表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
【完結】ドラグニカ ~剣と契り~【1stシーズン】  作者: 三城谷
第1章【序列第5位、藍原桐華】
15/887

第十四話「銃使いのドラグニカⅦ」

 「すぅ……はぁ……ふんっ!」

 「くっ?!」


 重心を低くして、銃の間合いを潰していく。

飛び道具が相手には間合いを詰めて、詰めれば詰める程に肉弾戦が有利になっていく。

だが一瞬で気を抜き間合いを広げてしまえば、飛び道具相手には勝ち目が無くなってしまう。

だからこそ、攻守の交代をさせる訳にはいかないのである。


 「どうしたんですか、先輩っ!動きがさっきよりも鈍くなってますよっ!」

 「くっ……調子に、乗らないでっ!」

 「――(……あ、危なっ!?)」

 

 銃声が響いた瞬間、零は首を傾けて紙一重で弾丸を交わす。


 「っ!?(また避けられた。どうなってるの?さっきまでと動きが全然違う。それに……)」


 撃った弾丸の軌道を読んでいるのか。そう彼女は零を疑う。

銃身は悟られないように狙いを変えているはずだが、こうも簡単に避けられてしまっては我慢ならない。


 「(それにタイムリミットも近付いてるし……どうしようかな)」

 「(体力落ちたなぁ。こんな事なら、もう少し運動しとけば良かった)」


 溜息を吐きながら、零はそんな事を考える。

壁を背を預けて、作られた景色である空へと見上げる。

自分の龍紋が微かに疼いているからか、零の血は沸騰し全身に熱を帯びさせる。

痛みにも似たそれは、恐らく彼女の龍紋に反応しているのだろう。


 「……聞いていた通り、龍紋同士の共鳴によるものだろうな。くっそ……気分が悪い」


 片手で両目を塞いで、零はそんな言葉を吐き捨てる。

共鳴状態になると分かる事は、共鳴に慣れていない場合だと体調不良と同じ状態になるという事。

今の零は、高熱状態で戦闘行為をしているという事になるのだ。

そんな零は、適性テストの終わらせ方を考えながら深呼吸を始めるのだった。


 ◆◆◆


 「……制限時間も残りわずか。ここまで手こずるとは思わなかった。……あむ」


 乱れていた呼吸を整えながら、桐華は再び棒状のスナック菓子を咥える。

その咥えたそれを上下に揺らしながら、この施設に通う生徒に持たされる電子手帳を開く。

通っている生徒を含め、周辺の情報が入っているデータベースを展開していく。

彼女が検索しているのは、霧原零……つまりは、彼についての情報を改めて確認する。


 「……ん~……気になる情報は無い、かぁ」


 適性テストを終えていない彼についての情報は、簡単なプロフィールを除けば皆無といえる。

だがその適性テストの最中でも、彼には龍の力を使う素振りが無い。

それどころか、龍紋を発動状態にする傾向すら見られない。これではテストにならない。

ただの身体測定にしかならないのは、正直困ってしまうところだ。


 「(予想外の身体能力で、こっちが疲労するとは思わなかった。さくっと終わらせて、お菓子パーティでもしようかなって思ってたのに……当てが外れちゃったな)――仕方ないかな」


 そう呟いて桐華は、ライフルになっていた銃の状態を元に戻す。

二丁拳銃へと戻った彼女は、銃を太ももにあるホルスターへと仕舞いこむ。

そして溜息を吐いた後、やがて上を向いて口を開くのだった。


 ――オペレーション終了、と。

 

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ