ユミ視点
ユミ視点のスズエの印象です。
やっぱり、最初は恐怖が勝っているイメージです。
彼女を初めて見た時、本当にこの子のために作られた舞台なのかと疑った。
自分より少しだけ年下の女の子。誰よりもリーダーシップがあって、大人顔負けの知識も持っている。
そんな彼女はとても寂しそうな瞳をしていた。今思えば、片割れを失った苦痛のせいだったのだろう。でも、それを言われるまで私は気付けなかった。
「ラン、私に入れないで」
顔を青くしながら、ランに懇願したスズエ。私はどういうことなのか分からないまま、ケイさんに入れた。――入れてしまった。
そう、怪盗はスズエで、ランの役職を盗んだのだ。
――身代という、弟が殺された役職カードを。
スズエは、小さく笑っていた。私達を守るために、自ら生贄になったのだ。本当は死ななくてもいい、そんな女の子だったのに。
彼女は、己の首輪を外して見せた。しかし、おなかを貫かれて膝をつく。
誰が見ても致命傷だ。それでも、彼女は立ち上がってみせた。
「最後の……プレゼントだ……」
涙を流しながら、スズエはどこかに歩き出す。慌ててついていくと、モニター室に向かったのが分かった。
中に入ると、スズエはキーボードの上で息絶えていた。キーボードには血の跡があって、最期に何かをしたのだろうと気付いた。
ここから出て、アイトに言われてようやく人間に戻ったことを知る。
スズエは最初に、いがみ合っていた私達を繋げてくれた。
次に、皆を平等に愛した。
その次に、皆の命を守った。
そして……最期に、私達を人間に戻してくれた。
身に余るほど、スズエは私達に与えてくれた。
今は、大学三年になっている。今日はスズエの命日だ。
「ありがとう、スズエ」
この命、ちゃんと抱えて生きていくよ。
涙をぬぐい、空を見上げた。




