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7 世界7大災

 そう言って胸を露出するリンさん。胸元には痣が。見た目は4つのドクロのように見える。生まれたときからついていた痣で、この痣を持っている者が生贄の聖女とされる、とリンさんが話している。涙を流しながら抱き合う彼女たち。


 そろそろ行くか。杖がこちらに来たのはむしろ好都合かな。破壊できるかはまだわからないが。ジュッキス星人に戻る。彼女たちの後ろから一気に近づいて、中空に浮く杖を奪い取った。


「な、なな。ば、化け物!?」

「貴様は!?」


 リンさんは失神、ランスさんは体を震わせながらもこちらに剣を向ける。

 ほぉ、凄い。失神せずに俺を見てられるのか。そうか、この世界は命のやり取りが普通にある世界。それ故、恐怖には耐性があるのかも。


 おっと感心している場合ではない。杖を破壊しなくては。まずは杖の先端の玉になっている部分を軽く握ってみる。

 金属が弾ける音がした。手の中で玉が粉々に。あれ、意外と簡単に壊せたな。


「な、杖を破壊した!?」


 念の為にもう少し潰すことに。こねこねして最終的に金属の玉が出来上がった。


「今まで誰も破壊できなかった杖をあんなにも簡単に。しかしこれでリンは救われ……」


 金属の玉が宙に浮く。大気が揺れ、金属の玉が小刻みに振動、怪しげな光を放ち始めると、金属球を中心とした球状の巨大な魔法陣が現れた。


 徐々に巨大化する魔法陣。巨大化が止まった瞬間眩しい光が放たれる。魔法陣が弾け、中から巨大な魔物が現れた。頭が4つ、体は鱗に覆われている。前にベテラン冒険者さんに教えてもらったこ「ドラゴン」の亜種か?


「こいつは! 世界7大災の1つ、世界を炎で焼き尽くすといわれる『滅炎の竜』ボルカノ! そうか、杖に封じ込められていたんだ」


 世界7大災? 聞いたことのない単語だがランスさんの様子をみるにかなり厄介な相手だというのはわかる。


 バルカンと目が合う。大きく目を見開き少し後ずさりを。


「脚を震わせている。バルカンの特殊な行動か?」


 俺を見てバルカンは脚を震わせている。地球にいるときはどんな生物も俺たちを見ると恐怖した。それはこの世界でも同じなのかな。少し寂しい。それでも、こちらを睨みつけている。いい度胸だ。


『グルームゥ』


 唸り声を上げた後、こちらに向かって炎を吐き出すバルカン。巨大な火球が4つ、俺を襲う。それを俺は走って避けた。


 火球は遠くの岩山へ飛んでいった。火球が当たった場所は大爆発。木々がなぎ倒され森は燃え、山は吹き飛びと。なかなかの威力だ。


「も、もう世界はお終いだ……」


 確かに放っておくと世界が崩壊しそうだ。片付けるか。

 駆け寄りバルカンの頭に向かって飛び込む。俺の体は、人間で言うところの手刀、更に腕部まで巨大な刃と化す。その刃でバルカンの4つの頭を一気に切り落とした。


『グ、グムゥ』


 終わったかと思ったがすぐに首が生えてきた。流石、世界を滅ぼすほどの魔物だ、しぶとい。今度は足を狙う。切り落としたがコレまたすぐに生えてきた。


 お次は酸で攻撃だ。俺たちは金属をも溶かす酸を胃液として使っている。それを腹部の、人間でいうヘソ部から発射することが可能。しかしこの酸はかなり強力で少し浴びただけでも普通の生物は死ぬ。ランスさんたちからちょっと距離を離さないとな。


 尻尾を掴み、ハンマー投げの要領でバルカンを投げ飛ばす。岩山に激突、どうやらダメージが入ったようだ。動きが鈍くなった。今だな。


 飛び上がり、酸のシャワーをバルカンに浴びせた。


『グルムワァーー!!』


 溶けていくバルカン。再生しているが追いつかないようだ。連続で飛び上がり、酸を放ち続ける。


「な、何という凄惨な戦い、ヴォエー」


 おや? 降参したかな。暴れるのをやめたバルカン、ここで先程とは打って変わってきれいな目に。これはもしかして。酸のシャワーをやめ、指輪を取りに戻り、再度バルカンのところへ。バルカンはすでに元の姿に。そしてこちらに攻撃を加えてくる様子はない。やはり。


 ランスさんから見えない位置で人間に変身。そしてバルカンと契約を。


『グルーム!』


 満足した鳴き声が聞こえた。そしてバルカンを魔物繭へ。2体目の仲間だ!


 周りを見る。ちょっととっちらかったな。片付けなくては。ジュッキス星人の胃液と唾液を混ぜると化学反応が起こり炎が起こる。胃酸を発射、そこへ唾液も発射。その炎は地面をえぐりながら辺りを焼き尽くす。おっと、加減を失敗して、また山を1つ吹き飛ばしてしまった。この技久しぶりなんだよね。

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