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俺の高校の人魚 11
今年もこの季節が来た。
去年の無念を晴らすために2人は前よりも頑張っていた。
期待してくれている人の分まで頑張って練習を続けた。
走太は過去を振り返っていた。
転校してきたこと、自己紹介で滑ったこと、その日で水泳で注目を集めたこと、水泳部に誘われたこと、ライバルができたこと、そのライバルが突然この世にいなくなったこと、大会で入選できなかったこと。
全ての思い出を力に込め泳ぎ切った。
結果は2位。
優勝は出来なかったが達成感はあった。
そして、海奈は優勝という有終の美を飾った。
2人の夏はまた終わった。
しかし、前回とは違う形で。
夏も終わり秋に移り変わる頃
2人は高校から少し離れた灯台にいた。
「私、もっと水泳がしたい!」
そう言って海に飛び込む海奈。
そしてそれを見つめる走太
「やっぱり、海奈は俺の高校の人魚だよ」
彼には見えていた。人魚の様な海奈を。
完




