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【完結】ドラグニカ ~剣と契り~【1stシーズン】  作者: 三城谷
第1章【序列第5位、藍原桐華】
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第十一話「銃使いのドラグニカⅣ」

 小さく呟かれた言葉は、ただ冷たいモノに感じた。

その言葉が聞こえた瞬間、小さい何かが頬を掠める。

掠めた頬からは生温かいモノが流れ、俺は身体の奥からそれを探した。

その傷の原因を……。


 「探さなくても、これがその傷を付けた物の正体だよ?霧原零さん」


 棒状のお菓子を口で咥えながら、彼女は両手い持ったそれを見せて来る。

そして気が付けば、周囲が明るくなっている。いつの間にか電気が点いたようだ。

――いや、それよりもだ!


 「なんて事するんですか!当たったら死んでましたよ!」

 「大丈夫。ここで起きた事は内密に処理されるし、万が一の事があっても問題にはならないから安心して」


 どこにも安心出来る要素が無い!

ここで起きた事が抹消されるという事は、もし致命傷を負っても問題にはならないという事。

それは何というか、それ自体に問題があると思うのは俺だけだろうか!?


 「――ほら。だから避けないと危ないよ」

 「そう言いながらバンバンと撃たないでくれませんか!?」


 二丁拳銃を交互に撃つ彼女には、どう頑張っても勝てる気がしない。

何故なら、彼女はこの学園で序列5位という実力者でもあるからだ。

しかも肝心の俺は、まだドラグニカとしての能力を使いこなす事が出来ていない。

その能力の発動出来る兆しがあっても、戦闘行為が出来る所までの調整が出来ていないのだ。

彼女との差は、天と地。勝てる気が全然しない。


 『ピピ……オペレーションシステムが作動しました。ステージの再設定を行います。希望のステージを選択して下さい』

 「……んー、軍基地に設定変更。訓練レベルは3ぐらいで良いかな」

 『ステージの変更を確認。これよりオペレーション準備に移行します』


 機械の音声アナウンスが流れ、彼女はその声に淡々と応えていく。

それによって、何も分からずに場の空気が一変する。

固体の概念が備わっているのか、はたまたバーチャル世界に飛び込んでしまったのか。

そう錯覚するほど、周囲に実体のあるどこかの基地が浮かび上がる。

どこの軍基地で、どういった場所なのかなんて今は頭に入ってこない。


 『ピピ。変更を完了致しました。これより、ドラグニカの適性テストを許可いたします。ご存分に腕を振るって下さい』

 「……そういう事だから、構えて」

 「…………」


 俺はそんな状況の中で、無い頭の思考をフル回転させる。

軍基地の詳細は頭に入って来なくても、これだけは頭に入れる事が出来た。

今から俺は、彼女と戦わなければならないという事だけだった――。

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