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竜のいない夜に〜薬師の村娘ですが、高潔の魔術師に溺愛されています〜  作者: 幌あきら
<第1章 : 王都政権交代の裏で> 第3部: 魔術師と薬売り
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12. 薬売りと魔術師の再会〜まさか妹さんだったとはー

 村に着くと、魔術師たちはリーナを馬から降ろした。


 リーナを(かか)えていた金髪の魔術師は、リーナがまだ(ふる)えているのに気づいた。


「大丈夫ですか?」


「はい、ありがとうございます。あの、本当に()ぬところでした。本当に、本当にすみません、ありがとうございました」


 リーナはまだ動悸(どうき)(おさ)まらぬ(むね)()さえ(れい)を言った。


「何でおまえあんなところにいたんだ?」

 金髪の魔術師が言った。


「すみません。(くすり)作るのに必要(ひつよう)(くさ)を取りに行ってたんです。ちょっと色々夢中(むちゅう)になっちゃって」


(くすり)必要(ひつよう)(くさ)?」


「はい。これ、って、あれ?」

 リーナは(かご)がないのに気づいた。


 あのとき必死(ひっし)状況(じょうきょう)だったのだから、きっと落としたのだろう。


 リーナは咄嗟(とっさ)に体に(こす)()けた時に付いた(くさ)(はし)をつまんで、二人に見せた。


「これです。私はリュウシソウって()んでるんですけど。本当の名前は知りません。この草は(りゅう)営巣地(えいそうち)(きわ)にだけ群生(ぐんせい)()えてるんです」


(きみ)薬師(くすし)さんなの?」


「はい。リーナと言います。お二人は魔術師様(まじゅつしさま)ですよね?」


「ええ。私はロベルトといいます。こちらはエドワード。それより、その(ふく)、草でだいぶ(よご)れているけど」


「あ、これ……。とっさだったから。少しでも()くかなと思って」


()く?」


「はい、竜避(りゅうよ)けの効果(こうか)が……」


 リーナが言いかけると、ロベルトがはっとした。


「あ、もしかして、竜避(りゅうよ)けの(くすり)ですか? それなら、王都(おうと)(きみ)のお兄さんに会ったかもしれない」


「え、兄に会ったんですか?」

 リーナも(おどろ)いた。エドワードも(うなず)いた。


「あー、なんか俺たちの幼馴染(おさななじみ)がおまえのお兄さんのことが()きみたいでさ。なんかそれ(つな)がりで」


「えーっと、お兄様(にいさま)のことが()きな女の子?」


「ん? どーした?」


「あ、いえ、別に」


(りゅう)駆除(くじょ)()りてねーって話したかな。その(あと)あいつの妹を(りゅう)から助けるとか、すげーできた話だな」

 エドワードは、にかっと笑った。


「てか、その草が身体中(からだじゅう)(こす)()いてるのってそういうことか。そんで(りゅう)迂闊(うかつ)に手ェ出せなかったんだな」


「はい。でも(りゅう)(いや)がるだけなんで、あのまま時間がたっていたら、(ころ)されていたと思います。本当に(いのち)恩人(おんじん)です」

 リーナはもう一度(ふか)くお辞儀(じぎ)をした。


 そこへ

「おーい! リーナ! 何かあったか?」

と、シャールが真っ青になって走ってくるのか見えた。


「あ、兄です」

と、リーナが言いかけた時、


「あれ、あなた方は……」

とシャールがロベルトとエドワードに気づいた。


 リーナがシャールに(わけ)を話すと、シャールは飛び上がって、ロベルトとエドワードに(ふか)くお辞儀(じぎ)をした。


「すみません、妹を助けていただいてありがとうございます! このお(れい)は何と言ったらよいか」


「いや、助けられてよかったですよ」

 ロベルトは笑顔で返した。


「でもシャール、王都(おうと)では先に()げたよね」

 エドワードは嫌味(いやみ)な笑顔を作った。


「お兄様(にいさま)()げた……?」

 リーナは怪訝(けげん)そうな顔をした。


「こいつ、王都で女の人に(かこ)まれたとき、俺らを()()りにして一人だけ()げたんだ」


「ちょっと、エドワード様、やめてくださいよ」

 シャールは(あわ)てて手を()ってエドワードを止めた。


「女の人に(かこ)まれ……? お兄様(にいさま)、いったい王都で何してるの?」


「何もしてないよ! あ、いや、仕事(しごと)はしてるけど!」


 リーナの不審(ふしん)そうな顔に、シャールは必死(ひっし)弁明(べんめい)した。ロベルトとエドワードは、すっきりした笑顔になった。


「……ところで、なぜお二人がうちの村の近くまでいらしてるんですか?」

 シャールはふと聞いた。


 ロベルトは

「この(へん)で、ちょっと仕事があって」

と言った。


 次の瞬間(しゅんかん)、ロベルトに考えが()かんだ。


「あ、では、お(れい)もしたいので、ぜひうちに滞在(たいざい)されませんか?」

とシャールが言った。


「それはありがたい! なあエドワード」

 ロベルトは即答(そくとう)した。


「あ、そうだね。助かるー! 宿(やど)探すのとかめんどーだったんだ」

 エドワードは屈託(くったく)のない笑顔で、()かれた声を出した。

 

 ロベルトは無邪気(むじゃき)なエドワードをチラリと見た。おまえのために、この兄妹(きょうだい)を、利用しようではないか。

すみません、面白い小説を書きたいと思っています!よろしければ、ご感想よろしくお願いいたします。

また励みになりますので、少しでも面白いと思っていただけたら、すみませんが、

↓ご評価☆☆☆☆☆↓よろしくお願いいたします!

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