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異世界から仕送りしています  作者: いせひこ/大沼田伊勢彦
第三章:異世界ハーレム生活
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第65話:ダゴニア

遅くなりました。

氾濫鎮圧もいよいよ終盤。

若干長めです。


俺とサラとカタリナは柵の外側に下りていた。

そして、その前には剣を抜いたユーマ君が仁王立ちしている。

迫りつつあるサハギンの大群。


柵の内側に居る冒険者達は、不安な表情を浮かべながらも、どこか期待に満ちた瞳を輝かせている。


ユーマ君の手にする剣は一見するとただの鉄の剣だ。

しかしその剣は、彼が纏う鎧と同じく、魔力を通す事で真の姿を現す。


ユーマ君の持つ光の剣が眩い輝きを放ち始める。

その輝きはやがて、直視するのが困難な程になり、


「グランハレスううううぅぅぅぅぅぅううう!!!」


地を揺るがす程の絶叫と共に振り下ろされた剣から、魔力の光が放出される。

辺りを閃光で灼き、轟音と衝撃波を撒き散らしながら、サハギンの群れを切り裂いていく。

やがてその光の刃に内包された魔力が制御を失い暴走し、周囲を巻き込んで大爆発を起こす。


「「「…………」」」


あまりの光景に冒険者達はみな無言。

最後の爆発を合わせて、倒したサハギンは500前後ってところか。

一人の人間が一撃でこの戦果を挙げたと考えると凄まじい事だけれど、それでも万の大群にはそこまで大きな効果は無い。

これが普通の軍隊相手なら、例え万の大軍であっても、一撃で500程を吹き飛ばされたとなれば、恐怖で戦列が崩れるだろうけれど、サハギン達、特に、狂気によって支配された氾濫モンスターは気にせず突進してくる。


「行くぞ!」


短く叫んでユーマ君が走り出す。

俺もサラとカタリナの手を取り、それに続く。


短距離走のようなペースで走り続けながら、ユーマ君は目の前に立ちはだかるサハギン達を次々に切り倒していく。

俺も、『スピアーレイ』を撒き散らし、少しでも俺達が離れた後の陣地防衛が楽になるようにする。

ちなみに『スピアーレイ』の光源は目の前でピカピカ光っているユーマ君の鎧だ。


更に、俺達かから離れた場所へは、『インヴィジヴルジャベリン』を降らしている。



「あそこですね」


一分程で俺達はルル湖のほとりに辿り着く。


約3キロの道のりを一分ですか。そうですか。

息切れもしてないとか、凄ぇ体力だな、ユーマ君。

俺? 俺は『ライトウィング』で滑空してたから。ちなみにサラとカタリナも同じな。

『ライトウィング』三人分で九倍の推進力!! 更にジャンプして二倍! 低空飛行で更に二倍!


……色んな意味で着地地点が見えないからこのくらいにしておこうか。


実際には推進力は三倍だけど、重量も三人分だから速度は等倍。

サラが小柄なのと、一応相乗効果がある事で、まぁ二倍くらいの速度にはなったかな。


それでも、剣を振るいながら走るユーマ君についていくのがやっとだったけどな。


筋力1万、マジパナイ。

強く踏み込む事で、湿地帯も気にしないようだったし。


「足場が悪くて多少時間がかかりましたが、このくらいなら許容範囲内でしょう」


平地だともっと速いらしい。


さて、湖の中に浮かぶいくつもの島。その中でひときわ大きく、二百メートル程先にある島に、ダゴニアへの入口は存在している。


「入口までの移動手段は?」


「飛びましょう」


「よしきた!」


俺の問いに即答するユーマ君。俺も打てば響くとばかりに力強く頷いた。


「とは言えゆっくり行こう」


「何故ですか?」


口調は丁寧だけど、ユーマ君の口調には険がある。

一刻も早く氾濫を鎮圧したいんだろう。


「湖のモンスターもある程度撃破したい」


「なるほど。氾濫鎮圧後も、間引きしやすくしておくんですね」


俺の言いたい事をあっさりと理解してくれるユーマ君。

ダゴニアに冒険者があまり入らない理由として、ダゴニアそのものは勿論だけど、そこに至るまでの道中が危険だっていうのがある。

今後も同じような頻度でしか攻略が進められないのなら、またすぐに氾濫が起きてしまうだろう。

ダゴニアでは数年に一度という短いスパンで氾濫が起きているのもこれが原因だ。


というのは建前だ。


通常の冒険者は水中で戦う術を持たない。

船上でも戦闘方法は大幅に制限されてしまう。

水棲系の魔物の素材やモンスターの魔石は基本高額だ。


つまりこのルル湖は、宝の山なのである。

いや、宝島というべきか。

宝船が沈んでいるってのが一番しっくりくる表現かな。


俺の本音に気付かないまま、ユーマ君は俺達と同じように光の翼を展開。

多分『光魔法』のスキルだろう。

勇者系のスキルは神由来のもののせいで『アナライズ』で詳細を読み取れない。


まぁ、光属性の魔法やスキルを、カテゴリー関係無しに使用できる、とかそんな感じだろう。


歩くくらいの速度で湖の上を前進する。


「GYAOOOOOOOO!!」


暫くするとそんな雄叫びと共に、水中から姿を現す魔物が居た。

ていうか、俺やユーマ君の強さを本能的に感じ取っているらしく、全然魔物が出て来ない。

ヒトを見かけると遮二無二襲ってくる筈のモンスターですらびびっているみたいだからなぁ。

ちょっとユーマ君、もう少し肩の力抜こうか?


姿を現したのは巨大な海蛇の化け物。所謂サーペントって奴だ。


『アナライズ』で見るとレイクサーペントと表示された。

よし、モンスターだ。


サーペントは魔物だ。これが魔力を帯びてモンスター化した際、淡水に適応しているとレイクサーペント、海水に適応しているとシーサーペントになる。

サーペントの時は淡水も海水も両方いけるのに、なぜかモンスターになると生息域が限定される不思議な魔物だ。

勿論、詳しい事はわかっていない。モンスターは倒すと魔石になるからな。解剖とかできないから。


レイクサーペントはモンスターなので倒すと魔石になる。

素材の数だけで言えば、一頭丸ごと手に入る魔物の方が多いけれど、それはほぼ相手を傷つけずに倒した場合の話。

この状況では生け捕りは難しい。というか、運搬の手間を考えたら『マジックボックス』に入れるしか無い訳だけど、生物は入れられないからな。

ならば殺すしかない。しかし果たしてその時、皮膚や鱗、骨、歯、内臓など。どのくらい素材が無傷で手に入るだろうか?


加えてユーマ君はきっと容赦しないぞ。

手加減抜きの本気の一撃をぶち込むだろうな。

それを止める事はできない。だってそんな事をしたら、俺の目的が今後ダゴニアへ冒険者が行きやすくする事じゃないってバレてしまう。

俺が定期的に一定以上の金が必要な事は伝えてあるけれど、流石にそれはユーマ君の許容範囲外だろう。


彼との敵対フラグはできる限り折っておきたいからな。


「パニッシャー!!」


サーペントが姿を現した瞬間に魔法を放つ。

第六階位の自然魔法。俺の手から放たれた魔力が稲妻へと変化し、レイクサーペントを直撃した。


「GYUOOOOOOOOO!!??」


辺りに轟いた雷鳴にも負けない程の絶叫は、断末魔の悲鳴だった。

帯電していた体が光の粒子となり、巨大な魔石へと変化する。

素早く近付き『マジックボックス』へ直接回収。


参加して生き残った冒険者で頭割りになる報酬は迎撃したサハギンのものだけ。

ダンジョン内へ突入したりその途中で手に入れた魔石や素材は倒した奴のもの。


結局襲い掛かって来たモンスターはこのレイクサーペント一頭だけだった。

ち、腑抜けが。


そして島に降り立ち、俺達はそのままダンジョンへと突入する。

地下駅への入口のように土が盛り上がっていて、その中に下り坂が見える。

壁も天井も床も土でできているけれど、そこはダンジョンの壁。防御力は四桁を越える。


滑るようにして坂を下ると、床が水で満たされている通路に出る。

ここがダゴニアの内部。その第一階層。

踝の上くらいまでの水位があり、機動力は大きく殺されるだろう。

天井や壁は仄かに発光しているものの、ダンジョン全体を照らすには光量が足りない。

水は泥と魔力で濁っているため不透明だ。

暗さと透明度の低さが相まって、水中に何かが隠れていても気付く事は難しいだろう。


俺は『サーチ』でわかるけれど。


通常ならこの機動力を殺され、水の音と匂いで五感を制限された状態で、水中から強襲してくるモンスターの相手をしなければならないんだ。

そりゃ人気無いわ。


『サーチ』は他人にかける事ができないので、付与魔法を共有できる『シンパス』の魔法で全員が『サーチ』を確認できるようにする。

まぁ、第一階層のモンスターからの攻撃くらい、全員大したダメージにはならないけどさ。


「次の階層への入口の場所もわかるけれど、どうする?」


「僕達は氾濫の鎮圧に来ています。虱潰しにしましょう」


「だよね」


まぁ、その方が経験値と魔石を稼げるからいいけれど。

ユーマ君の提案を採用し、俺達は階層内をくまなく回ってモンスターを撃破していく。


基本は既に階層内に出現していて徘徊しているモンスターを撃破する事。

新しくダンジョンが生み出したモンスターは、近くで発生しない限り無視する事にした。

キリがないからね。


メインモンスターはサハギンで、第一階層は他にピラニアを更に凶暴にしたような魚型モンスターのキラーフィッシュが数多く生息していた。

水中を縦横無尽に泳いでいるそいつらを、魔法や矢で撃破する。時折撃ち漏らしたキラーフィッシュが水中から飛び出して襲い掛かってくるが、そちらはユーマ君が迎撃していた。


ものの三十分で一階層を踏破し終わる。

そのまま第二階層へ。


第二階層への入口は、第一階層の通路の途中にあった。

ぽっかりと空いた穴。それが第二階層への入口である。


そして、踝の上くらいまで水で満たされている通路から、そのまま下へ降りるという事は。


第二階層は全体が水で満たされているという事だ。


まず俺は『ライトボール』を幾つかその穴へ放り込み、光源とする。

そして気泡を纏う事で水中での呼吸を可能にし、水中で水の抗力を受けなくなる魔法、『キャビテーション』を全員にかける。


『キャビテーションの効果時間は五分だ。一応その前に俺がかけ直すけれど、それぞれでも留意しておいてくれ』


「!? これは……!?」


突然俺の声が頭に響いたせいだろう、ユーマ君が驚いている。


『キャビテーション使用中は会話ができないからな。それでなくても水中だし。細かいサインなんて決めてる時間無いから、『テレパス』の魔法を使っている』


「……これはどのくらい高度な魔法なんですか?」


『第三階位だよ』


神理魔法だけどな。


「寡聞に存じませんわ」


神理魔法だからな。


『流石タクマ様です!』


既に使いこなしているサラも中々だと思うよ。


そして俺達は、第二階層へとその身を投じた。



第二階層は完全な水中ステージだ。

四方五百メートル程の広大な空間。深さは二十メートル程。

その中を、キラーフィッシュやサハギンといった水棲系のモンスターが回遊している。

仄かに発光しているダンジョンの壁や天井、床の光は中心までは届かず、空間の殆どが闇に包まれている。

俺が放り込んだ『ライトボール』が水中に浮かんで照明の役割を果たしていた。


第二階層はまっすぐ下まで降りればすぐに第三階層へ通じる穴が見つかる。

しかしそこへ至るまでは基本自由落下だ。水中では落下の速度は落ちるし、こちらへ襲い掛かって来るモンスターを迎撃しようにも、動きが制限されてしまう。


海は勿論、川にも湖にも危険な魔物やモンスターが居るこの世界、好き好んで泳ごうと思う人間は居ないし、ましてや潜水の練習をする人間はほぼ皆無だ。


それは俺を含めて俺達全員も同じだ。『キャビテーション』は基本的に水中での呼吸を可能にするだけで、自由自在に動けるようになる訳じゃないからな。

抗力が無くなると言っても、手足を動かすのが楽になるだけで、水棲系のモンスターと渡り合える機動力を得られる訳じゃないからな。


群体となって襲って来るキラーフィッシュや、一メートル程の体長だけど、顔がその体の半分程を占めているビッグマウスシャークなどを、ユーマ君と俺で撃退しつつ、ゆっくりと沈んでいく。

サラも時折槍で迫るモンスターを撃破していた。


さて、カタリナだ。今は俺とユーマ君とサラがそれぞれ背中合わせになり、その中心にカタリナを置いている。

彼女がこの中で最も防御力が低いし、水中では攻撃手段が限られてしまうからこそのフォーメーション。

けれど折角なので、ここらでカタリナには一段上の魔法使いになって貰おうと思う。


『シンパス』と『テレパス』を使用すればそれが可能だ。


魔法は基本的に呪文の詠唱を覚えれば使えるというもんじゃない。

その上で、魔法の要求するステータスを満たす必要がある。

大抵は魔力の値なんだけれど、中には他のステータスだったり、職業や種族LVだったり。

中には特定のスキルや役職を必要とする魔法もある。


けれど、実際にはそんなものは必要ないんだ。

魔力や他のステータスを必要とするのは、魔法を使うための魔力を制御するために必要だったり、消費MPが不足しないようにするためのシステムだ。

スキルや役職も、それを得ていれば、魔法を使用するために素地ができている事が多いから。


魔法とは魔力を用いて世界の法則に働きかけ、それを操作、或いは書き換えてしまうもの。

つまり、世界の物理法則を理解していれば、魔法を使用する難易度は格段に下がる。


呪文の詠唱はこの世界の法則に働きかける手助けをするためのもの。

詠唱を省略するためにスキルが必要なのは、この世界の人間の殆どが、そのシステムに気付いていないからだ。

気付くような人間は相当な天才か、相当な時間を研究に費やして来た探究者のどちらか。

世間的には、「凄い事は凄いけど、詠唱破棄くらいできて当然だよね」と評価されるような者達な訳だ。


物理や化学の基礎知識が無い人間に、分子やら原子やらの言葉も無いこの世界で、炎が何故燃えるのかを説明するのは至難の業だ。

システムに気付いた人間も、そんな知識が無いので、他の人間に説明できず、結局才能か努力でその領域に自力で辿り着かなくてはならない。


けれど、高校中退なので物理は怪しいとは言え、中学レベルの化学の知識が俺にはあるし、『シンパス』のお陰で、言葉を使わなくてもイメージを伝えることができる。


『という訳でカタリナ。ちょっと水中を燃やしてみようか』


『何がという訳なのかわからないのですが?』


俺が『テレパス』でカタリナに話しかけると、困惑したような彼女の反応が返って来た。


『詳しい事は面倒なので説明しないけれど、魔法って言うのはかなり万能なんだ。本来なら、ステータスの高さも、世界魔法やら自然魔法やらの区別さえも必要ないくらいにな』


『ご主人様がおっしゃられるのならそうなのでしょうけれど……』


『詠唱もカテゴライズも魔法を使うためのシステムじゃなくて、魔法を簡単に使うためのシステムなんだ。けれど、それを無視する事ができれば、この世のありとあらゆる魔法を使う事ができる』


『しかし、それができるのは神に選ばれた才能ある者達では……?』


まぁ、普通はそう思うよな。

特に魔法の基礎知識があるカタリナだから余計にそう考えてしまうだろう。


『けれど実際にそれを行っている人間が近くに居るんだ。俺にできてお前にできない筈がない』


『それはご主人様が女神様の加護を……』


『まぁまぁ、いいから信じろって。騙されたと思って試してみればいいじゃないか』


実は俺は時空の神から加護を受けていないし、それを言うならカタリナは神から加護を受けているけれど。

基本アクティブスキルでないと自分で確認できないので、それを言うとまたややこしくなるから強引に進める事にする。


俺の言葉が正しい事を証明するために、俺が加護を受けていない事を証明し、カタリナが加護を受けている事を証明するとか、どんだけ面倒なんだよ。


『はぁ……』


『現状、何もせずにただ沈んでいくだけよりは建設的だろう?』


『……わかりました。一つご教授お願いいたしますわ』


『今回は説明が簡単な炎の魔法を教えてやろう』


『炎? わたくしは世界魔法しか……』


『だから、そういう常識は関係ないんだって。精霊の力を借りなきゃいけない精霊魔法だけはちょっと特殊だけどさ。魔力を媒体に世界の法則に変化を加えるって点では、世界魔法にも自然魔法にもそう違いは無いよ』


『わかりましたわ……』


『そもそも炎が何故燃えるのかって話からだけど……』


とは言え、分子や原子とか言ってもわからないだろう。

だからその辺りは魔力で代用する事にする。


『可燃物に燃料を与え、発火するところまで温度を上げる。発火した後は酸素を絶えず供給する事で燃え続ける』


『さ、酸素?』


『空気を構成する要素の一つだ。幾つかの物質で空気は構成されている。今回、可燃物も燃料も魔力で行う。それだけでも火は点く。けれど、燃え続けさせるためには酸素の絶え間ない供給が必要で、燃え広げるためには、火の外側に酸素があり続けなければならない』


『ち、ちょっと待ってください! だとすると、水の中では火を燃え続けさせる事はできないのでは!?』


俺の説明にカタリナは疑問を挟んだ。

魔力の高さ、MPの総量、これからの育成計画。

色々理由はあるけれど、俺がサラじゃなくてカタリナを選んだ理由。


カタリナは俺に逆らう。

はっきりと拒絶する訳じゃないけど、疑問があったら俺にそれをぶつけてくる。


サラだとこうはいかない。

わからない事があっても、『俺が言っているから』で納得してしまう。

だからサラは迷わない。だからサラは、常識では不可能な事をいとも簡単にできるようになる。

けれど逆を返せば、俺から教えられてない事は何一つできないって事でもある。

故にサラは、応用が利かない。

未だに分数の計算に手間取るのは、この辺りが原因なのかもしれないな。


サラは魔法をメインに使う訳じゃないから、俺が教えた魔法だけを使えるようになればいい。

けれど魔法をメインに使うカタリナは、この世界に神が設定した魔法を全て使えるようになってもらいたい。


そのためには、世界の根本を理解していないと厳しい。


魔法だって物理法則を無視している訳じゃない。

魔力によってそれを操作し、歪めているだけだ。

だから、まずは正しい物理を理解しないと、どのように魔力で介入すれば良いか判断できないだろう。


『水なら無理だ。けれど、水も空気と同じように、幾つもの物質によって構成されている。その中に酸素が含まれている』


『え?』


『じゃなかったら、魚はどうやって呼吸しているんだ?』


『呼吸しなくても生きていけるのでは?』


『それだと陸に揚げられて窒息する理由が無いだろ?』


『ああ……』


『なるほど……』


群がるモンスターを撃破しながら、ユーマ君も納得したように呟いた。


おいこら、現役高校生。

それとも高校行ってないのか? いや、これ中学卒業レベルの知識だぞ。


俺がちらちとユーマ君を見ると、彼は自然な動きで顔を逸らした。

なるほど、勉強は苦手か。


考えて見ればこっちの世界に来て半年程度でかなり順応しているもんな。

さぞやあっちの世界が生きにくかったに違いない。


『魔力を使って水を分解する。水を構成する要素のうちから酸素を取り出し、炎の燃料にする。イメージしろ。いや、俺のイメージを受け取れ』


俺は『シンパス』を使ってカタリナにイメージを送り込む。

魔力を核とし、そこに魔力が注がれ発熱。引火点を越えて発火。

同時に水を小さな水球としてイメージ。魔力を用いてこれを分解。酸素一つと水素二つを取り出す。


水素も確か可燃性だし、それこそ、酸素と混合したものに火を点けると、爆発する筈だ。

正直、酸素を燃やし続け、炎が拡散するより、こっちの方が強力じゃないか?


という訳で急遽イメージを変更。

同じ第四階位の自然魔法だけど、『ファイアーストーム』から『エクスプロージョン』へと変更する。


次々に水が分解され、水素と酸素に魔力が反応し爆発。爆発が広がる先でも水が分解され、誘爆。


『……!?』


そのイメージを伝えている途中、カタリナが身震いをした。

どうやら、彼女の魔力ではここまでが限界のようだ。

けれど十分。


『イメージはできたな? よし、ターゲットはあのキラーフィッシュの群れ!』


こちらには気付いていないようだけど、俺達の左下で回遊しているキラーフィッシュの群れを俺は指示する。

ライトボールで照らされて鱗が光っている様は不気味さと威圧感があった。


『イメージを爆発させろ! エクスプロージョン!』


『エクスプロージョン!』


カタリナがその名を呼ぶと、群れの中心が一瞬輝いて見えた。次の瞬間、水中で大爆発が起きた。

本来なら緩衝材になる筈の水が、魔力によって逆に誘爆を引き起こす。

爆発が広がり、キラーフィッシュの群れだけでなく、周囲に居たサハギンや群れからはぐれたキラーフィッシュを巻き込んでいく。

水流が発生し、俺達にも爆発の余波が押し寄せた。


『おお』


『わぁ……』


『凄い……!』


『まぁ……』


俺、サラ、ユーマ君、カタリナが、それぞれその光景を見て感嘆の呟きを漏らした。

未だに水流は収まっておらず、モンスター達がパニックを起こしている。


『よし、次はサラだ!』


『はい!』


元気が良くてよろしい。


『以前風呂で見せた水鉄砲を覚えているな?』


『はい。楽しかったです』


両手の中にお湯を溜め、強く圧迫する事で水を噴出させるあれだ。

以前風呂で教えて、サラもカタリナも楽しんでいたのを覚えている。


『一緒にお風呂……ですか?』


じと目を向けて来るユーマ君はとりあえず無視。


『あれを魔力で行え』


『わかりました』


すぐにサラの目の前で魔力が凝縮されていくのがわかる。


『水の中で水の魔法を使っても効果は薄いのでは?』


予想通りにサラは一切疑問を抱かなかったが、代わりにカタリナが聞いて来る。


『やり方次第だ』


実際、水棲系のモンスターや魔物で、水に耐性を持つ者は驚くほど少ない。

大抵は水中でも何の影響も無く動ける『水棲』のスキルを持っているだけだ。


まぁ、カタリナが言っていた通り、水の中で水属性の攻撃をしても碌な効果を期待できないと、この世界の人間は思っている。

ある意味でそれは正しい。

だって水が攻撃の威力を削いでしまうからだ。

問題なのは属性じゃないんだ。


だから俺がサラに教えるのは圧縮した水で相手を貫く『ウォータープレジャー』の魔法。

第五階位の自然魔法だ。


高圧洗浄機の凄い版。ようはウォーターカッターだ。


「ごぼぼー、ぼぼごー!!」


そしてサラは『テレパス』を使わずにそのまま叫んだ。

うん、まぁ、『テレパス』で魔法名を叫ぶ意味は確かに無いんだけどさ。


魔力によって圧縮された水から放たれた一本の水柱。

流石に水中では速度が殺されるが、威力は十分だった。三体のサハギンを貫く。


『薙ぎ払え!』


『はい!』


俺の号令を受けて、サラが水の槍を横薙ぎに振るう。

まさにウォーターカッターとなり、水の刃がモンスター達を切り裂いた。


『もうすぐ第三階層の入口です。どうしますか?』


ユーマ君が聞いて来る。


『できるだけ倒してこのまま降りよう』


『わかりました』


そして俺達はギリギリまでモンスターを撃破し続け、そのまま地面に空いた、第三階層へ通じる穴へと落ちて行った。




第三階層は第一階層と同じく通常のダンジョンに、脛くらいまでの水が満たされた構造になっている。

第二階層から続く穴から、滝のように水が流れ落ちている。

そのせいか、第三階層は水路のように、水が流れていた。


『アクアターミネイト』の魔法をかけて、水流の影響を無効化しておく。

順走だろうと逆走だろうと、こちらの動きが阻害されちゃうからな。


第一階層と同じように、『マップ』と『サーチ』を駆使して、モンスターを虱潰しにしながら踏破する。


第四階層は再び水中ステージ。

LVこそ上がっているが、基本的にここでもキラーフィッシュとサハギンがメインだ。

第二階層のように、ゆっくりと沈降しながらこれらを撃破していく。


そして第五階層。

第三階層と同じく、第四階層へ続く穴から滝のように水が流れ落ちている。

十メートル四方の広大な空間が腰の高さまで水で満たされていた。


第五階層は、ここダゴニアでも他のダンジョンの例に漏れずボスが待ち構えている。

ダゴニアの場合、この第五階層そのものがボス部屋に設定されている。


「来るぞ!」


ユーマ君が光の剣を構えて鋭く叫んだ。

それを合図にしたかのように、水中から数体のサハギンが姿を現す。

そしてその奥。

通常のサハギンの二倍ほどの体格のサハギンが居た。


あれがここのボス。


シュブニグラス迷宮と同じくでかく、強くなっただけのサハギンではある。

けれど、配下となる通常のサハギンを引きつれているうえ、こちらの機動力を奪う地形。

またサハギンは集団戦闘を得意としているため、LV以上の強さを感じる事だろう。


普通に戦うならば。


「はぁっ!」


『アクアターミネイト』により水の抵抗を受けなくなっているユーマ君が、サハギン以上の機動力で切り込む。

剣を一振りしただけで、二体のサハギンが真っ二つになり、そのまま光となって消えていった。


サラも槍を振るいサハギンを攻撃し、カタリナが魔法で援護する。


ちなみに俺は全体に補助魔法をかける役だ。

正直、ユーマ君との競争になっちゃうから、前衛はそんなにいらないんだよね。


『エンゲージリンク』発動中でMPが常に減り続けているサラとカタリナのフォローもしなくちゃいけないし。


巨大サハギンは手にした三又槍をユーマ君に向けて振りかぶったところで、一刀のもとに切り伏せられてしまった。



第六階層は三度水中ステージ。

お馴染みのサハギンとキラーフィッシュにビッグマウスシャーク。そして基本浮遊しているだけだけど、近づくと強烈な電撃を浴びせてくる、ヒカリクラゲも居た。

まぁ、近付かなければいいだけなので、遠距離からの攻撃で一方的に撃破できる。

とは言え本来は、水に阻まれて矢や魔法の威力が低下するから、倒しにくい敵であるんだけどな。


その後も、第七階層、第八階層と、水路ステージと水中ステージを交互に繰り返し、俺達はダゴニアを攻略していく。


「ところでどこまで行くつもりだ?」


第九階層に下りたところで、俺はユーマ君に聞いてみた。


「どこまで、とは?」


「階層だよ。一応公開されている攻略済み階層は四階層までだから、とっくにそれは超えてるけどさ。平均的な氾濫時のダンジョンアタックは十階層までみたいだけど」


つまり、これまでダゴニアで氾濫が起きた時、本当に必要最低限の階層しか攻略してないって事なんだよな。

そりゃ頻繁に起きるわ。


「そうですね。あまり時間をかけるのもあれですから、それならキリ良く十階層までにしておきましょうか」


ユーマ君の提案に、特に俺達も異論は無かった。


「けれどなんでそれを僕に聞くんです?」


「光の勇者とその協力者って事になってるからさ。一応、このパーティのリーダーは君なんだぜ?」


「そういえば、そうでしたね。ここまでタクマさんの指示で進んできたので、自分がリーダーだって意識は無かったです」


「それでいいのか、勇者様?」


「ゲームみたいなパーティなら良かったんですけどね。今までずっと一人でしたし。むしろ神様から指示を受けて動いてましたから」


「ああ、なるほど」


本当、こいつは勇者らしくないよな。

性格とか実力とか装備とかはいかにも勇者っぽいのに。


討伐対象が魔王じゃなくて、相応しくない勇者で、基本指示待ちとか。


むしろお前の方が使徒っぽいよな。


「では次で最後ですわね? パターン通りにいけば水中ステージですか……」


「タクマ様のお陰で水の中でもいつも通りに戦えますからね。ボス部屋でも問題無いでしょう」


そして俺達は第十階層へ続く穴へと身を躍らせた。


カタリナの予想通り、そこは水で満たされた空間だった。

先に五個のライトボールを放り込んでおいたのだけれど、その光は空間の端まで届いていない。

どうやらここはこれまでにあった、壁や天井の発光も無いらしく、ライトボールに照らされていない空間は闇に閉ざされている。


本当にここは冒険者に攻略させる気が無いダンジョンだよな。


光源が無いという事は、夜目が効く種族やスキルでもここではモノを見る事ができない。

光を発生させる魔法やスキルが必要だって事だし、多くのヒトは魔法を多重発動させられないから、水中で呼吸ができる魔法、水中で行動できる魔法、そして光源となる魔法を、それぞれ使える仲間を連れていなければならないんだから。

難易度が高過ぎる。


光源があるので俺は『ダークサイト』で見る事が可能だし、他の皆も『シンパス』と『サーチ』『マップ』で周囲の状況を確認する事ができる。


『来るぞ!』


ついでに言えば水中だから、意思の疎通が困難で、仲間同士で連携を取る事も難しいんだよな。

それで戦わなければいけないのが、五メートルを越す巨体を持った、種族LV50のサハギンだ。


ゆっくりと水底から上がって来たサハギンは、俺達の前で停止し、両手に魔力を溜め始めた。


『躱せ!』


俺が叫ぶと、全員がその場から離れ始める。

その直後に、それまで俺達が固まっていた場所を、渦巻く水流が通り過ぎて行った。

水属性の魔法かスキルか。どちらにせよ『アクアターミネイト』を使用している俺達には通用しない。

けれど、水流そのものは別だ。

直径で二メートルはあるその水流に抗う事は難しく、そのまま吹き飛ばされてしまうだろう。

『サーチ』で確認すれば、周囲に通常のサハギンやキラーフィッシュが居る事がわかる。俺やユーマ君はともかく、サラやカタリナがパーティから孤立してしまえば非常に危険だ。

俺のサポートを受けられなくなるので、『キャビテーション』の効果が切れてしまったり、『エンゲージリンク』を維持するMPが無くなってしまう可能性だってある。

壁に叩きつけられてダメージを受ける事もあるだろう。


『はああぁぁ! せいっ!』


ユーマ君が肩に担ぐように剣を構え、魔力を込める。気合いの掛け声と共に剣を振り下ろすと、内包された魔力が刃となってサハギンへと飛んだ。


しかしサハギンはその巨体に似合わない機敏な動きで躱す。

水中では威力、速度共に殺されるからな。これまでに戦った雑魚ならともかく、このくらいステータスが高い相手だと、遠距離攻撃はちょっと厳しいな。


『くそ!』


毒吐いてユーマ君がサハギンへと向かおうとするが、水中での機動力は向こうが上だ。

あっさりと距離を取られ、水流の魔法による迎撃を受ける。


『くっ!』


何とか躱すが、その間に更に距離を取られている。


『エクスプロージョン!』


単発の攻撃では捉えるのが難しいと判断したんだろう。カタリナが広範囲を巻き込む魔法を放つ。

決して覚えたてなので使いたい訳じゃないだろう。


上手く爆発に巻き込む事に成功したが、あまりダメージを与えているようには見えないな。

やっぱりあれは多くの雑魚を一度に攻撃する時にその威力を発揮するよな。


「ごぼばーぶべばー!」


相変わらずサラは『テレパス』を使わずに魔法名を叫んでいる。

彼女が放った水の長槍も、サハギンはあっさりと躱した。


暫くはサハギンとユーマ君達とで遠距離攻撃の応酬になったが、どちらも決め手に欠け、状況は好転も悪化もしなかった。


さて、ならそろそろ俺の出番だな。


このサハギンを撃破する場合、一番簡単なのは、サハギンと同じ機動力を得て、接近戦に持ち込む事だ。

けれど、それは一番現実的ではない方法でもある。

やはり遠距離からサハギンを攻撃する事になるだろう。

では高速で水中を泳ぎ回るサハギンに攻撃を命中させるにはどうすればいいか?


三人で一番正解に近かったのはカタリナだ。

広範囲で巻き込む。それもありだ。

けれど、一番重要なポイントは、魔法の発動地点をサハギンの近くに設定するという点だろう。


ユーマ君は自分の剣を媒体にしているからどうしても、発動は自分の近くになるし、サハギンとの距離があればあるほど、相手に回避の時間を与える事になる。

これは自分の体からしか魔力を放出できないサラも同じだ。

サラもカタリナも『魔力操作』を持っているんだから、カタリナが自分の認識している空間の好きな所から魔法を発動させる事が出来る以上、サラも出切る筈なんだけどなぁ。

魔法に対する認識の違いだろうか?

やっぱり基本って大事だな。


という訳で、ユーマ君の放った光の刃を躱したサハギンが移動した先に、『マジックマイン』を設置する。

俺の予想通りの軌道で泳いで来たので起爆。水中で爆発が起き、サハギンが何やら叫んだようだったけれど、水中に居るせいで声は聞こえなかった。


動きが止まったところで、周囲に不可視の魔力でサハギンを囲い、『インヴィジヴルジャベリン』を放つ。合計五本。


四方から魔力の槍で串刺しにされ、痛みに喘いでいる様子が遠くからでもわかった。


これを機と見たのか、ユーマ君がサハギンへと向かうのが見えた。

折角なので止めは任せるか。

威力を抑えた『マジックマイン』を周囲に展開し、サハギンの動きを阻害する。


そしてユーマ君がサハギンの目の前に到達。光の剣を振り上げ、一気に振り下ろした。

一切の抵抗を受けずに、サハギンが真っ向唐竹割りにされていく。


流石にそこは筋力と魔力と武器威力、合わせて二万超えの攻撃力だ。

種族LVが高いとは言え、サハギン程度の防御力ではこれを防ぐ事なんてできない。


そのまま光の粒子へと変換され、五つの魔石が水中に出現する。


『よし、なんとかなったな。一先ず外に戻るか』


『もう少しタクマさんが協力的なら、もっと早く倒せていたと思うんですが……』


俺が話しかけると、ユーマ君が恨みがましい目を向けて来た。


『いやいや。皆と戦っているあいつの動きを観察していたから、予測できただけさ』


まぁ、嘘ではない。できなくはないだろうけど、三人のお陰で難易度が下がっていたのは確かだ。


『まぁ、そういう事なら……』


不承不承という感じでユーマ君が納得してくれた。

カタリナは元々気にしていないようだし、サラは『流石タクマ様』という視線をこちらに向けている。


『それじゃ戻るか。一旦第一階層に『テレポート』して、そこからは徒歩な』


『そうですね。タクマさんの事情を考えれば目立つ行為は避けた方がいいでしょうから』


『ちなみにダンジョンから出るのはユーマ君一人だけな。俺達三人は使命を果たして神の元へ帰ったって設定で』


『え?』


『王都とかで俺、一応時空の神の使徒って知られてるからさ。今回ユーマ君に協力したのは俺とは別の使徒だって思わせたいんだよ』


それなら、人間である俺と、何か超常的な存在である使徒とで、役割を分担する事ができる。


『はぁ、まあそういう事なら……』


『あと、多分ユーマ君がダンジョンから出て拠点に戻ったタイミングでフェルディアルが登場すると思うから、上手く話を合わせてやってくれ』


『フェルディアル……?』


『時空の神だよ』


そうかー、ユーマ君はあの女神知らなかったか―。マイナーだもんな。


『毎月俺が母親に仕送りをしているのは言ったと思うけど、その支払い日が丁度今日なんだよね。でも日付が変わってすぐに出てきてないから、きっとタイミングを図ってるんだと思う』


『なんでそんな事を……?』


『そりゃ、信仰を集めるのが目的だからさ』


『なんというか、俗っぽい神様ですね……』


『勇者であるユーマ君が知らないくらいのマイナー神なんだぜ? 信仰が自分の力になるのが神だ。必死にもなるさ』


ちなみに信仰が一定数を下回ると神でなくなるそうだ。

この世に存在する亜神、使徒の一部は、零落したかつての神だって話だからな。


零落によってどれだけ力が落ちるか知らないけれど、下手したら世界を行き来できなくなるかもしれない。

今のところこの異世界での生活を楽しんでいるけれど、それでも元の世界に変える選択肢は残しておきたい。


自分勝手な話だとは思うけどな。



ひとまず氾濫は鎮圧されました。

次回はリザルト回。

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― 新着の感想 ―
[一言] ダンジョンを倒すだから最下層迄行くものかと思ってた。
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