白い部屋は世界
「先生、僕は怖かったんだ。いつかアオの美しい顔や身体に傷つけてしまうんじゃないかと思っていたら頭がおかしくなりそうだったから、今こうしてアオと会ってない時間はさみしいけどちょっと安心するんだ」
「今のタケルには心を休める事が必要なの。だから安心できるのはとても素晴らしい事なのよ」そういうとタケルは笑顔を見せた。
「先生、私怖かったの。だって、もし私の顔や身体に傷がついてしまったらもうモデルとして生きていけないもの。だから今もこの包帯取って確かめる勇気がないの」
「大丈夫よ。アオの傷は良くなっているのよ。このまま治療する続ければ傷は残らないわ。だから約束して欲しいの私が外す時まで包帯は外さないで。」
「先生は香港の夜景をみたことはある?」
「いいえ」
「僕は隣にいるアオが美しすぎてなにも見えてなかったんだ。アオはその時の事を覚えているのかなあ?もし忘れてしまっていても今まで通り美しくいてさえすれば僕は満足なんだけどね」
「そうね」
最初はモデルとカメラマンの恋だった。それが事件になって今は忘れさられてここにいる。窓もないただ白い部屋、それが今の彼らの世界の全てだ。