁ……。
「しかし驚きました。アーテル様が高貴な身の上であられたとは……」
「へっ!?」
ブルブスさん、何言ってるの!?
先生が高貴な身の上って……。
……もしかして、貴族!?
「何故そう思ったんですかー?」
「先程のルームス・ルトゥムとの話の中で仰っていた、貴族や王族の価値。あれはその立場にいた者にしかわからない事です」
「あ……」
た、確かに!
貴族とか王族とかって、偉いから命令できると思い込んでたし!
でも五百年の中で誰かに聞いたって事も……。
「それにあのような話は、その立場でない者には話しませんからね。親から子へ、または爵位を賜った時に王からその者へと伝えられるものですから」
「ふむ……」
「せ、先生……?」
ほ、本当に……?
「何より五百年国のために生き続けるという選択、それを周囲が認めた事。アーテル様は王に連なるお方だったのではないですか?」
「いやー、ばれちゃいましたかー」
「えええぇぇぇ!?」
せ、先生が、王族!?
「やはりそうでしたか」
「まー、これが王族の勤めって訳でもないんですがー、やっといて損はないかなーって」
「ふわ……」
わ、私色々失礼だったんじゃ!?
「あ、あの、せん……、あ、アーテル様! あの、これまで」
「阿呆」
「あだっ!?」
頭ぺしって叩かれた!
な、何で!?
「お前にそういう態度取られて俺が喜ぶと思うかー? 今まで通りで良いんだー」
「え、で、でも……」
「俺が王族って事が、お前との関係に何か意味があるのかー? 師匠と弟子、それでいい」
「え、あ、はい……」
ちょっとぽかんとした後、じわじわ嬉しさが込み上げてきた。
先生はやっぱり先生だ。
「しかし盾の旦那はそんな事わざわざ確認して、何が知りたいんですかー?」
「……いえ、その……」
「墓に刻む名前は、アーテル・ニグリオス。それだけで良いですからねー」
「っ」
「……先生……」
ブルブスさんが言葉に詰まった。
……そうか。もう先生もブルブスさんも、アドウェルサをやっつけた後の事を考えてるんだ。
先生が死んだ後の事を……。
そうはさせない!
虹の初級回復魔法を完成させて、先生に魔力と共に戻ってくる五百年の年月を中和して、その後の世界も生きてもらうんだ!
「お、豆茶があるぞー。ちょっと飲んで行くかー」「……はい!」
「畏まりました」
先生が見つけた屋台に向かいながら、私はぎゅっと拳を握りしめるのだった……。
読了ありがとうございます。
まぁそこらの一般人に務まる役目じゃないですよね。
次回もよろしくお願いいたします。




