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第五百二十三話「天照す、光Ⅳ」

 「あれは、大丈夫なのか?あの小娘は……」


 彼女たちの戦闘状況を見て、ウロボロスはそんな事を漏らした。

確かに龍紋保持者同士の戦闘において、あのぐらいしなきゃ勝算は低い。

だがしかし、それでも藍原桐華の龍紋解放は危険な状態だ。

一歩間違えれば……彼女の身が持たない場合があるのだ。


 「確かに危険かもしれないが、それ以上に神無がなんとかするだろうよ」

 「なんとか、だと?我が主、どう見てもあの小娘が敗北する可能性があるだろう?死ぬぞ?あのままではっ」

 

 確かに。あのままだったら、危険かもしれない。

だがしかし、それは戦ってる相手が神無じゃなかった場合のみだ。

セブンスアビスの中で、誰が一番甘いという話である。


 「大丈夫だ。あいつはああ見えて、誰も殺さないさ。俺の残った記憶が正しければ、神無というあの女は――セブンスアビスの中で一番優しい奴だよ」

 「あの者が、優しいだと?それは貴様の除外した場合か?」

 「俺が優しい訳が無いだろう?俺だったら、すぐに首を落として終わりだしな。それに対巨龍戦線では、あいつが龍紋保持者の保護を優先しようって言ったんだからな。甘い奴だよ、あいつは」

 「……ふむ。あの者の実力は知らんが、我もあの者の実力がはかれるぞ」


 そんな事を言うウロボロスだったが、零は一つだけ腑に落ちない事があった。

それは龍紋を解放している神無ではなく、龍紋を極限まで解放している桐華の方だった。

そんな彼女の気配からは、微塵も人間の気配がしないという感覚に襲われているのである。


 「我が主よ、何を考えておる?あの戦闘に介入しないのか?」

 「介入はするが、しばらくは様子見だ。一つだけ、気になる事があるからな」

 「ほう?我が主が介入よりも優先するとは、それはよっぽど大事な事なのだな?」

 「そこまで過大評価されると困るが、確かに大事な事かもしれないな。――なぁウロボロス」

 「何だ?」


 零は目を細めて、たくさんの銃弾を速射する桐華を見つめる。

だがしかし流石はセブンスアビスの一人である神無で、それを一発も通す事なく弾いている。

それどころか近距離戦に持ち込んで、自分に有利な間合いで戦闘を行おうとしている。

そんな彼女の対応で苦しいのか、防戦一方になりつつある桐華は両手に銃を展開する。

彼女たちの戦闘は素早く、常人の遥か上を行く戦闘状況と言えるだろう。

龍紋保持者でなければ、その動きを把握する事が難しいと思える程に……。


 ――だがそれが本当に、人間同士の戦闘である場合の話だが。


 「ウロボロス、お前の眼を使ってあいつを見てくれないか?」

 「んあ?どっちをだ?」

 「……藍原桐華を、だ」

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