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異世界から仕送りしています  作者: いせひこ/大沼田伊勢彦
第三章:異世界ハーレム生活
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第67話:貴族奴隷の独白

カタリナの独白です。

ストーリーが切れてしまいますが、他に入る場所も無かったので。

わたくしの名前はカタリナ・アルヌス・エンデ・クォーリンダム。

エレノニア王国の栄誉ある貴族の一人娘ですわ。

クォーリンダム家は子爵の位階を賜っており、小さいながらも王国より与えられた領地をしっかりと統治しておりました。

王国の北東にあるルル湖周辺に位置する、湖周派と呼ばれる貴族の一員でしたの。

ルル湖にはダゴニアというダンジョンがありまして、このダンジョンがその性質上、冒険者達からあまり人気の無いダンジョンでしたので、頻繁にモンスターが溢れ出る現象、氾濫が起きておりました。

この氾濫に合同で対処するために造られた派閥が、クォーリンダム家も参加する湖周派ですの。

しかし、クォーリンダム家はこの湖周派の中で、領地が外側に位置しておりましたから、氾濫の影響はあまりありませんでしたわ。

氾濫発生時に、鎮圧のために冒険者や傭兵を雇う際の供託金を払うくらいでしょうか。

そのお陰で、湖周派の中では比較的領地が豊かでしたわ。


そのせいでしょうか。クォーリンダム家はわたくしの婚約者であるディール家の三男に騙されて多額の借金を背負うはめになったんですの。

人の良い父は彼の男の口車に乗せられ、借金の一部を肩代わりする事になりました。

けれど、契約書を偽装され、いつの間にか借金を全て我がクォーリンダム家が支払う事になっており、気付いた時には利息だけで莫大な額になっておりましたわ。


法務局に訴えてもまるで取り合って貰えず、それどころか、偽の契約書を盾に、こちらを法を破る痴れ者だと罵る始末。

流石に騙されたと気付いた父は、したり顔で自分を婿養子にするよう迫って来た彼の男を追い払い、王国に領地の返還を申し出ましたわ。


相手の目的はクォーリンダム家の領地であり、娘婿ではなく、クォーリンダム家当主として我が家に婿入りしようとしていたようですの。

それを悟った父は、領地と貴族の栄誉を失ってでも、その誇りを守ったんですのよ。


当初は修道院にてお家再興が果たされるまで待つ予定でしたが、わたくしは父の覚悟に胸打たれ、自らもお家再興、領地復古の手伝いをする決意をしました。


領地を国に返上した貴族が、再び領地を得る方法は二つ。

新たな領地を国から賜る程の功績を成したか。

ある程度の金を稼ぎ、領地を買い戻すか。


そしてそれを貴族のまま行うには、法衣貴族となって、王宮の仕事をするしかありませんわ。

しかしわたくしのような成人もしていない小娘では、それも不可能。

ならば選べる道はただ一つ。

奴隷に身を落として賃金を得る。


父は知り合いの伝手を使って法衣貴族となり、財務局に勤める事になりました。

それまで領地を経営していたとは言え、今まで無役だった父には中々難しいようで、給金も父と母の生活費を支払えば殆ど残らない程度のようです。


これはわたくしが頑張らなければなりません。

幸い、わたくしには魔法の才能がありましたから、戦闘奴隷としてダンジョンに随行すれば、それなりに賃金をいただけるでしょう。

一獲千金も夢ではありませんしね。


けれど、本当に幸いでした。

貴族同士の結婚は、家の結びつきを強めると同時に、跡継ぎを残す目的があります。

そのため、立派な子を産むために、貴族の子女は夜に殿方を喜ばせる方法を学ぶのです。


とは言え、誰とも知らない男に体を売るほど、わたくしの誇りは安くありませんわ。

勿論、いよいよとなればその手段も考慮しなければならないでしょうが、魔法の才能があった事で、最初から最終手段に頼る必要が無かったのは幸運だったと言えるでしょう。


自らを売ったのはガルツの奴隷商。

迷宮都市と呼ばれる、ダンジョンを中心に発展した珍しい街。

その性質上、素性のよろしくない、あるいはよくわからない者達が多く集まる街でもありますから、あれから色々とちょっかいをかけてくる彼の男から身を隠すのにも丁度良いですわね。


信用できる奴隷商を紹介して貰い、そこに自分を売る。

折角だから契約で色々縛っておきましょう。その分値段は安くなりますが、こういうのははじめが肝心。

どのみち、自分を売った程度のお金では領地を買い戻す事はできないのですから。

長く、安定して稼ぐためにも、奴隷契約を詰めるのは間違いではありませんものね。



……解せませんわ……。


また二年で契約を切られてしまいましたわ。

わたくしの奴隷としての契約は一年更新。更新するかどうかの選択権はわたくしにあり、更新しない場合、わたくしの購入額の一割を違約金としてわたくしに支払う必要がありますの。

これならわたくしを無碍に扱う主からは一年で逃れられますし、違約金を支払わないよう大事に扱ってくれる筈。

そう思っておりましたのに。

何故かみな、一年目はわたくしをよく使ってくださるのに、二年目は拠点で待機させるんですの。

働かなくては賃金は支払われませんからね。

その状態が改善されないのであれば、契約を更新しないと言ったら、普通に了承されてしまいましたわ。


わたくしの魔法の才能は、他の魔法使いの方と比べても遜色無い筈。

契約のせいで賃金が割高ですが、それ以外に関してはわたくしは文句を言わずに主の命令に従っていました。


なのに何故か、みなわたくしをあっさりと手放すんですの。


そんな事が何度か続いて、わたくし、もう21歳になってしまいました。

わたくしの目的はお家再興。

そのための目標額はまだ遠く。あと二~三年では決して届かないでしょう。

仮に五年でお家再興を果たしたとしても、その時わたくしは26歳。

はたして、誰がわたくしの婿に来てくださるでしょうね?


わたくしが跡継ぎを産めなければ、折角領地を買い戻しても、血筋が途絶えてしまいますわ。

お家断絶は、貴族の恥です。


次の方が最後のチャンスかしら。

これで駄目なら諦めて、どこか力のある貴族の後添いにでもなって、その方にお願いして領地を買い戻す事を考えないといけないかもしれませんわね。

ディール家? ありえませんわ。

例え王国内全ての貴族から断られても、彼の家だけはありません。


むしろそうですわね。

次の方で駄目なら、ディール家を我が身と引き換えに滅ぼしても良いかもしれませんわね。

連座制が王国にはあるので、間違いなく父と母にも累は及ぶでしょうけど、きっと二人ならわたくしの覚悟をわかってくれる筈。


父は未だに財務局で一番位が下ですから、年下の法衣貴族、あるいは平民達から命令される立場にあるんですの。

いくら人の良い父でも、そろそろ耐えられないのではないかしら?

母は内職を始めたと聞きますから、あちらも色々限界でしょう。


いっそ、クォーリンダム家の全滅と引き換えに、憎きディール家を道連れにするのも良いかもしれませんわね。

死んでも縁が続くのは、ちょっと、いえ、かなり嫌ですけれど……。


Aランク冒険者との契約が終わってこの奴隷商館に戻って来るのも何度目かしら。

わたくしを見た奴隷商の諦めの混じった哀れみの眼差しは忘れられませんわ。


そんな時にやって来たのがあの方でした。

わたくしの運命の相手。

まさに運命の神によって紡がれた奇跡の会合。


その方は最近ガルツの冒険者の間で噂になっていました。

半年前にふらりとガルツに現れた時、いかにも初心者然とした装備だったのに、いつの間にか強力でレアな装備を多く持ち、城壁の外とは言え家を建てた有名人。

それだけでも将来有望だとわかりますが、既に奴隷を一人所有しているのに、この短い間に二人目を購入しようとするゆとりまで持っています。

それだけ稼いでいるという証左でもあるでしょう。


年齢的に恐らく最後のチャンス。

その最後に現れたのが、このような優良物件。

これを運命と言わずしてなんと言うのでしょう。


奴隷の扱いも良さそうですし、紳士的な扱いを期待できそうですわね。


黒目黒髪はこの大陸東部の、更に東の地域では、英雄の証と言われていますわ。

それは第五階位の魔法を使いこなし、一介の冒険者から一国の王にまで成り上がった冒険王が黒目黒髪だったからだと言われていますの。


彼の方が所望したのは戦闘ができる奴隷。

仮に戦闘ができなくても、育てるから問題は無いという話。


となるとわたくしは微妙ですわね。

戦闘はできますが、年齢がいっていますから成長の余地が無いかもしれませんもの。


若干諦めにも似た気持ちでいると、彼の方はわたくしをじっと見つめられましたわ。

そして奴隷商にわたくしの来歴を聞き始めました。

ああ、これはもうダメですわね。

これまでにも、わたくしを一目見た時は目を輝かせていた冒険者達が、わたくしの経歴や条件を聞いて、買うのを止めた事は多くありました。


などと思っていたら彼の方は奴隷商と値段交渉を始めました。

これは逆転のチャンスですか!?

奴隷商には年齢的なものを理由に、利益が出るギリギリまで下げても良いと伝えてありますわ。


結局わたくしは彼の方に買われる事になりました。

思わず心の中で拳を天高く突き上げてしまいました。まぁはしたない。


条件はお家再興に関する事以外はほぼ絶対服従となるようにしました。

更に値段が下がってしまっては、もしも彼の方が運命の相手などではなかった場合、違約金が安くなってしまいますものね。


それに、この方が相手なら、わたくしも純潔を捧げる事も厭いませんわ。

むしろ一度と言わずに孕ませていただいて、産み癖をつけておくのも良いかもしれませんわね。

そろそろ、領地を買い戻した後の事を考える必要がありますわ。


領地を買い戻す見通しは全く立っておりませんが……。


そして彼の方、タクマ様の家に行って更に驚きました。

家自体は庶民としてはそこそこでも、貴族であるわたくしからしたら、それほど驚く程でもない大きさでした。

内装も普通。まぁ、靴を脱いで上がる事には若干驚かされましたが、理由を聞けば合理的で成る程と納得できました。


トイレがありましたわ。

宿屋や公共の施設には備え付けられている場合もありますが、個人宅にトイレがある事はほぼありませんわ。しかも川の流れを利用して、排泄物を流せるようにできていましたの。


お風呂もありましたわ。

貴族でも、個人で所有していれば富の象徴と言われる程の施設です。確かに小さいものの、造りはしっかりとしていて驚かされましたわ。

ちなみに、クォーリンダム家には存在していなかった施設です。


料理も大変美味しかったですわ。

見たことも無い料理も勿論ですが、食べた事のある料理でも、それまでに食べたものとは比べ物にならない美味しさでした。

きっとクォーリンダム家が料理に無頓着だっただけですわ。それに、庶民の方には食道楽と呼ばれる、他はそうでもないのに、やけに食事にだけお金と労力を払う人も居ると聞きますし。

そういう事なのだろうと思いますわ。きっと。

ええ、悔しくなんかありませんわ。

だってこれからはわたくしもこの食事を楽しめるんですから。

悔しくなんか、ありませんわ。


初日は寝所には呼ばれませんでした。

扱いも良く、これだけの資産を有し、それはそのままご主人様の収入の多さも現している、そんな理想の主。

彼の方との繋がりを強くする意味でも、早めに抱かれたいと思っていたのですが……。


先に買われていた少女の奴隷、サラさんはしっかりと抱かれているようなので、女性に興味が無いという訳でもないようですし……。


ひょっとしたら幼女趣味? とも思い、うっかりそれを口にしそうになりましたが、ご主人様からはっきりと違うと言われましたわ。

ていうか、わたくしを魅力的だとか。

うふふ、思い出すだけでも頬が緩んでしまいますわ。

わたくしが思った通り紳士的な方でした。

打算的な下心があってもいいから、自分から抱かれたいと思うまで抱かない、だなんて。


そんな事を言わずに主としての特権を使って強引に抱いてしまえばいいのに。

けれど、それを免罪符に抱かれる事を、ご主人様からは止められてしまいました。


少し残念に思いながらも、ほっとしている自分に気付きましたわ。

やはり、いざとなると怖くなってしまいますわね。


家事をしながら戦闘訓練と魔法の練習を行い、数日に一度ダンジョンに潜る。

一週間に一度休日もいただき、正直お仕事も訓練もそれほど厳しいものではありませんでした。

ご主人様は優しいですし、サラさんも、時折わたくしの胸元を、親の仇でも見るような目で見てきますが、基本的によくしてくださいます。

ご飯も美味しく、寝具も上等。それでいてお給金は月に2500デューという破格の設定。


正直、幸せだったと思います。

その穏やかな日々の中で、お家再興への意欲が薄れていたのは否定できません。

若干諦めかけていたせいもあるかもしれません。


だからでしょうか。

忘れかけていた過去が、わたくしに追いついて来たのは。


父を罠に嵌め、クォーリンダム家を没落に追い込んだ、かつてのわたくしの婚約者が、ご主人様にわたくしを引き渡すよう要求すべく現れたのです。


今までにも、彼の男がわたくしにちょっかいをかけて来た事はありました。

けれどそれは、わたくしの契約が切れ、奴隷商館に戻っていた時でした。

これまでと違い、ディール家が手を出しにくい主ではないと踏んだんでしょうね。


流石にこれはまずいと思いました。

いっそ、自ら彼の男の元へ赴き、かつて抱いた仄暗い感情に従うべきか、とも考えました。

流石にご主人様が優秀な冒険者でも、個人で貴族とぶつかるのは得策では無い筈。

わたくしを手放して済むのなら、そうする筈ですものね。


しかしご主人様はわたくしの事情を理解し、貴族を追い返すと言ってくださいました。

仮にこれでトラブルに発展しても、なんとかするだけの力と伝手があると。


その後、ご主人様がお一人で対応されていましたが、暫くしてわたくしが呼ばれました。

最初はてっきり、ご主人様がわたくしを渡す気になったのだと思いました。


「大丈夫」


溜息を吐いて様子を伺っていた屋根裏部屋から出ようとした時、同じく様子を見ていたサラさんがそう声を掛けてきました。


「タクマ様なら、大丈夫。必ずあなたも救ってくれるわ」


何の根拠もない言葉。しかし、彼女の瞳には、ともすれば狂信とも言えるほど、強い信頼の光が灯っておりましたの。

何の根拠もない言葉。しかしその言葉は、何故かわたくしの胸に落ち、その中に溜まっていた黒い靄のような感情を吹き散らしてくださいました。


「相手を納得させるために話をさせるだけだ。絶対にお前を渡さないから安心しろ」


家を出て、貴族達が待つ場所へ行く途中、ご主人様がそう言ってくださいました。

もしもこの家に来てすぐにその言葉を聞いていたなら、鼻で笑っていたでしょう。

けれど、今なら信じられます。この方を、信じる事ができます。



「という訳でして、こちらのジョン様の側室となっていただけるのでしたら、我々はクォーリンダム家復興のために支援する用意があります」


スリノレンと名乗った顧問弁護士が言いました。

側室ですか。随分と安く見られたものですね。


「まずはディール家分家としてジョン様が独立されます。その後、モールズ子爵の養子となり、カタリナ様を側室に迎え入れる、という手筈ですね」


いよいよ本性を現しましたわね。これは完全にお家乗っ取り計画。

父と家に恩を売ってわたくしの婿になり、その恩義を盾に領地経営を主導する、とかそういう考えはないのでしょうか。


「どうでしょうか?」


「お断りいたしますわ」


わたくしが即答すると顧問弁護士は固まりました。

そんなに想定外の答えだったかしら?


「なぜ……でしょうか?」


「何故? そんな事もわからない方が顧問弁護士を務めているんですの? 男爵家の程度が知れますわね」


顎をしゃくって鼻を鳴らす。

顧問弁護士の額に青筋が浮かび、彼の男の顔が真っ赤に染まる。

開き直ってしまえば、どうしてこのような小物から逃げていたのか不思議に思えて来ますわね。

むしろもっと怒らせて暴走させ、正当防衛で返り討ちにしてしまった方が、後顧の憂いが無くなるかもしれませんわね。


けれどそれはご主人様に多大な迷惑をかける事になってしまいます。

ご主人様なら、それさえも許容してくださるでしょうけれど、ご主人様の優しさにつけこむような真似はしたくありません。


それではこの目の前の貴族とは名ばかりの卑しい男達と同じになってしまいますからね。


その後も顧問弁護士の説得は続きましたが、わたくしはそれを全て突っぱねました。

ハッタリも必要だろう、とこのままのペースなら五年で目標金額が貯まりそうだと言ったら、嬉しそうにそれに食いついてきました。


「五年経ってお家再興を果たし、奴隷から解放されたとしても、あなたに婿入りする者は存在するでしょうか? ジョン様はあなたを大変愛していらっしゃいますが、流石にそこまで想い続けられるかと言えば、否と答えざるを得ませんよ?」


顧問弁護士の言葉は、後半はともかく正鵠を得ていると言っても良かったでしょう。

けれど、それもこの家に来るまでのわたくし相手だった場合の話ですわ。


「そうですね。その時はご主人様に子種を仕込んでいただきましょう」


自分でも驚く程、すんなりその言葉が出ました。

ああ、口にするとあっさりと腑に落ちましたわ。

お家再興がどうとか。奴隷と主とか。そんなものは関係無いのですわ。


わたくしカタリナ・アルヌス・エンデ・クォーリンダムは、ご主人様を愛してしまったのですね。


結局しびれを切らした彼の男が暴走し、ご主人様に返り討ちに遭いました。

流石に殺しはしませんでしたね。色々後が面倒なのは、ご主人様もわかっていたのでしょう。


事が起きる前にご主人様が最後の説得として、わたくしが望んでこの場に居る事を示しました。

まぁ、手段はちょっとあれでしたわね。

一応、口づけは初めてだったんですのよ。せめてもう少し、こう、ムードというか、ロマンチックなものを期待していたのですけれど……。


衆人環視の元で一分以上もディープキスをされた挙句、俺のもの宣言がファーストキスとか。

どんな羞恥プレイでしょうね。

まぁ、嫌いかと聞かれたら、やぶさかでもない、と答えてしまうのでしょうけれど……。


これは初体験の時にも言えた事ですわね。

その後にご主人様にお情けをいただく機会があったのですが、その理由が、まぁ、その、あまりロマンチックなものではなくて。

ムードも何も無い始まり方でしたしね。


それでもご主人様を受け入れた時、幸せで胸が満たされたのは間違いありません。


クォーリンダム家の再興。

これはわたくしの至上目的です。これを諦める事はあり得ません。

けれど。そうけれど。


けれどそれのみを目指して他の全てを捨てるような事はもういたしませんわ。

わたくしはご主人様と共に、そこを目指します。


何せ今なら胸を張って言えますもの。

わたくしタリナ・アルヌス・エンデ・クォーリンダムは、幸せである、と。


ところでわたくしが自らの中にある矜持を誇る時、サラさんが呪うような眼差しを向けて来るのは何故でしょう?


次回はサラドでの話です。

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