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第百七十九話「弓使いのドラグニカⅢ」

 生徒会長である彼女の戦闘方法は、その相手との絶対的な差があるように見える。

少し離れた場所に居る彼らの戦闘にも、力の差に大きな差異は無いようにも見える。

だが彼、霧原零と海斗と呼ばれる彼らの間には、確かに大きな溝があると思えた。


 『……お姉さんは、戦わないの?』

 「っ!?」


 背後からそんな声が聞こえ、ゾクッと全身に寒気が走る。

振り返ったその場所には、自分よりも小さな身長の女の子?が立っていた。

フードを深く被っているが、朱色の綺麗な髪が目立っている。


 「だ、だれ?」

 『ああ、これは失念していました。ボクも自己紹介をしなくてはなりません。ボクの名前はそうですね……』


 ボク?という一人称だとすると、男の子だったのだろうか。

そんな事を思いながら、彼の次の言葉を待つ。

やがて考えるような仕草を終わらせた彼は、口角を上げて言うのだった。


 『――ボクの名前は、ユラ。カタカナでユラだよ』

 「ユラ、くんで良いのかな?」

 『あぁ、これはまた失念をしていたよ。この口調だと良く勘違いをされるのだけど、ボクは女だよ。まぁ性別なんて、ここでは意味の無い話だと思うけれどね』

 「そ、そうなんだ」


 気難しい性格をしているのだろうか、と思う程に絡み辛い相手だと分かった。

学校のクラスメイトに一人は居そうなタイプで、学者のような話し方をする人みたいだ。

そんな事を考えながら、彼……ではなく、彼女と向きなおして自己紹介をしようとする。


 「私の名前は……」

 『知ってるよ、お姉さんの名前は入江未央。元アイドルで一部には人気だったけれど、突如として姿を消した隠れ有名人。龍災の影響とはいえ、龍紋を刻んだからって引退というのはちょっと酷な話だとボクは思うよ』

 

 知っている。いや、知られている。

話し方は憎たらしいと思える程、容姿とは正反対に可愛気の無い。

だが彼女の言う事は事実で、現にこうして彼らと行動している結果となっている。

それは全て、『龍紋を刻まれた』という結果が物語っている。


 『……そしてお姉さんは、密かに思いを抱えている。暴走を彼に救われた事によって、助けられた事によって生まれた感情。それをどうして良いか分からないと思いながらも、彼とは離れたくないと思っているね。どうかな、お姉さん。当たってるかな?』


 ユラと名乗る彼女は、ニヤリと笑みを浮かべてこちらへと近寄る。

だがその近寄り方は異様で、ユラユラと移動してパッとその場から消える。

まるで、その場から違う場所へとコマ送りされてるみたいに……。


 『ボクが教えてあげよう。彼、霧原零という存在に近付く方法を……』

 「っ!?」

 

 そしていつの間にか隣にやって来て、彼女は耳元でそう囁いて言った。

咄嗟に体を横に向けた途端、そこには誰も居なくて気配すらも感じられない。

全てが夢か幻かと思える程で、そのまま棒立ちするしか無かったのであった――。


 ――同刻、彼らの様子を眺めていた人物が居た。

施設内には屋上があり、そこからは全てを見下ろせるようになっている。

細かい様子は見えないが、ある程度で派手にやっていれば見えるぐらいである。


 「どうだった?彼女の印象は……」

 「ボクの見解で良いなら、彼女は龍紋を削られている。もはや戦闘は出来るとしても、出来てアシスト程度でしょうね。完全に半分以上が喰われてる。どうしてあそこまで龍を削る事が出来るのか、それが一番興味がありますよ。ボクは」

 「なら良かったじゃないか。お前の興味の対象は、あの男だ。良く観察して、見極めると良い。お前に必要か、オレたちに必要かどうかをな――……」

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