第1話
僕が、この世界、ティエラに転生して10年の月日が経った。
この世界、ティエラでは、10歳以上、平民から貴族子息、国中から領家において選ばれた優秀な魔法使用者が集められ、皇城中庭において使い魔召喚の儀式を受けることになる。
魔法使用者のほとんどは精霊魔法使用者で、魔法陣式魔法を使用する者は圧倒的に少ない。僕自身、精霊魔法を使用出来ないということで、魔法陣式魔法の訓練と複雑な魔法陣描きを補う為、複雑な魔法陣を予め描いた護符式魔法を使用することにより、魔法発動速度のハンディキャップを解消し、領家においては同じ10代の中で敵なしという状況になった。某報・謀殺・潜入任務を担う夜神家の一員である僕自身にとって魔法発動速度が速いことは有利なことである。
そして、僕自身、転生して初めて皇都を訪れることになった。
長い時間、中途で夜間の野営を挟み二日間程馬に揺られ、ようやく、皇都、西京府に到着した。僕一人な訳なく、母親と次期子爵世襲筆頭、長男である偉智弥と数人の護衛、従者を伴っている。僕自身の使い魔召喚の儀式が主目的であるが、次期子爵世襲筆頭である長男の他貴族への顔見せも兼ねている。僕は四男である為、政治といったものには関わることはないと思う。
「其方達はどちらの者か?」
入口に構える衛兵に尋ねられた。
「私達は、夜神家子爵妻の紫苑、長男の偉智弥、四男の黄泉、と従者・護衛であります。明後日の使い魔召喚儀式参加と方々の顔見せに参った次第でございます」
母が答えた。
「それはそれは、良き哉。遠路はるばるご苦労でありますな。馬は、馬舎があちらにございますので、そちらへお預け下され。それではどうぞお入りください」
衛兵は門を開け、礼をした。
僕達は馬舎に馬を預け、皇都内に入った。
「まずは、領家屋敷に荷物を置いていきましょう。それから、皇城へ参りましょう」
母がいった。
「「はい、母上」」
答えたのは、僕と兄。早速、領家屋敷に荷物を置きに向かった。
ここ、大和皇国は君主制をとっており、皇(昔の天皇みたいなもの)が治めていて、貴族として、大公(皇家一族、又は分家)、公爵、侯爵、伯爵、子爵という爵位制の階級制である。皇都に屋敷を構えるものがほとんどで、当然であるが、階級が高くなる程皇城に近く敷地も広い屋敷を構えている。僕達、夜神家は子爵であるので、爵位は一番下の階級である。