「美しい」を知らない科学者
心揺さぶられる「美しい」何かに出くわしたことはあるんだと思います。
美しいってなんだかを だれでもいい
教えてくれたらな
美しいっていう絵画を しげしげ見ても
よく分からない
美術館は入口から出口へ 一直線
最後に飾られる 最高と言われる 何枚かだけ
したり顔して みつめてる
美的センスが わからない
一度だけだが 素通りを思い直して
入口に引き返した 抽象絵画展があったっけ
でも彼の名が 有名なのか分からない
美しい自然法則 この世のなかは
そうあるべきだって
美しい方程式で 学者が言うに
書かれるはずだって
教科書は最初から最後へ 一直線
途中に見られる E=mc2 みたいな 数式だけ
わかった体で 読み飛ばす
美的センスは わからない
何冊かくらい 飛ばし読みを途中でやめて
最初から読み返した 専門の教科書があったっけ
その内容は 今でも役に立っている
美しいって言うよりは わたしには
なるほどって感じ
美しいって感じるより わたしには
役に立つー!って感じ
式の導出は 仮定から証明まで 紆余曲折
最後に導かれる E=mc2 みたいな 公式は
わかってしまえば 気持ちいい
美的センスか わからぬが
自然の記述を 実験と比較したのち
仮定が成立できるかを 試したこともあったっけ
その過程こそ ほんとうは輝かしいんだよな
あなたの仮説が正しいと主張できるのは美しいから?
あなたの仮説が何を生み出すかを聞かせてほしい
美的センスを 知らずとも
自然の記述は 誰とでも共有できる
あの時 私を魅了した あの画家の名はなんだっけ
そうだド・スタール 誰もが好きな画家だろか?
この詩は、とある科学者の、「自然法則は美しくある『べき』」と言う、発言に思うところがあり、美しさが何を示すかも分からず、着地点も分からぬまま、書きました。
漠然とした話にお付き合いありがとうございました。
*絵画の楽しみ方は、是非とも、切に、知りたいです。