表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
ハッカドロップ  作者: ふわり
1/9

第1話


「…あの日から、真っ暗な部屋にいるの。窓も出口もない部屋に閉じ込められたまま、何処にもいけない。私、もっと違う世界をみてみたい。自分や他人を信じてみたい」



 早坂さんのことが好きだったのかどうか、今となっては良く分からない。もやもやと巣作っている感情は恋とか愛とかの類のものではなくて、もちろん友情でもないような気がするから。

 周囲から送られる視線が怖くなったとき、笑い声が耳の近くに聞こえてうるさいとき、私はいつもハッカドロップの味を思い出す。鼻を抜けるツンとした香りとあとからやってくる甘さを思う。緊張に冷たくなりつつある指をこすり合わせながら、丸まりかけた背中をピンと張り詰めさせながら。


 制服のポケットのなかでサクマドロップの缶をからころ鳴らして歩く、彼女の苦手なハッカ味の飴。押し付けられるようにして手の平に載せられた白い砂糖の素っ気ないかたまりは、一瞬にして私たちの初めての出会いに引き戻してくれる。

 早坂さんが学校からいなくなってしばらく経つけれど、私は彼女のことを忘れたことなんて一度だってなかった。


評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ