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【完結】ドラグニカ ~剣と契り~【1stシーズン】  作者: 三城谷
第4章【自分の居るべき場所】
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第四十二話「龍化した少女Ⅶ」

 いきなり襲い掛かってくる黒い甲冑の存在。

その気配は禍々しく、殺気という名のオーラを放っている。

目の前の彼の腕からは赤い滴が垂れ、私は完全に足手まといとなっていた。


 「……ぐっ!このっ!!」

 『殲滅……排除、排除……』


 振られていく大剣は、彼の動きを把握しているのか隙が無い。

防戦一方となっている彼は、私へ近付かせないようにその場から動いていない。

私が現状で足手を引っ張っていて、彼の邪魔者になっている。情けない。


 「もう少し離れられるか!?それかお前は先に帰ってろ!ここで食い止める!」

 「ダメです!そんな事はさせられません!私も一緒にっ……」

 『……修正開始……反撃……』

 「くっ!?こいつっ!――良いから下がってろっ!!」


 振り下ろされた大剣は、彼に狙いを定めている。

その勢いは凄まじく、受け止めた彼の身体がガクッと下がる。


 圧し掛かる気配により、私の動きは封じられてしまう。

龍紋の解放も出来ず、腰が抜けてしまって動けないのだ。

完全に邪魔者だ。私はいつもそうだ、あの時も友人を助けられなかった。

自分が弱いからと、弱い者だと恐怖に溺れて動けずに居た頃と同じだ。


 「はぁっ!くそっ……また避けられた。分析でもしてんのか?こいつ」

 『反応……アリ。……殲滅続行、排除』

 「機械染みた声しやがって、お前は何者だ!どうしてそんな気配をしてる?ここには何しに来た!目的は何だ?答えろっ!」

 『…………』


 彼は会話を求めているが、それにその気配も素振りも無い。

ただ対話を求めた瞬間、小さくその反応を見せた気がした。

首を傾げて、まるで人間みたいな反応をしているのであった。


 「……はやくっ、動いて。私の足っ……早くしないと、彼がっ……!」

 『――また見捨てるの?私を見殺しにしたみたいに』

 「っ!?」


 目の前に見えるそれは幻。そうと分かっていても、私はそれが本物に見えた。

あの時の友人が見え、私は服を掴んで彼女に言うのだった。


 「違います!あの時、私はあなたを助けたかった!」

 『本当に?自分だけが生き延びたくせに?助けてくれる素振りもなかったのに?』

 「違いますっ!本当に、助けたかった!今でも自分が死んでいればと思っています!私は何で生き残っているのだと、何で龍は私を選んだと後悔しかしてません!!」

 『…………ふふふ、じゃあ良い方法があるの。聞いてくれる?』

 「な、何ですか?」


 彼女は笑みを浮かべて、私の元へと近寄ってくる。

頬に手を触れられて、彼女は静かに目を細めて言うのだった。


 『私の為に死んでくれる?亜理紗――』

 「……え?」

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