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【完結】ドラグニカ ~剣と契り~【1stシーズン】  作者: 三城谷
第73章【龍殺しの王③】
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第七百九十二話「交わされる取引Ⅶ」

 「妹とは、あの者だろう?丁度、我から生き返らないかと誘ってたんだがな」

 「そうなのか。と言いたい所だが、お前の予定ではどれくらいの命を授けるつもりだった?」


 ケルベロスが咲とウロボロスを連れて、何処かへ行ってから数分後。

俺とフェネクスは言葉を交わしていたのだが、内容が意外にも被っていたらしい。

考える事は違ったかもしれないが、やろうとしていた目的は一緒だったのだ。


 「とはいえ、先程の条件を飲めば良いんだ。それを含んでくれれば、お前の自由に命を授けてくれて構わない」

 「命の期間を選ぶのであれば、龍と同じ基準になってしまうぞ。それでも良いのか?」

 「それをあいつが望むのなら、それでも構わないさ」


 龍と同じ寿命という事は、数百年単位の物になるのだろう。

人間がそこまで生きた歴史は無いのだが、それでも生き物の中で長寿生態になるだろう。

未来に一人だけ取り残されるという状態は、恐らく激しい孤独感に襲われるはずだ。

正直、兄としては心配という言葉に尽きるのだが……。


 「あいつが望む事は、出来る範囲で答えてやりたい。それがあいつを護れなかった俺の責任だ」

 「人間は責任という言葉が好きで困る。まぁ我には関係無いが、本当に龍と同じ寿命を望んだ場合はお前と同じになるな」

 「同じ?何の話だ」

 「ん?知らないのか?」


 フェネクスは首を傾げて、俺へと視線を向ける。

俺が何を知らないというのだろうかと思ったが、龍については詳しく無い。

どれくらい生きて、どのように生きて来たのかを知らない。

だがフェネクスの反応を見た俺は、そんな事ではないという事を察した。


 「知らぬなら教えておくが、龍王とはその名の通りに龍の中の王となるのだ。それは長い年月を経て、成立するものでもあるのだぞ」

 「何が言いたい?」

 「これでも分からぬのか。つまりは龍王とは、龍たちを統べる期間も必要となるのだ。それは龍と同じ時間、命を授かるのと同義。お前は人間を辞め、龍と同じ存在となるという意味と同じだ」

 「……なるほどな。だからあいつらは、俺が人間を龍王にするのは否定的だったのか。龍が人間に統べられるのも、龍王に人間がなっても長くは続かない。それは安泰という文字から遠ざかっているという意味か。……」

 「そうだ。それ故に、お前の役目が如何に大事なモノか理解出来たな?」


 あぁ、理解は出来た。

だがしかし、俺からすれば龍王になるのはどうでもいい。

王になるつもりは無いが、これ以上の被害を被るのは勘弁したい。

人間側を護る為には、俺自身が龍王になるのが手っ取り早いのだ。


 「あぁ……フェネクス、お前にもう一つ頼みたい事がある」

 「何だ?次期龍王様よ」

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