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2 追いかける

 どうするかな。とりあえず封筒の中を見る。「指輪の説明書」と書かれた冊子が入っていた。説明書を読む。この指輪には魔法がかけられており、装着すると人間になれる、らしい。本当に!?


 早速装着してみた。一瞬体全体が光る。あまりの眩しさに目をつむる。今のは一体。すぐに体の異変に気がついた。


 あれ、小さくなった? 視線の位置が低く……、手が、これは人間の手? 俺の手が人間の手になっている。いやそれどころではない。体が人間になっていた。裸だな。何かが股間についている。知ってる、アレだな。つまり俺は雄ってわけだ。


 こ、これは! 

 我々の科学力でも人間に変身することは出来ない。これが魔法!? 魔法ってすげー!


 歓喜し興奮していると、急に意識が遠のいた。

 そして次に意識を取り戻した時、俺は草原の上に立っていた。俺の姿は人間。先ほど裸だったが服を着ている。この服は見たことがあるな。ゲームなんかではよく見る中世ヨーロッパ風の服装。


 それにしてもここはどこだ? 辺りを見渡すが、見たことがない風景が広がっている。どうしようか迷ったが、まずは指輪の説明書を熟読することに。


 ふむ。外すと元に戻る、はめている間は完全に「人間」となるようだ。なんと生殖行動も出来ると書いてある。魔法すげー!

 この指輪を是非持ち帰り、研究し大量生産したいところだな。


 説明書を読み終え、封筒にしまうと、遠くから聞き覚えのない音が聞こえてきた。そちらを見ると馬車が石畳の街道を走っていた。馬車? 自動車ではないのか。

 不思議だなと見ているとどうにも様子がおかしいことがわかる。その後ろから狼のような生物が馬車を追っている。地球にはあんな生物はいなかったはずだが。


 冷静に分析している場合ではないかも、襲われているのでは?


 いけない、助けないと。馬車に向かって走ろうとしたとき、違和感を感じた。

 体が重い。そうか、今は人間の身体。動かし方に慣れていないってのもあるけれど、ジュッキス星人のほうが身体能力が少々上だったな。過酷な環境で育ったためだ。


「ヒィーン!」

「あっちへいけ! この!」


 くっ、今にも獣が馬や人間に噛みつきそうだ。考えている暇はない。指輪を外し元の姿に、おっと服は脱いでおこう。

 すぐに服を脱ぎ指輪を外す。一瞬身体が光り、元の姿に。ふむ、身体が軽い。戦闘時はやはりこちらの慣れている体のほうが良いな。


 さあいくぞ。


『リュァーー!』


 気合を入れ馬車に向かって走る。


「ギュエ!」


 獣が俺に気がついた。すると馬車を襲うのはやめ、一目散に逃げていく。馬車は気づかずそのまま街道を走っていく。獣を少し追って馬車から遠ざけよう。


 そう、この姿は人間だけでなく生物全般に恐怖を与えてしまう。俺たちの星は俺たち以外の生物は存在しない。過酷だから!


 はぁ、しかしわかってはいたが、俺を見てものすごく必死に逃げる獣の群を見るとなんだか虚しさすら感じてしまう。襲われて殺されるよりは良いけどさ。


 まあ、予定通りだ。

 元の場所に戻って指輪をはめ、人間になり服を着る。さて、この後どうしよう。

 人間の状態で戦闘は難しそうか。襲われても指輪を外せば勝てるだろうけど、俺の正体が周りに知れたら大変だ。


 そうだな、安全な場所に行きたいところだが。


 考え事をしながら街道を進もうとしたところ、また遠くから馬車の音が。邪魔にならないよう街道の端を歩き、通り抜けるのを待つ。だがその馬車は俺の横で止まり、乗っている人が俺に向かって声をかけてきた。


「おーい、田舎から出てきたヤツかい? この辺りを歩いて行くのは危険だぞ、さあ乗った、乗った」

「はあ、ではお言葉に甘えて」


 彼の勢いに押され、半ば無理矢理ではあるが馬車に乗ることになった。だが運がいいのではないか。色々聞けそうだし。

 彼の話を聞いたところ、この辺りでは先程の獣が出て襲ってくるとのこと。名前はブルーファング。1匹なら弱いが群れで来ることが多いため厄介な相手だと助言を頂いた。


 それにしても凄いな、この指輪。完全に人間になっている。こんなふうに人間と会話ができる時が来るとはな。おっと目にホコリが。


「あれか? 冒険者になるために街へ?」

「あ、はい。そんなところです」

「金も入るし便利な職業だからな。命の危険はあるけれど。街についたらまずギルドだな」


 冒険者? 遠回しに聞いてみる。

 早い話がなんでも屋、そこでお金が稼げるようだ。更に冒険者のカードを持っていると色々良いことがあるとのこと。へぇ、まずはその冒険者てやつになろうかな。


 ギルドはその冒険者達に仕事を斡旋する場所。それから先程の獣たち、人間に危害を加える生物や化け物のことをこの世界では「魔物」言うそうだ。

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