表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
173/887

第百七十一話「龍紋保持者―ドラグニカ―Ⅴ」

 私は目の前に現れた彼女によって、構えていた弓を下ろして呟いた。


 「どうして……?」


 どうして彼女が、武器を持って私の前に立っているのだろうか。

そんな疑問を浮かべながら、私は目を見開いて彼女の姿を見つめる。


 「いやぁ、助かりましたよアンジェさん」

 「余所見をしている暇があるなら、もう少し上手く立ち回ってくれませんか?危うく貴方を撃ち抜いてしまう所でした」

 「相変わらず手厳しい……まぁ、俺はここまでは予定通りですよ。今はまだ、ですがね」


 私はキッと奥歯を噛み締めながら、目の前の彼と会話をする彼女へ弓を向ける。


 「――アンジェ、答えなさいっ!どうして貴女が、私の目の前に居るの!今すぐ武器を捨てて投降しなさいっ!!」

 「従いたい所ですが、今は従う事は出来ません。優先事項は現在、お嬢様が二番目となっておりますので……」

 「……っ!?(銃口を向けられたっ)」


 そう思ったが、数秒経過した瞬間に違和感を感じた。

銃口が少しだけ横に逸れていて、狙いが私では無い事が理解出来た。

では、一体誰を?という疑問が生まれ、私は咄嗟に後ろに居る人物に向かって声を上げる。


 「――逃げて下さいっ、霧原さん、未央さん!」

 

 そう叫んだと同時に銃声が聞こえ、私は撃った彼女へと視線を向けた。

躊躇という二文字が皆無と言わんばかりの発砲に対し、私は再び弓を構えて彼女へと解き放った。


 「……っ、馬鹿なっ」

 「おい、落ち着けよ。生徒会長だろ?」

 「!?」


 いや、正確には解き放とうとした。

だが私が構えた手を下へと向けるように手を添え、彼はそう小さく呟いて言った。

そして彼はゆっくりと私よりも前へ、身体を前に出しながら笑みを浮かべる。


 「直接こうして会話するのは久し振り、で良いんですよね?アンジェさん」

 「ええ、そうですね。よく私の放った銃弾を弾きましたね。どうやってやったのですか?」

 「教えたらつまらないだろ?自分で考えて、答えを導き出すんだな。まぁ大した事はしてねぇけどな」


 やれやれ、と言わんばかりに彼は肩から上へと手を上げて左右に首を振る。

いつの間にか黒い剣を出現させていて、明らかに戦闘準備は万端な状態である。

そんな様子の彼は、彼女たちに向かって剣先を向けて言った。


 「……さて、ここからはどうするか。海斗、お前のプランを聞こうか」

 「はぁ……霧原、お気楽にも程があるぞ。こうしている間にも、他のメンバー心配はしないのか?」

 「他の……あぁ、亜理紗と桐華の事か。あいつらなら平気だろ。伊達に執行部に居ないし、序列も高順位じゃねぇと思うぞ」

 「まぁ確かに。だけど霧原、こっちにはお前の知ってる奴も味方に居るんだぜ?その事については、どうするつもりだ?」

 「知り合い?……誰の事だ?」


 そう問い掛けられた彼は、両手に持った短剣をくるくると遊ばせて言ったのだった――。


 「壬生岬玲奈……知らないとは言わせないぜ?」


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ