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異世界から仕送りしています  作者: いせひこ/大沼田伊勢彦
第三章:異世界ハーレム生活
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第64話:勇者ユーマ

ユーマ君とのお話回です。

あの場で余計な事を言われると困るので、とりあえず俺はユーマ君をテントの中へと誘う。

サラとカタリナも中に入れ、外側に『センスアトモスフィア』を張り、内側に風の魔法で防音処理を施す。


テントの真ん中に腰を下ろし、ユーマ君にも座るようい促すと、意外と素直に応じてくれた。

サラとカタリナは俺の背後に立ったが、二人にも座るように言う。


「それで? 俺が強いって話だったか? まぁ、俺は強いよ。今回居る冒険者の中でも上の方だって自負がある」


ここは誤魔化すのもあれなので正直に話しておく。


「けど、それは弓や格闘が得意ってだけだ。サハギンの大群に対して有効な手段なんて持ってないよ。今日の戦い、見てたんならわかるだろ?」


とは言え馬鹿正直に全てを話す事はしない。

まずはユーマ君の事を話して貰おう。俺の強さを見破ったってんなら、鑑定系のスキルを持ってる筈だ。

腹芸は苦手っぽいからな。質問を続ければそのうちボロを出すだろ。


「謙遜、じゃないですよね。そういう誤魔化しは僕には通じません。僕にはあなたの強さが見えています」


「ひょっとして『アナライズ』か? でもあれ第六階位の魔法だろう? 確かに装備を見る限り、君も相当な実力者なんだろうけど、流石にそれは無理があるぞ」


「『アナライズ』じゃありません。『勇者ヒーロー』のスキルです。『致死予測』と言います」


へぇ、あのスキルそういう効果だったのか。

光の神にブロックでもされてるのか、『アナライズ』で彼が持ってるスキルの詳細見れないんだよな。

名前さえわかれば、『技能八百万』や『常識』からツリーを辿る事も可能だけど、『致死予測』はどちらにも情報が無かった。


「勇者ね……」


「信じられないかもしれませんが、僕は光の神の加護を受けた、光の勇者です。改めて、ユーマ・クジョウと言います」


「シャールだ。時空の神の使徒。後の二人は俺の従者でサラサとカチーナ」


とりあえず偽名を名乗っておく。するとユーマ君は眉を顰めた。

あー、名前も見えてるのか……。


「……使徒ですか? 勇者ではなく?」


おや、ひっかかったのはそっち?


「ああ。使徒だ。色々あって、時空の神の信者を増やす事を命じられている」


「それなら余計に……」


「君が勇者だってのはいいや」


興奮した様子で叫ぼうとするユーマ君を遮る。


「君のスキルの証拠を見せてくれないか? あなたの強さがわかるって言われてもな。現に君は俺の役職がわからなかった」


『アナライズ』みたいに、詳しい情報が見られる能力じゃないのかもしれない。


「……『致死予測』はその名の通り、相対している相手と戦った際、僕が死ぬ可能性を知る事のできるスキルです。このスキルを使用すると相手の頭上に名前が表示されます。その名前が緑色なら総合的なステータスは僕の方が上。赤なら僕の方が下。黄色だと互角です」


なんとも大雑把な分類だ。けれど、名前が知れるのは大きいな。

それとしれっとステータスって言ったな。スキルには時々筋力や敏捷といったステータスの名称が記載されているから、この世界の住人でもそれは知っている。

けれど、ステータスって言葉は知らない筈だ。少なくとも、『常識』には無かった。


これはカマをかけようとしているのか?


「色々訊きたい事はあるけど、続けてくれ」


「というか基本はそれだけです。スキルなどで一撃で逆転される、或いは逆転できる相手の場合名前が点滅します」


「それだと俺の強さを正確に測れなくないか? 説明を聞く限り、君が見た俺の名前が赤だったって事だろう? けれど、それは個人の強さであって大群に対して有効な手段を持っているかどうかは別の話じゃないか?」


まぁ、ユーマ君のステータスが俺より上なのはわかっているから、俺の強さを測る別のスキルがある筈なんだが。


「基本、と言いました。スキルは使用すると熟練度が上がって成長します。『致死予測』の場合、見る事のできる項目が増えていくんですよ」


おっと、これはまずいな。

『致死予測』という名前とさっきの説明から、普通に考えれば戦闘に関する事を優先的に見られるんだろう。

だから俺の役職はわからなかった。何故ならもっと優先度が高いものがあるからだ。


「今の僕には、あなたの獲得職業と保有スキルの一部が見えています」


あ、これは駄目だ。

獲得職業だけならなんとでもなった。


けれど、保有スキルは駄目だ。

ユリアのようなステータスなら誤魔化せたかもしれないけれど、俺のステータスじゃ駄目だ。


だって俺の保有スキルは『技能八百万』に統合されている。

俺の保有スキルを覗いたら、『神々の祝福』、『技能八百万』、『魔導の覇者』、『異世界の知識』、『世界の常識』の五つしか表示されない。

確認できるスキル数が一個や二個って事はないだろうし、スキルの格によって見える個数に制限がかかるって事もないだろう。

だってそれなら、ユーマ君が俺の強さに確信を持てる筈がないんだから。


「……こういうのもうやめませんか? さっきも言った通り僕にはあなたの名前が見えてるんですよ? シャールでもタクマ・サエキでもなく、佐伯琢磨という名前が」


「…………すまん、君がどこまで俺を見れるのか知りたかったから」


「聞いてくれれば教えましたよ。隠すものじゃありません」


言い切ったな。まぁ、彼は勇者だからな。目立っても何も問題無いんだ。


「転生者か召喚者か、そこは重要じゃありません。ステータス的にも、あなたの名前は緑色だ。ステータス的な強さも、今日の戦闘で見た動きから推測しているに過ぎません。けれどあなたの持つスキル『魔導の覇者』。これを使えば、サハギンの一団は一撃だったんじゃないですか?」


「スキルの効果も知れるのか」


「名前だけじゃ効果がわからないスキルも多いですからね」


「結論から言えば、可能だ」


「だったら……」


再びいきり立つユーマ君を、俺は片手で制する。


「まぁ、聞け。俺にも事情がある。俺は目立っちゃいけないんだよ」


「どうしてですか? 神の使徒であり、信者の獲得を使命としているなら……」


「使徒として目立つのはいい。けれど、俺自身の力を知られるのはマズイ。何故なら俺は実家に仕送りをしているからだ」


「え? ……し、仕送り?」


やはりその理由は予想外だったんだろう。ユーマ君の動きが止まる。


「そうだ。毎月決まった額を母親に仕送りしている。向こうの世界じゃできなかった。だから、この世界に来たんだ……」


顔を俯かせ、徐々に声を小さくさせながら俺はそう言った。

ちらりと見ると、ユーマ君の眉尻が下がっている。


よしよし。思惑通りに勘違いしてくれてるようだな。

16歳という年齢を考えれば、ユーマ君は向こうの世界じゃ実家暮らしだった筈だ。

少なくとも、家に生活費を入れなければならないような生活はしていなかった筈。


そんな若い少年が、仕送り、と聞けば何を想像するだろうか?

そう、生活費だ。


俺が母親に生活費を振り込まなければ、母親は生きていけない。そう思ってしまったんだろう。

実際には、社会人の子供が実家に仕送りをする場合、生活費そのものじゃなくて、あくまで生活費の足しにしてもらうためが殆どだ。


まぁ、俺もネットなんかの知識でそのへんを見聞きしただけだけれど。

だからこそ、同じく社会に出て働いた事が無いだろうユーマ君の思考も想像できる。


「何年もかけて世界を救った後に、一生遊んで暮らせる金を手に入れても仕方がないんだよ。毎月決まった額を仕送りしないと、不幸に、なってしまう……」


誰が、とは言わない。また、この言い方なら、不幸が言葉そのままの意味じゃなく、何らかの暗喩だと思うだろう。

生活費が無くなって訪れる不幸なんて、一つしかないけどな。


「け、けどそれなら、どこかの国や教会に保護して貰えば……。時空の神……はちょっと神殿の場所が思い浮かばないですけど……」


マイナーだからなぁ。


「例えばだけど、君は光の神の教会から生活費を貰っているかい?」


「え?」


「どこかの国でも王室でも貴族でもいい。誰かから生活費を援助して貰っているかい?」


「え? えっと、はい。一応光の神の教団から……」


貰ってんのか。まぁ、この勇者の目的が何か知らないけれど、生活費を稼ぐために冒険者稼業に精を出さなきゃいけないようじゃ、目的達成の妨げになるもんな。


「俺もこの力を十全に使えば、どこの国でも欲しがるだろうさ。けれど、それで俺に支払われる金は間違いなく俺の生活費だけだ。どこかに赴く必要があるならその旅費も貰えるかな? あとは基本、現物支給になるだろうな」


「あ……」


俺の言わんとするところにユーマ君は気付いたらしい。

そりゃ俺だって、何のしがらみもなく異世界に来たんなら、勇者でもなんでもやってやったさ。

けど、俺には『縛り』があるんだ。


生活費以外で、毎月1000デューを確保しなければいけないって縛りが。


「気前良くそれを払ってくれるかもしれないけれど、悪いけど俺は性善説を信じてない。二十一世紀の日本が平和だったのは、人が生まれながらに善良なんじゃなくて、成長する過程で道徳や倫理を学ぶからだと思っている」


「…………」


ユーマ君は何か言いたげだ。こいつひょっとしてこれまでそういう苦労をしてないな?

16歳という若さを差し引いても、多分、良い人に囲まれて暮らして来たんだろう。

なのに異世界に呼ばれた不幸は同情するけどさ。


「間違いなく、相手は俺の足元を見るぞ? 俺自身は強いし神の保護がある。けれど、俺には母親っていうウィークポイントがあるんだ。強敵を御するなら、弱点を突くのは当たり前の話だろう?」


「…………それは、そうかもしれませんけど……」


「試してみる事さえできないんだ。駄目だったって事は、それは不幸になってしまうって事なんだからさ」


これは事実だ。

何度も言うけど、俺だってできれば異世界をチート全開でヒャッハーしたいよ。

けどできない。

メリットに対してデメリットが大き過ぎる。


「それに、今の俺には他にも大切なものができてしまった」


言いながら、俺はサラの頭を撫でる。

最初はユーマ君が居たせいか恥ずかしさに顔を赤らめ身をよじったサラだったが、そのまま撫でていると、うっとりとした表情で瞳を閉じた。


首輪は、発光していない。


「現代日本人なら、奴隷を手に入れても、奴隷らしく扱う事に抵抗があるのもわかるだろ?」


「ええ、まぁ、はい」


そう言えばユーマ君っていつの時代の人間なんだろうな。

ステータスって言葉が普通に使えていたり、二十一世紀に大して反応しなかったところを見ると、平成である事は間違いないだろうけれど……。


暫くサラの頭を撫でていると、カタリナが俺の方に頭を傾けて来た。

一瞬、気付かないふりをして放置してみたい衝動に駆られたけれど、まぁ、今回は普通に撫でてやった。


カタリナもうっとりとした表情で受け入れた。口元、緩んでるなー。


ふと見ると、そんな俺達をユーマ君が暖かい目で見ている。


「そうですね。無理を言ってすみませんでした……」


そして彼は頭を下げた。

よし、論破!


とは言えこのままユーマ君を放置するのもあれだ。


わざわざ俺に、実力を隠さずにちゃんと戦え、と言って来るあたり、かなり正義感が強い。

それも独善的だ。

今回は納得してくれたけれど、互いの利害がぶつかった時、彼は躊躇なく敵に回るぞ。


「ところで、光の勇者って何をするんだ? 魔王が居るなんて話は聞かないけれど……」


という訳でユーマ君の目的を探っておく。知っておけば彼を回避する事は容易くなるだろう。


「僕はこの世界を綺麗にするために呼ばれました」


「綺麗に?」


蔓延る悪を倒す、とかだろうか。つまりご老公とか必殺仕事人的な?


「はい。この世界の事は基本的にこの世界の住人が解決するべきだと光の神は考えていまして、僕もそれはその通りだと思います。だからこそ、この世界の住人で無いのにこの世界に悪い影響を与える存在を排除するのが僕の使命です」


おいおい、穏やかじゃないな。

それって勇者の仕事じゃないだろ。だってその話だと、ユーマ君が相手にするのは……。


「僕は勇者に相応しくない勇者を殺す事を使命としています」


そういう事だもんな……。




自分の使命を語った時のユーマ君の表情はちょっと忘れられない。

表情っていうか、目か。

あれはもう、イっちゃった奴のものだ。


苦労知らずの若造とか思っちゃってすまん。

かなり闇深いぞ、こいつ。


俺は勇者じゃないから排除対象ではないだろうけど、ユーマ君の思想的には、俺が勇者だったら間違いなく失格だっただろうな。

ああ、だから接触して来たのか。

勇者だったら排除するために……。


こわ。


一応ここは印象を良くしておこう。

今は大丈夫でも、そのうちフェルディアルから勇者認定されないとも限らないからな。


「まぁ、ユーマ君。俺だってこの状況に何も思わない訳じゃないんだ。

 いつ終わるとも知れない迎撃戦。傷つき倒れていく冒険者達。顔も名前も知らない彼らの事とは言え、やっぱり人が死ぬのを見るのは、死んでいくのを見るのは心が痛むよ」


「タクマさん……」


お、ちょっと感動してるっぽいな。


「だからユーマ君、君の勇者としての立場を貸してくれないか?」




翌日。

まだ夜も明けきらない早い時間。

昨日と同じく冒険者達は既に動き始めていて、多くは朝食を摂っている。

昨夜から続いてテンションは低く、非常に静かな朝食風景だった。


そんな静謐の中に、一人の少年の声が響く。


「僕はユーマ! 光の神の加護を受けた勇者である!!」


壇上に立って叫んでいるのはユーマ君だ。

いきなり自分は勇者だ、なんて言い出したら誰だって怪訝に思う。

けれど既にこの陣地を担当している指揮官には話を通しているので、こうして演説が可能な訳だ。


ついでに言えば、ユーマ君が身に纏っている陽光の鎧は神から賜った神器だ。一見すると黄金色の鎧だけど、その派手な見た目に反し、何故か大人し気な印象を受ける。

魔力を通さない状態だと、他の人間は通常の鎧のようにしか見えないんだそうだ。

けれど魔力を通してその能力を発揮させると、眩い光を放ち始める。

まるで一足先に朝日が昇ったかのようだった。


性能も神器に相応しい。防御力もさることながら、この鎧、日の光を魔力に変換して溜め込む能力を持っている。

ソーラーパワーか。いや、まさにそうだ。

蓄えた魔力は装着者がMPの代わりに使用したり、自身の身体能力をアップさせるのに使えるらしい。


「教会からの依頼を受け、僕はこの氾濫鎮圧に参加していた。そして冒険者ギルドからの要請で、できる限り参加している冒険者に稼がせてやって欲しいとも言われていた」


サハギンを倒した分は生存者で山分けだからな。当然、多く倒せばその分儲けは多くなる。

勿論、死亡の危険性も増すけれど、自分は大丈夫、と考えるのが冒険者ってもんだ。

命が惜しいなら大人しく畑でも耕してるだろうよ。


けれどユーマ君の言葉は嘘だ。

彼に一人で突撃とかしなかったのか? と昨日尋ねたら、驚いたような表情を浮かべていた。


どうも思いつかなかったらしい。

頭が悪いというより、指示待ち人間の傾向が強いようだ。

冒険者として氾濫鎮圧に参加して欲しい。領主連合の指揮官の指揮に従って欲しい、と言われていたからその通りにしていたんだと。

ユーマ君はこの二日間、普通に柵の内側で近付いて来るサハギンを撃破していただけだ。

光魔法(ようは光の神の祝福)を使って遠距離攻撃もしていたし、昨日の第三陣への救援にも参加したそうだけど。


「皆がモンスターを討伐し、そこで得た魔石を売却した利益で生活しているのは僕も知っている。だからギルドの要請を受け入れ、領主連合の指揮官から指示が出るまで、この陣地で戦い続けるつもりだった」


そこでユーマ君は一旦言葉を切り、顔を俯かせる。

そして勢いよく彼が顔を上げると同時に、鎧の光を反射して光るものが彼の顔から散った。


涙に見せかけた俺の魔法だ。


「けれど昨日、大勢の仲間が死んだ。僕はそれに耐えられなかった。甘いと言われるかもしれない。余計な事をするなと怒るかもしれない。けれど、けれどそれでも、僕はこれ以上、皆が傷つき斃れるのに耐えられない!」


声が震えているのは俺の演技指導の賜物だ。

下腹に力を入れ、喉を絞るように叫べばいい感じになると教えておいた。


実際、ユーマ君の言葉を聞いている冒険者の中には、目に潤んだものを溜めている者も居れば、鼻をすすっている者も居る。

沸点低いなー。


「そして僕の要請を受け、僕に加護を与えて下さっている光の神が、盟友たる他の神より援軍を遣わして下さった!」


そう言ってユーマ君は自分の背後を大仰な仕草で示す。

そこには三人の人間が立っていた。


まぁ、ぶっちゃけ俺とサラとカタリナだ。

俺は火竜の鎧を纏ってその上から『ソウルアームズ』を発動させた使徒モード。

サラとカタリナも『エンゲージリンク』を発動させている。

そのままだと顔が出ているカタリナには、俺が『クリエイトウェポン』で兜を作って被らせた。

魔力でできたこの兜は時間経過で自然消滅するけれど、顔を隠すのが目的だから、ダゴニアの入口まで。いや、陣地を離れるまで保てば良かった。


少しサラが羨ましそうにしていたのはスルーした。


「時空の神の使徒とその従者達だ!」


その言葉に冒険者達の間から感嘆の呟きが漏れた。

最初、俺は光の神の使徒としようとしたんだけど、日にちを確認したら次の支払いが今日だったんだよな。

日付が変わった時にフェルディアルは出てきていないので、間違いなく、俺達がダゴニアから戻ってきたら出現するつもりだろう。

そしてこの場に居る、二千人近い人間に洗礼を授け、一気に信仰心を稼ぐつもりの筈だ。

なのでそのお膳立てとして、俺は時空の神の使徒としてユーマ君に紹介して貰う事にした。


「僕達はこれからサハギンの群れを蹴散らし、ダゴニア内部へと突入する! 皆は僕達が戻って来るまで、この陣地で防衛を続けていて欲しい!」


戸惑うようなざわめきが起こったけれど、否定の言葉は聞こえてこない。

まぁ、やる事は変わらないからな。


「必ずダンジョンを攻略して戻って来る事を、僕は光の神へ勇者として誓おう!」


そしてユーマ君は剣を抜く。

彼が神から最初に賜った神器、その名もズバリ『光の剣』。

鎧以上に眩い光を放つ刀身は、神々しく、まさに神の剣といった様相だ。


ちなみに性能は、



威力:装備者の筋力



となっている。

上手くできてるよなぁ。強いのは勿論だけど、武器の性能だけに頼っていたらあまり強くなれないようになってる。

そのうえで、冒険を続けて強力な武器が手に入っても、ユーマ君さえ強くなっていれば陳腐化するような事も無い。


魔法の武器なので、攻撃力は、



装備者の筋力×2+装備者の魔力



って事になる。

強いよなぁ、そりゃ。

そして今ユーマ君の筋力は1万ある訳だから……。


「いざ往かん! 勇者の名のもとに悪しき者達に神の鉄槌を下しに!」


切っ先をダゴニアの方に向けユーマ君がそう宣言すると、割れんばかりの歓声が巻き起こった。

それも当然。彼らは今、かつて自分達が憧れた、夢物語の住人になったのだから。


上手くユーマ君を丸め込みました。

次回ダンジョンアタック。

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― 新着の感想 ―
んん?? よく分かりませぬ 結局自分は力をセーブしてるのに「お前手抜きとかふざけてるのか!?」と言いに来たという事でしょうか? なんというおまいう
[一言] 「はい。この世界の事は基本的にこの世界の住人が解決するべきだと光の神は考えていまして、僕もそれはその通りだと思います。」 サハギンを一方的に倒していますが、サハギンは、この世界の住民じゃな…
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