乗せられやすい僕と、クール時々笑顔な君と。4 〜トリックオアトリート〜
4話目です。今日はハロウィンなので、乗っかってみました(^^♪
あーあ、今日が休みならいいのに。僕はそんなことを考えつつ、アラームを止める。
今日が休みなら、美零と一緒に遊びに行ける。ハロウィンだから、どこもかしかもお祭り騒ぎ。きっと楽しいだろう。
でも残念、今日は学校だ。
「おはよう、美零」
「おはよう、玲くん」
相変わらず美零はかわいい。最近じゃむしろ、クールなところを見なくなった。
他のクラスメイトからは未だに真面目でクール、って思われてるけど。
「ハロウィンだね」
「そうだね。休みだったらよかったよね」
「あ、僕も同じこと思ってた」
同じことを考えてるなんて、少し……いやかなり嬉しい。
「そうだ! ねぇ、ハロウィンといえばなんて言う?」
楽しそうな笑顔で、美零は言う。ハロウィンといえば……か。
「トリックオアトリート?」
してやったり、って顔だ。
「はい、どうぞ」
オレンジや黒のラッピング。トリート、かな?
「これは?」
「パンプキンケーキ。頑張って作ったの」
「食べていい? すっごく美味しそう」
いいよ、とうなずいたから、早速包み紙を開ける。しっとりして美味しそうなケーキが出てきた。かぼちゃの形に切られていて、女子力をひしひしと感じる。
「……すごっ、めっちゃ美味しい!」
「ホント!? よかったー、お菓子作るの久しぶりだったから」
寒さのせいかなんのせいか、少し耳を赤らめる美零。かわいい子には悪戯したくなるのが男子だよねぇ。
「ね、僕にも聞いてみて?」
「え? トッリクオアトリート」
「お菓子持ってませーん。というわけではい、悪戯どうぞ」
「えええっ?」
まさかの返事に美零は慌てている。
「うぅん……。……じゃ、目を瞑って」
言われた通りに目を閉じる。いい展開に見せかけて普通に悪戯とか? うーん、読めない。
肩に手をかけられて、少し屈まされる。身長差のせいだ。
ふわっとした柔らかい感触。頬にキスをしてくれたみたい。
「――好きだよ、玲くん?」
笑みを含んだ声でそう言われて、僕は目を開ける。やっぱり美零の顔は真っ赤だ。でも、僕もかも。
「僕も好きだよ、美零」
さらにそう言うと、「もうっ」と照れて顔を背ける。頭を撫でて、手を差し出した。
「ほら、学校行こ」
「うん」
休みじゃなくても、楽しいハロウィンだった。でも休みになったら、一緒に遊びに行きたいな。来年とか、どうなんだろう?