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竜のいない夜に〜薬師の村娘ですが、高潔の魔術師に溺愛されています〜  作者: 幌あきら
<第1章 : 王都政権交代の裏で> 第1部: 追う者と追われる者
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5. 長官の覚悟〜同僚を死に追いやっても〜


 クレッカー長官(ちょうかん)遠方(えんぽう)からの手紙を受け取った。若手の魔術師から届いた連絡だ。


「ダミアン・ホース死す」とだけ書かれていた。


 クレッカー長官は目を()せて手紙を()(たた)み、丁寧(ていねい)に机の引き出しにしまった。なんとも言えない感情が()いてきた。


 ダミアンは素晴(すば)らしい同僚(どうりょう)の一人だった。


 彼はただひたむきに魔術と向き合って、新しい魔術を開発(かいはつ)することに情熱(じょうねつ)(ささ)げていた。


 ダミアンの(かたわら)にはいつも古めかしい分厚(ぶあつ)い本が()んであった。


 一日の大半(たいはん)を本に没頭(ぼっとう)していたが、その(わり)には明るい男で、読書を邪魔(じゃま)されても(おこ)らなかった。本当に()しい男だった。


 そういえば、ダミアンは実戦(じっせん)は苦手だったが、(ひかり)(あやつ)(けい)の魔術が得意だった。


 だいぶ昔に死んだ親友と同じ。ダミアンと初めて会った時、奇妙(きみょう)親近感(しんきんかん)を感じたものだ。


 クレッカーは(むね)(いた)んだ。


 そして、ふとダミアンの(つま)、カレン・ホースのことが思い出された。


 カレンはクレッカーの政敵(せいてき)のグレゴリー元大臣(もとだいじん)のもとで働いていて、よく彼と彼の妻の手紙を持って魔術管理本部(まじゅつかんりほんぶ)(おとず)れていた。


 あの(ころ)はクレッカーは自分のことで精一杯(せいいっぱい)で、手紙を持ってきてくれるカレンのことまで気が回らなかったが、後から聞いたら、カレンは相当(そうとう)自分とグレゴリー元大臣との(はげ)しいやり取りに、少し()()んでいたらしい。本当によく働いてくれていたのだろう。


 カレンは魔術管理本部(まじゅつかんりほんぶ)でダミアンと出会い、その流れで結婚(けっこん)したと聞いた。


 自分も魔術(まじゅつ)開発部門(かいはつぶもん)()ばされた(ころ)だったので、カレンにおめでとう、と言ったものだったのに。


 クレッカー長官は一瞬(いっしゅん)(まよ)いが(しょう)じた。現実(げんじつ)()(もど)される心地(ここち)がした。


 だが、強く頭を()り、雑念(ざつねん)を頭から追い出そうとした。


 これは(みな)(ため)なのだ。


 私は多少(たしょう)のことをしてでも、やり切らねばならないのだ。


 だが、クレッカー長官は、先程(さきほど)手紙を仕舞(しまい)()んだ引き出しをぼんやりと(なが)めた。


 ダミアンにもカレンに(つみ)()い、のだ。


「ハンドリーを()べ」

 ハンドリーは急いで部屋に入ってきた。


「何か御用(ごよう)ですか?」


 クレッカーはハンドリーの忠誠心(ちゅうせいしん)を信じていた。


「すまない。ダミアンの(つま)のカレン・ホースを知っているか?」


「ええと、たいして知りません。ダミアンと結婚する頃、一、二度(いちにど)会ったくらいですかね」


「そうか。悪いんだが、彼女にダミアンが()んだと伝えてくれ」

 ハンドリーは(いき)()んだ。


「えっと、どこから理解(りかい)したらよいか。すみせん。とにかく、ダミアンが()んだんですね」


「そうだ」


「で、それを私が彼女に伝える?」


「そうだ」


「……」


 ハンドリーの顔が引きつった。まず頭の中が混乱(こんらん)していた。


 ダミアンが()んだ。そしてそれを彼の(つま)に伝える? とてつもなく(いや)な仕事だと思った。


 クレッカー長官は目を()せて深く頭を下げた。


 ハンドリーははっとした。


 クレッカー長官の顔にに(おも)()めた様子が()かんでいた。


 いつもと(ちが)う。このような長官は見たことがなかった。


 だが正直(しょうじき)このような任務(にんむ)は受けたくない。


 ハンドリーはしばらく(だま)って考えていた。


「頼むよ。ダミアンの妻にあまり不義理(ふぎり)はできないんだ」


 クレッカー長官はやつれた目をハンドリーに向けた。


「……分かりました」

 ハンドリーは(あきら)めた顔をして言った。


「すまない。適当(てきとう)に話しておいてくれ」


「かしこまりました」

 ハンドリーは青い顔のまま答え、クレッカー長官の部屋を後にした。


 よほどの義理(ぎり)があるのだな、とハンドリーは思った。

 だが、まず、そのカレン・ホースという(おんな)居場所(いばしょ)(さが)さなくては。


 (べつ)の、国家機密(こっかきみつ)(きゅう)潜伏捜査(せんぷくそうさ)のチームにも入れられてるのに。

すみません。面白い話を書きたいと思っています。励みになりますので、ぜひご意見ご感想をお聞かせ下さい。


また、お手数をおかけしますが、もし少しでも面白いと思ってくださいましたら


↓ご評価☆☆☆☆☆↓の方も、


ほんの少しでも構いませんので!!


ぜひともよろしくお願い致します。

今後の励みになります!

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