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異世界から仕送りしています  作者: いせひこ/大沼田伊勢彦
第三章:異世界ハーレム生活
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第82話:栄光を掴む手

お待たせいたしました。

皆さんお待ちかね、タクマ制裁回です。


エレンから次々に放たれる矢を俺は避ける事も防ぐ事もせず、受け続けていた。


うーん、流石四桁の魔力。普通に痛ぇ。

イメージとしては俺の胸にすがりつき、涙目の上目使いで、「バカバカバカ」とポコポコ叩くイメージだったんだけど。

どっちかってーと、ワンツーパンチを食らい続けてる感じだ。

当然、このまま食らい続けると死ぬ訳だけど……。


でも避ける気も受ける気も起きないな。

この一発一発がエレンの気持ちだと思うと、俺は全部受けきらないといけない気がする。

例えそれで死ぬ事になったとしても……。


いや、死ぬのは流石にまずい。今の俺には守るべきものが多いからな。

サラ達を悲しませる訳にはいかない。


最初は中々凄まじい笑顔で俺に向けて嬉々として矢を放っていたエレンだったけれど、その表情が徐々に悲愴なものに変化していく。


うぅむ。なんとなく、俺が矢を受け続けているせいだというのはわかるけれど。

正直、どうするのが正解なのかわからん。


かつての俺を超えたハイパー俺になるためには、女心もわかるようになるべきなんだろうけどさ。

まさか俺にこの攻撃を対処して欲しかったって訳じゃないよな?

でも「()し合いましょう」っつってたのを考えると、正解のような気がしないでもない。


HPがやばくなったらそうしてみるか……。


なんて思っていたら矢の雨が止んだ。

見ると、エレンの両隣に浮かんでいた二体の戦の精霊(ヴァルキリー)が消えていく。彼女達が支えていた二張の弓が落下していく。


どうしたのか? なんて『アナライズ』で見れば一目瞭然。

MPが無くなったんだ。


「おっと!」


そのまま膝から崩れ落ちるエレン。けれど、彼女が居るのは地上から五メートルくらいの位置にある枝の上だ。

エレンのステータスだと、上手く着地しても骨折くらいしそうな高さ。

そんな所から、意識を失った状態で落ちたら……。


考えている間に足が動いていた。何とか、エレンが落下する前に彼女が立っていた枝の真下に到着する。

ゆっくりと落ちて来る彼女を、両手を広げて受け止める。


「うぐ……!」


小柄なエレンと言っても、30キロはあるだろうか。

それだけの質量が自由落下してくるんだ。中々の衝撃だ。

しかも、ただ受け止めればいい訳じゃない。落ちて来る相手に極力怪我をさせないように優しく包み込まないといけないんだ。

腕に重量がかかると同時に膝の力を抜き、何とか衝撃を殺してキャッチする事ができた。


目を閉じて、口を半開きにした表情のエレンの顔は、それでもひどく綺麗だった。


白い肌、整った目鼻立ち。

睫毛、長いなぁ……。


思わず吸い込まれそうな、瑞々しい唇。


この世界に来たばかりの頃なら、エレンに出会ったばかりの頃なら、サラと出会う前の頃なら。

こんな事は絶対にしなかっただろうけれど、俺はもう、大分女性とのスキンシップに対してハードルが下がっているらしい。


「ん……?」


よく見ると、目をきつく瞑っているようで、それはつまり、彼女は気を失っていないという事ではないだろうか?


「お待たせして申し訳ありません、エレン様」


という事で声をかけてみる。すると、ゆっくりと彼女は目を開いた。


「約束通り、あなたを迎えに参りました」


それを認めて更にもうひと押し。とにかく、エレンの心のメータをデレに振らないといけない。


するとエレンは驚いたような表情を浮かべた後、こちらに窺うような視線を向けて来る。

本当に? とか、そういう意味だろうな。

できるだけ優しそうに見える笑みを浮かべて、俺は小さく頷く。

喜びの表情を浮かべるエレン。花が咲くような、とはまさにこの事か。


エレンが腕を伸ばして、俺の首にしがみつく。

座りが悪いとか、そんな色気の無い理由じゃない事は、流石の俺でも想像がつく。

俺もエレンをしっかりとホールドし、ゆっくりと顔を近付ける。

再び目を閉じるエレン。


その小さな唇に、俺はそっと、自分の唇を重ねた。




「それでは参りましょうか」


「はい。エレンは旦那様と一緒でしたら、どこにでも、どこまでもついていきます!」


彼女を抱いたまま俺がそう言うと、エレンも俺の腕の中で力強く宣言した。

けれど、何か勘違いしているようだ。


「いや、エドウルウィンですけど?」


「え……?」


するとエレンは絶望的な表情を浮かべる。

あ、目からハイライトが消えてる。


「ど、どうしてですか? エレンでは、やはりエレンでは駄目なのですか? どこがいけませんか? 言ってください。直します。すぐに直します。エレンは旦那様に相応しいエレンに……」


「ああ、違う違う。そうじゃない。大丈夫、俺はエレンに不満なんて抱いていない」


思わず敬語を忘れてしまう。スイッチ入りやす過ぎじゃないかな?

そうか、エレンにとって俺が迎えに来た事で、もう里を出たつもりなのか。

私物とかどうするんだろう。


「ほんとですか? エレンは捨てられたりしないのですか?」


「しない。きちんと連れて帰る。むしろ、捨てて欲しいと言われたら、一晩中でも説得したいくらいだ!」


「はい。どこへでも連れて行って下さい。あ、でも旦那様と一晩語らえるというのであれば、たまには捨ててとお願いしてみるのも良いかもしれませんね」


やめてくれ、俺の精神が保たない。


「人間の風習では、結婚する女性の両親に、男性が挨拶に行くっていうのがあるんだよ」


これは、エレノニア王国でも普通にある習慣だ。


「娘さんを俺に下さいってね」


「まぁ……」


頬を赤く染め、目を逸らして微笑む様が可愛らしい。


「それにエレンの荷物も持って行かなくちゃいけないだろう?」


「いえ、基本的に里を出るエルフは弓くらいしか持って行きませんよ?」


居ついた先で揃えるって事か。


「思い出の品とかあるだろう?」


「そういうものも全て置いていきます。今生の別れになる事が殆どですから、未練を残さないようにするためですね」


余計残りそうだけどな。ああ、外でホームシックにかからないようにするためってのもあるのかな。


「でも俺はエレンを定期的に里帰りさせるつもりだよ」


「え……?」


「いくらエドウルウィンの習慣がそうだからと言っても、やっぱりこれまで一緒に暮らしていた家族と一生会えないっていうのは寂しいだろう?」


ハイライトが消える前に理由を説明する。


「ご配慮いただきありがとうございます。でも、エレンは大丈夫ですよ?」


「まぁ、その辺も話にいこう」


郷に入っては郷に従え、とはちょっと違うけれど、エルフにとって里帰りが受け入れ難いって言うなら、無理に押し通す事もないだろう。


「という訳でエドウルウィンへ行く。その後は、エレンの家へ案内してくれるかい?」


「はい、お任せ下さい!」


まぁ、敬語はもういいや。あくまでエレンの立場を考えて敬語を使っていただけだしな。エレンも気にしていないようなので、俺も気にしない事にする。




暫く歩いたところで、俺は不図思い出して、エレンに話しかける。


「ところで、エレンを貰う前に言っておきたい事があるんだ」


何かの宣言のような言い回しになってしまった。


「なんでしょう?」


「…………実は俺の家には、既に他の女性が住んでいる」


言っておかなければいけない。許可を得ておかなければいけない。

家の中で血みどろの正妻戦争なんて起こさせてはいけない。


「え…………?」


再びハイライトが消えるエレン。


「彼女達とは勿論、男女の関係だ。彼女達との関係を考えて、お前を嫁とはまだできない。愛人、のような扱いになると思う……」


「…………い、いえ、エレンは大丈夫です。そうですよね。旦那様は時空の神様の使徒様。囲う女性の一人や二人いてもおかしくありません。むしろ英雄色を好むの言葉からすれば囲ってなくてはならないお方。むしろエレンの方から私もその輪に入れて下さいと頼むべき立場ですからね。むしろエレンの方が旦那様の立場を考慮して自分は何番目なのかを聞くべきでした」


止めたいんだけど、なんというか、グサグサと心を抉ってくるぜ。


「そもそもエレンは旦那様に下賜された立場。旦那様の生活に口を出すような資格はありませんのでエレンは大丈夫です」


大丈夫じゃないよな、絶対。


「えぇと、こういう事を俺が言うのもなんなんだけど、別に彼女達の間で序列がある訳じゃないし、俺も順番をつけてる訳じゃないんだ。だから、エレンが何番目とか、そういうのじゃなくて、全員が大事なんだよ」


「全員が、大事……?」


「そう、エレンも大事なんだよ!」


「私も、大事?」


「そう! エレンが大事!!」


そしてぐっと、力を込めてエレンの肩を強く抱く。

ちなみに、未だにお姫様抱っこの状態だ。


「だから、彼女達とも仲良くして貰えると、俺も嬉しい」


「旦那様も、嬉しいのですか?」


「ああ、エレンが仲良くしているのを見ると、俺は嬉しい」


「わかりました。仲良くします!」


素直ないい娘なんだけど、なんだろうね、凄く疲れるよ。



そのままエドウルウィンに入る。

俺は顔パス。前回別れる際に族長から言われた、俺に対して閉ざす門を持たない、というのは社交辞令じゃないらしかった。

エレンを抱えている事に驚かれたり、困惑した表情を浮かべたりするばかりだ。

俺とエレンが仲良くしている事で、エレンが無事俺のモノになったと理解しているのだろうけれど、だからこそ、戻って来た事に困惑しているんだろう。


集落の中心にある一本の巨大な樹、祖樹アールヴ。その根元に族長の屋敷があり、そこから歩いて五分くらいの場所に、エレンの実家はあった。

流石に長老会の一人が住んでいる屋敷だ。他のエルフの屋敷より二回りほど大きい。


俺がエレンを連れて訪問した事に、やはり困惑と共に驚かれたけれど、両親に改めて挨拶がしたいと伝えると、使用人らしきエルフが慌てた様子で俺を応接室らしき部屋に案内して、慌ただしく出て行った。


族長の屋敷は土足で椅子文化だったけれど、ここはゴザが敷かれていて床に直接座るスタイルだ。靴も玄関で脱ぐよう言われた。


「あら、タクマ様、お久しぶりでございます」


柔らかな声と共に室内に入って来たのは、銀髪に切れ長の瞳の美女エルフ、エレンの姉のヒルダさんだった。

族長の息子であるエルヴィンに嫁いだ筈だけれど、何故ここにいるのか?


「お久しぶりです。ヒルダ様」


「そんなに畏まらなくて良いですよ。何せ、義理とは言え姉弟になるのですから」


柔らかく微笑み、ヒルダさんは俺の斜め前に腰を下ろす。

なんというか、仕草の一つ一つが色っぽい人だよな。

エレンさん、足の裏つねらないで。


「すまぬ、待たせたな」


ヒルダさんに続いて入って来たのは、威厳たっぷりな老エルフ。その後ろに同じくらいの年の女性エルフが続き、最後にエルヴィンが入って来る。

え? なんでお前が?


「改めて、エレンの父親のアーデル・リヒターである。この度は、我々に話があるという事であったが?」


「タクマです。アーデル殿。その通りではありますが、その前に、奥方のご紹介をいただいてもよろしいでしょうか?」


アーデルさんは返答の代わりに一つ頷いて見せた。


「エレンの母のヴィーシャです。娘をよろしくお願いしますね」


ころころと笑う穏やかなその姿は、ヒルダさんとエレンの将来を安心させてくれるようだった。


エレンからだけでなく、ヒルダさんからも殺気が放たれているような気がする……。


「タクマです、初めまして。先に言われてしまいましたが、改めまして、アーデル殿、ヴィーシャ様。エレン様を、娘さんを俺に下さい」


言いながら、俺は頭を下げる。正座の姿勢から、所謂土下座の体勢だ。


「もとより、族長会議にてエレンを其方に下賜する事が決定した時点で、我らとしてもそのつもりだが?」


「お父様、確か人間の習慣ですよ。貰い受ける娘の両親に挨拶に参るのだとか。エルヴィン様だってお父様に挨拶なさったでしょう?」


ヒルダさんがフォローを入れてくれる。ああ、エルフにもそういう習慣ちゃんとあるんだ。


「お前とエルヴィンとは正式な婚姻だ。しかしエレンは違う」


「あなた、堅苦しい事はいいじゃありませんか。エレンが良縁に恵まれたのは確かなのですから」


ヴィーシャさんからも援護射撃が飛ぶ。


「そうか、それもそうだな。わかった。ならば、正式な婚姻と同じように扱おう、タクマよ」


「はい」


改めて俺に向き直り、アーデルさんは俺を呼ぶ。俺も居住まいを正して応じる。


「娘を嫁に出す父親の気持ちがわかるかな?」


ちょっと、圧が高まったような……。


「いえ、まだ子供がいないもので……」


「それでも、ある程度は想像できるのではないかな?」


「娘が巣立つ喜びと、他人のものになる哀しみくらいであれば……」


「それだけわかれば十分だ。そこの若造はまるで理解しておらなんだでな」


水を向けられ、苦笑いを浮かべるエルヴィン。


「ならばタクマよ。娘を送り出す父親として、いっぱつ、殴らせてもらえるだろうか?」


「は……? いえ、わかりました。手塩にかけて育てた娘を連れて行く相手に対して、そのくらいは当然かと」


割と、地球の風習と似たテンプレ展開に若干興奮している俺がいる。


「そうか、より心がけだ。どこぞの若造は何故自分がと喚いて見苦しかったでな」


俺は思わずエルヴィンに目線を向けた。顔を逸らすエルヴィン。肩が震えているのは羞恥か怒りか。


「あれをもて」


アーデルさんがそう言うと、部屋の奥の扉が開き、二人のエルフが何かを抱えて入って来た。

そこそこ大きめの木箱だ。

前に置かれたアーデルさんが紐を解き、蓋を開ける。


そこにあったのは、金で縁取られた、光沢を放つ金属の篭手だった。

なんだろう? かなりの威容だ。というか、すげぇ神格を感じる。




ハンズ・オブ・グローリー:[分類]防具・近接武器

             [種類]篭手

             [属性]打撃

             [耐性]斬〇突〇打△火△熱△氷△水△風△土△石△雷〇光△闇△

             物理防御力25

             魔法防御力30

             物理攻撃力300

             重量5

             このアイテムによる打撃攻撃の威力50%増加

             このアイテムを装備している者の筋力+255

             [固有性能]栄光を掴む手

             このアイテムを装備した者は、このアイテムを装備している間『超闘士』の職業を獲得する。

             このアイテムを装備した者は、このアイテムを装備している間『超闘士』のスキルの中から任意で一つを獲得できる。




え!? なにこれ……?

どう見ても、神器とかそれ系だよね。

なんだろう、この何かを殴るために存在しているような篭手は。

この流れでこんなアイテムが出て来たって事は、実は俺への結納品って訳じゃないよな。


ちらりとエルヴィンを見ると、顔を俯かせて肩を震わせていた。

さてはてめぇ、さっきから笑いを堪えてやがるな!?


がちゃり、という音がしたので間を見ると、アーデルさんがその篭手を装備していた。

あ、やっぱりそういう流れなのね。


「スキル選択、ゴールデンライト」


そして打撃系スキルの中でもトップクラスの威力を誇るスキルを選択する。


アーデルさんの筋力は150程度。装備の攻撃力と、特殊効果を足しても、俺の頑強に届かない。

頑強の数値はあくまで、俺の体の中で最も高い箇所を表示しているだけだし、身構えていなければ更に脆くなるとは言え、流石に半分程度の攻撃力では大したダメージを受けないだろう。

けれどあれは魔法の武具。つまり、アーデルさんの魔力が威力に乗る。

おまけに『拳闘士グラップラー』の上位職業『撃闘士ストライカー』の更に上、超位職業である『超闘士チャンピオン』の職業補正。なにより、『ゴールデンライト』のスキル倍率で、間違いなく俺の防御を大きく抜いて来る。


だけど、まぁ。受けない訳にはいかないよな。


という訳で俺は、正座したままアーデルさんを見据えてじっと待つ。


「よい目だ。どこぞの若造は他の者達に押さえつけられながらだったというのに」


随分エルヴィンの時にご苦労なさまったみたいですね。


「ヴィクトル!」


「はい、父上」


アーデルさんが名を呼ぶと、奥の部屋から一人のエルフが出て来た。

アーデルさんの息子か。『アナライズ』で見るとヒルダさんの下、エレンの上。

そして職業は『付与術士エンチャンター』。


俺の方をちらりと見た後、ヴィクトルはにやりと笑って魔法の詠唱を始める。

あ、こいつ兄バカだ。


「アタックブースト!」


そしてアーデルさんが差し出す右腕に付与魔法をかける。

名前から想像できる通り、攻撃力を上昇させる魔法だ。


「アタックバースト!」


そして付与魔法は基本的に同じ魔法を重ねてかけても効果は重複しない。

けれど、別の魔法なら可能だ。


攻撃力上昇と防御力上昇とか。防御力上昇と速度上昇とか。


攻撃力上昇と攻撃力超上昇とか。


「歯を食い縛れぇい!!!」


アーデルさんが立ち上がって叫んだ。俺は言われた通りに歯を食い縛る。


「バカ者! 防御しろ! 別にそれは禁止されていない!!」


すると鋭くエルヴィンが叫んだ。

あ、スキルや魔法で威力を減らしていいのか。そりゃそうだな。

でないとあれ(・・)食らってエルヴィンが生きてる筈がないよな。


「もう遅い!」


完全に悪役のセリフを叫んでアーデルさんが黄金の右を放つ。


確かに遅い。

いや勿論、ここからでも俺はこの攻撃を完全に防ぐ事が可能だ。

ここからエルフができる事はせいぜい防御用の魔法かスキルを一つ二つ使う事だけ。

けれど俺は違う。防ぐだけでいいなら、俺はこの一瞬でも幾つものスキルや魔法を同時に発動できる。

そもそも高位の魔法の中には、打撃属性完全無効のものがある。


けれどもう遅い。

俺は既に決意してしまった。既に覚悟してしまった。


娘を貰っていく男として、父親の想いの乗った拳を、素のままで受け止めると。


あとはやっぱり、二年待たせた罪悪感のようなものもあったかもしれないな。


手紙も結局一通しか(しかも当たり障りの無い内容のもの)出さなかったし。


拳が俺の左頬を捉える。そのまま吹き飛ぶ俺。


うわぁ、すげぇ痛ぇ!!


HPが一気に減ったのが自覚できたぜ!


でもまぁ、うん、ちゃんと伝わりましたよ、お義父さん。


敵意と憎悪と殺意のその奥に。

娘を頼むと頭を下げる、あなたの想い。


受け取りました。




気を失う事こそなかったものの、俺は立ち上がる事ができずにそのまま倒れていた。


親父さんは今日は泊まっていく事を許す、と言って立ち去ってしまった。

ヴィーシャさんとヒルダさんも、エレンと暫く話した後、部屋を出て行った。


エルヴィンも、そのまま受ける奴があるか、と苦笑いを浮かべて言うと屋敷を後にする。さっきの忠告と言い、あいつやっぱりツンデレだよな。

ヴィクトルは申し訳ありません、と頭を下げた後退出した。社交辞令的なものじゃなかった。本気の謝罪だった。多分、親父さんの拳を真正面から受け止めたのが良かったんだろうな。


「ありがとうございます」


俺は今、エレンの膝の上に頭を乗せている。

所謂膝枕だ。

細いエレンの太ももが心配だけど、この柔らかさと暖かさを後頭部で感じられる体勢、凄くいい。


「いや、俺がするべきだと思っただけだからさ」


「それでも、父の想いを汲んでくださった事に、感謝します」


「お前の父親だ。俺の義理の父親になる相手でもあるし。きちんとしたかったんだよ」


結婚する訳じゃないけど、まぁ、そう言っちゃっていいよな。

サラやミカエル、モニカは無理だとしても、カタリナの両親にはそのうち挨拶に行かないとな。


「他のひとの事考えるの、楽しいですか?」


「……すまん」


「もう……」


言葉ほどにはエレンは怒っていないようだった。

その証拠に彼女は、俺に覆いかぶさるように頭を抱え、顔を近付けて来た。

目を閉じてじっと待つ。


「たあああぁぁぁくうううぅぅまあああぁぁぁ!!!」


その時、地獄の底から響いて来るのかと思ってしまう程の恐ろしい声と共に、勢いよく扉が開かれた。

驚きと羞恥で、エレンが素早く顔を上げる。


そこには、鬼より恐ろし形相をしたアーデルさんが立っていた。


「さっき門番から聞いたのだがね、貴様、他に女が居るらしいな!!?」


あ、あれ聞かれてたのか。誰だよ、チクった奴は。


「まぁ、貴様程の才覚の持ち主だ。女が一人だけという訳にはいかんことは理解している。現に、私も妾がいないでもない!!」


そこは一夫多妻制を採用しているエルフ。では何に怒っているのか?


「しかしウチの娘を二年も待たせておきながら、他に女を作るっていうのは、それはないんじゃないかね!?」


あ、うん。はい。俺もそう思います。


アーデルさんの右腕には例の栄光を掴む手。

そっと、エレンが俺の頭を床に降ろして、俺から離れる。

あ、止めないんですね。まぁ、止める理由ないもんね。


俺も体を起こし、正座をして右頬を差し出す。

別に某宗教の教義を真似た訳じゃない。

左頬がまだズキズキ痛むからだ。


「良い心がけだが、私は右利きなのだよ」


言わんとするところを理解して、俺は左頬を差し出した。


「死ねぇっ!!!」


死ねはないだろ。

思っている間に黄金の右が俺の左頬に炸裂する。


流石に回復せずに二発はきついな。

そんな事を考えながら、俺は遠のく意識を手放した。


元々このような流れだったんですが、タクマに制裁を、という意見がありましたので、神器とスキルと付与魔法をプラスし、二発いかせていただきました。

次回はエレンとハーレムメンバーご対面。

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― 新着の感想 ―
[一言] 懐かしい名前ですね 255円かな?
[一言] 当時一緒に旅してた女だけなら兎も角、拠点購入してすぐにロリだからで置いていったエルフとそう変わらない歳の奴隷を購入(この時点でエルフ娘迎えに行くだけで良かったじゃんになる上にキャラ被りする)…
感想一覧
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