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【完結】ドラグニカ ~剣と契り~【1stシーズン】  作者: 三城谷
第70章【セブンスアビス③】
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第七百六十一話「失うモノⅥ」

 「――待たせたな、ハク」

 『……!』

 

 ――何だ、その姿は?


 ……とでも言いたげに目を見開き、俺の事を見る白龍。

そんな視線を受けながら、俺は黒い大剣を肩に担いで言った。


 「どうしたよ、ハク。俺の姿に疑問でもあるのか?」

 『……』

 「そう睨むなよ。別に教えても良いんだけどな?その必要は無いみてぇだ」

 『……!?』


 白龍の懐へと入り込み、俺はそんな事を言った。

そして大剣を振るい、躊躇する事なく白龍の身体に傷を付けた。

痛みを我慢するかのようにして、白龍は咆哮を響かせている。


 『――!!』

 「黙れ」

 『……!?』


 ――声が、出せない。


 「……ハク、大人しく龍化を解いた方が戦えると思うぞ?今のままじゃ、そこら辺に居る奴には勝っても、俺には勝てないだろうよ」

 『……』

 「まぁ、従う必要は無ぇけどな。――っ!!」

 『――――!!!!!!』


 俺は振り下ろした瞬間、悲鳴のような咆哮が響き渡る。

耳から入り込み、脳天へと響いてくる鳴き声に溜息を出てしまう。


 「聞こえなかったのか?黙れって言ったぜ、俺は」


 倒れた巨体の上に立ち、剣先を眼前に向けて告げる。

この姿になってから、俺の思考はクリアに近い感覚で研ぎ澄まされている。

やがて血を流している白龍の姿が、龍化した姿から人間の少女の姿へと戻る。

徐々に人間化となっているハクを見て、俺は口角を上げて言った。


 「お前と話すのは久々だな。さて、拷問と行こうか。――ハク」

 「……ぐっ……何をするつもり?」

 「何もしないさ。ただ俺は、お前の目的を聞きたいだけだ。洞窟で封印されたお前を解放したあの日から、お前はこれを計画していたのか?」

 「だったら?」

 「……」

 

 高圧的な態度が癇に障った俺は、踏み付けているハクの身体の一部に剣を突き刺す。

痛みに耐え兼ねたハクは、苦しみながら声を上げていた。


 「あぁぁぁぁぁっっっ――!!!」

 「答えれば良いだけだ。余計な一言は俺を不快にさせるだけだ」

 「――……ぐっ……このっ、殺すっ!!殺してやるっ!!お前も、皆っ!!」

 「はぁ……っ!」

 「ぐあぁぁぁぁぁぁぁあああああっっっ!!!!!」

 

 少女の姿と戻ったハクを確認する為、俺の元へと玲奈たちが近寄って来る。

だがすぐに俺のやっている事に驚いたのか、ハッとした様子で目を見開いている。

そんな彼女たちに向かって、俺はハクを踏み付けた状態のままで言った。


 「紫苑、良い所に来た。こいつを拘束しろ」

 「……本気か?(この気配、この殺気……龍よりも鋭いっ)」

 「あぁ。俺に二言は無いのを知ってるはずだ。早くしろ」

 「……やれやれ。あいよ。……これで良いか?」


 そして俺は、紫苑の氷によって拘束されたハクを見て呟くのだった。


 「上出来だ。さぁハク、俺らと遊ぼうぜ、俺とゼロとお前とで、な。――」

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