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8 暗殺

 数発放つとバルカンの溶けた液体はなくなった。証拠隠滅完了、帰るか。

 今後どうなるかは流れに任せるとしよう。これからはジュッキス星人に戻るのは難しくなるかもなぁ。でもいいか、彼らを救えたし、ついでに世界の崩壊を阻止できたんだ。そのくらいで済めば。


 あれから10日。


「いやいや、ランスさんとリンさんがこの街で冒険者をやってくれるなんて」


 とても嬉しそうなギルド長。そして新たに冒険者となったランスさんとリンさん。彼らは騎士団長と聖女をやめ、冒険者として生きていくことにしたそうだ。


 話を聞くに、元々聖女をやりたかったわけではなく、あの痣があるから仕方なく聖女になったとか。もう聖女でなくてもよいため、やめて冒険者に。


 そして2人は結婚した。おめでたいな。ベテラン冒険者たちの目の色が変わる。今夜はお祭りだな。


 バルカンの件については全く触れられなかったどころか、内容がすり替えられていた。思ったよりも杖が柔らかく、ランスさんが破壊に成功した、杖を破壊したら痣が消えた、という内容に。察するに世界を滅亡させる魔物が杖から出てきて、その魔物を得体の知れない者が倒した、となると世界は混乱するから、軽い話に変更したと推測した。


 それならそれでジュッキス星人の話は広がらないしこちらとしては好都合だ。ただ、山をいくつか破壊したからその辺りをごまかすのは大変だろうな、と他人事のように笑う俺。やりすぎました、すみませんでした。


 ランスさんが話していた世界7大災について調べたかったが、今回の件の真相を知っているのは1部だけ、動くと足がつきそうだったため、とりあえず保留にした。


 手をつなぎギルドから出ていく2人。幸せそうだ。羨ましいかも。


 ある日の夜。お酒に付き合いすっかり遅くなった宿屋への帰り道。はやく帰って寝たい。あー、ここ。この道。近道なんだよね。でも治安が悪いんだよなぁ。


 ……、行っちゃえ!

 人間の状態ではまだまだ弱い。一般人に勝てる程度だ。絡まれたら走って逃げよう。先輩冒険者に笑われそうだけど。


「おい、聞いたか。暗殺の件」

「バカ! 声がでけーよ」


 暗殺? 放ってはおけない話を聞いてしまった。とっさに身を隠し聞き耳を立てる。

 狙われている人物は貴族のルズエストという人。質実剛健で正義漢、裏の住人たちから非常に疎まれている人物のようだ。その彼をこの街で暗殺するという話をしている。


 現在街には来ておらず、近くにある特殊な高級宿に泊まっている。そこは魔物も出現せず身も心ものびのびと過ごせる場所。2日後この街に来て暗殺が実行される。ただ問題があり、2日後に街に来れないようなら暗殺が失敗。3日後には他貴族と会談、警護に有能な人材をルズエストさんに引き渡す。


 そうなるともう暗殺は不可能だとか。裏の住人の動きをわかっているんだな。


 暗殺か、見過ごせないな。助けなくては。では暗殺者を片付ける? いやソイツを退治しても新しい暗殺者が送られるだけ。第一、誰が暗殺者なのかわからない。


 となると直接警護しかない。そうだな、命がかかっているんだ。行動するならはやいほうが良いだろう。俺は地図を取り出しその高級宿の場所を確認。街からこっそり出て宿へと向かった。


 高級宿に到着。ほぉ、珍しい場所に大きな館が建っている。周りは山、土地が少しだけあって木々が植えられ、きれいに整頓された花壇、小さな池等が。その周りは崖。頑強そうな石橋があり、巨大な門が石橋への道を塞いでいる。なるほど、これなら魔物は入ってこれないね。おっと感心している場合ではない。そろそろ夜が明ける。朝になる前に館に侵入してしまわないと。


 橋の前には人がいる。となるとそちらからは行けない。飛ぶか。彼らが見ていないのを確認して宿へと向かって跳躍、着地。よし、気づかれていないな。今度は館へ。屋根に登り、人間に変身。人間状態のほうが良いだろう、ジュッキスは大きくて目立つからね。大きく行動するときはジュッキスで。


 色々探っている間に夜が明け朝に。皆が起き出し、食堂のテーブルに付く。


「皆様、この「楽園の館」はいかがでしたか?」

「最高だったよ、館主さん。外界から遮断されて、日頃の忙しさを忘れることが出来た。ここに住みたいくらいだね」

「そういうわけにはいきませんぞ、ルズエスト殿。明日にはムリトの街へ行っていただかなくては」

「はは、わかっているよ、ダウップさん」


 ふむ、ルズエストさんは彼か。その周りに警護の人。ルズエストさんの向かいにいる、食事をしながら彼と会話をしている人はダウップさんね。出発は明日、と。余裕はあるな。

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