表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
異世界から仕送りしています  作者: いせひこ/大沼田伊勢彦
第三章:異世界ハーレム生活
55/149

第50話:そして一週間

ちょっと駆け足ですが、サラが来てから一週間が経ちます。

その記念に、最後は特別な料理を作らせる予定です。


「あ、おはよう」


朝起きてリビングに行くと、何故かユリアが朝食を作っていた。

時計を見ると九時過ぎだ。最近にしちゃ、遅く起きたな。


「なにしてんだ?」


「カレー御馳走してもらったし、お風呂も貰ったし、泊めて貰ったから、お礼に朝ご飯でもって思ってね」


ユリアは何かを茹でていた。覗き込むと、ウィンナーが熱湯の中で踊っていた。


「ウィンナーか……。そういや作ってないな」


「この世界は畜産が発達してないからねぇ」


「副菜は? ないならいつもの出すけど?」


「うちで採れた野菜持って来たからそれでサラダでも作ろうと思ってるけど?」


「じゃあ黒パンのスープがけ出すか」


青汁が無い事にサラが喜んじゃうかもしれないな。



「「「いただきます」」」


案の定、サラは食卓に並んだ料理の中に、青汁が無い事に安堵していた。

やっぱ苦いだけのもんだからなぁ。

代わりの飲み物はユリアが持ち込んだ紅茶だ。

折角牛乳を貰ったのだからとミルクティーにしようとしたら、ロイヤルミルクティー以外は風味を損なうとか言われてユリアに止められた。

代わりにスライスレモンが浮かんでいる。


「おいしいです」


「ほんと? 良かった」


ユリアはサラに積極的に話しかけていて、サラも特に不快には思っていないようだ。

サラは幻術かアイテムによって姿を変えているユリアを女性だと思っている訳だけど、ユリアは今ガッツリ男性だからなぁ。

ちょっと気が気じゃないよな。


うん? 俺嫉妬してる?

娘か妹が悪い男に引っかかりそうだから、それに危機感を覚えてるって訳じゃなく?


確かにこの感覚は、以前セニアがフェルと話していた時に感じたものに近いな。

うーん、けれど流石にサラに恋愛感情も性的欲求も無いんだよなぁ。なんだろう? 独占欲に近いもんなのかな?


手を出す気は無いけど誰かに渡す気も無い。

うん? これセニアにも同じ事考えたぞ。


朝食と片付けを終えて洗濯と掃除をサラに命じる。今日の掃除は二階の個室。念のため、ユリアには俺達が寝る一階じゃなくて二階で寝て貰ったけど、まぁそんなに汚れてないだろう。


その間に俺は一階で魔石の還元やアイテムの作成を行う。


「ところであの子、なんか動き変じゃなかった?」


俺の作業を見ながら、ユリアが話しかけて来た。

ていうかお前はいつ帰るんだよ?

あ、昼のカレー食べて行く気か。

いいのか? キングダム。王様がほぼ一日不在で。しかも前々から計画されてた事じゃなくて、明らかに思い付きだろ?

護衛が居ない事も気になってるんだよなぁ。


「筋肉痛だろ? 昨日ダンジョン潜ったからな」


「へぇ、ダンジョンにもつきあわせてるんだ。まぁ荷物持ちくらいはできるか」


「いや、今戦闘を教えてるんだ」


「え? なんで? なんか特別なスキルとか持ってるの?」


まぁ、普通は不思議に思うよなぁ。


「いや、ほら、ここって城壁の外だからさ。野盗とか野生の獣とか魔物とかモンスターとか。一人にしても少しくらい大丈夫なようにさ」


「ああ、それなら何となく理解できるかな。今は大所帯になったから、戦える者とそうでない者は分けてるけど、私も集落作ったばかりの頃は老若男女問わず戦闘訓練課してたもんね」


ゴブリンは弱いからなぁ。集落を造るなら目立たない所に造る事になるだろうし、そういう所には獣や魔物も多いだろうからな。


「あとは魔法だな。錬金術も覚えさせてやれば俺の手伝いも良くできるようになるし。そのためにもLVを上げてステータスを上げないといけないからさ」


ステータス的には、もう少しで『家事士ハウスキーパー』を獲得できそうなんだよな。そうすれば職業によるステータス補正で更に強くなる筈だ。


「そうだねぇ。色々考えるよねぇ。格が同じでも色々気を回すのに、自分が上だと余計だよね」


「ああ、世話焼く必要が出て来るからな」


しかもサラは色んな意味で未熟だ。

使い潰す気ならともかく、きちんと育てるなら俺が色々考えてやる必要がある。


「ねぇ、その今造ってるアイテムとかって売って貰っていい?」


「いいけどお前、金持ってんのか?」


ゴブリンキングダムって貨幣流通してないだろ。物々交換が基本とか言ってたし。


「昨日貰った金貨があるじゃない」


「1000デュー分も買って行く気か?」


全部合わせればそのくらいは確かにあるかもしれないけどさ。


「ん? お釣りが出るならその方がいいかな? 金貨1枚よりもウチの子達にウケが良さそうだし」


「お前も色々考えてるんだな」


「これでも王様ですから」


その後、デリホルや強壮剤などを購入したユリアは、昼にカレーを食って帰って行った。


「これ以上はセイロン達誤魔化せないだろうからね」


やっぱり無断で来たらしい。

昼食の片付けを終えた後はサラのお勉強の時間だ。

読み書き計算。魔法はまだ先だな。

サラは覚えが早いようなので、計算は繰り上がりが入る計算も理解できるようになった。

あとは桁が増えるだけなので、次は繰り下がりが入る引き算を覚えさせよう。それが終わればいよいよ掛け算になるけど。

九九って大丈夫なのかな?

あれ言ってしまえば語呂合わせみたいなもんだから、この国の言葉だと上手くいかないかもしれない。

俺が『にさんが』って言っても、サラには『にかけるさんは』って聞こえる可能性だってあるし。

自動翻訳を切って日本語で伝える手もあるけど、今度は言葉と計算がサラの頭の中で繋がらない可能性があるからな。


さて、日が暮れたら勉強の時間も終わり。

今日の夕食は唐揚げだ。

今までは材料の関係で作れなかったけれど、ユリアからみりんと大豆を貰った事で作れるようになったんだ。

できれば生姜も欲しいけれど、まぁ、無いなら仕方ない。

大豆から醤油を『錬成』し、みりんと砂糖を加えた下汁に鴨の肉を漬ける。

これはサラが勉強をしている間にやっておいたので、夕食の準備が始まる段階ではいい感じに味がついていた。


あとは小麦粉をまぶして油で揚げるだけ。


「このくらい色がついたら油から上げて、暫く置いて油を切る」


油を保管している壺の上に網をかぶせてその上に唐揚げを置いて油を切る。

とりあえず俺とサラで五個ずつ。

ジャガイモとマヨネーズでポテトサラダも作って付け合わせにした。


「「いただきます」」


唐揚げを一口齧ると、肉汁が溢れて来て、口の中に広がる。

うん。鴨なんでちょっと野性味が強いけれど、まぁ、いい感じなんじゃないか?


ちらりと見ると、サラは一心不乱に唐揚げを頬張っている。

マッシュポテトはこの世界にもあるけれど、マヨネーズは無いから、ポテトサラダは存在しなかった。

サラにとっては不思議な食感と味だったようだけど、こちらも概ね好評だった。

ポテトサラダは色々食材を追加できるからな。お陰でレパートリーが増えたぜ。

正直、夕食より朝飯のレパートリーの方が少ないんだよな。思いつく料理はどうしても朝には重いか、調味料なんかの関係でこの世界じゃ作れないものばかりだし。

あー、米くいてー。


翌日は簡単なトースト。けれどユリアからジャムを貰っていたのでこれを塗って食べる事にした。

再び青汁が出現した事に、サラは顔を顰めていた。


ガルツで昼食を摂り、三度ダンジョンへ。


今日も後方から俺が指示を出してサラを戦わせる。

動きはそこそこ良くなっているようだけど、やっぱりステータスの低さはいかんともしがたい。


俺のLV上げの事もあるから、ある程度無理をさせた方がいいんだろうか?

いや、焦っちゃ駄目だ。ゲームなんかと違ってリセットは無いんだぞ。無理をさせた結果取り返しのつかない事になったらどうする?

ここまで俺も相当無茶をして来たけれど、それは、俺一人ならなんとかなる、というある程度の安心材料があったからだ。

サラをそんな危険に晒す訳にはいかない。

まぁ、チートを隠す必要が無い分、セニアよりは実は命の危険が少ないと思うけどな。



名前:サラ

年齢:12歳

性別:♀

種族:人間

役職:タクマの奴隷

職業:なし

状態:疲労(重度)空腹(重度)興奮(軽度)


種族LV3→4

職業LV:取得職業なし


HP:21/36→40

MP:5/23→28


生命力:23→24

魔力:11→12

体力:21→24

筋力:18→20

知力:19→23

器用:27→32

敏捷:14→16

頑強:24→25

魔抵:20→21

幸運:8→8


装備:アシッドランス 灰色狼毛皮の服 灰色狼毛皮のズボン テテスの灰色狼毛皮のブーツ


保有スキル

奴隷の心得 清掃 不意打ち



四体倒した時にLVが上がらなかったので、もう一体倒させてLVを上げてみた。

器用がようやっと30を超えたな。後は体力が30を超えれば『家事士ハウスキーパー』が獲得できるぞ。

そして『不意打ち』のスキルを覚えてしまった。出現と同時に殴らせてるせいだよな。

まぁ、あって困るもんじゃない。不意打ちの成功確率上昇に加え、不意打ちが成功した際の攻撃力が上昇するスキルだ。

これで一体辺りの討伐時間が短くなるぞ。


状態に興奮が追加されるようになったところを見ると、ある程度敵を倒した事に対して達成感を得られるようになったみたいだな。

バトルジャンキーみたいになれとは言わないけれど、喜びを見出して貰った方が育成は効率よく進むだろう。

趣味と娯楽が戦闘になっても困るけどさ。


ガルツでアイテムの売却をし、夕食の材料を購入して家に帰る。

今日買ったのはキャベツ一玉だ。

野菜しか買わなかった事に、サラが若干消沈していたけれど気にしないでおく。

今日作るのはトンカツだ。

と言っても肉は猪な訳だけど。まぁ、豚も猪も似たようなもんだよな。猪を家畜として品種改良したのが豚だって聞いた事あるし。


3ミリ程にスライスした猪肉に小麦粉、水で溶いた卵、パン粉の順につけて熱した油へ入れる。

一応一人二枚ずつ。その間にキャベツも千切りにする。


「油はねて危ないから」


トンカツが揚がる様子をかぶりつきて見ていたサラを少し下がらせる。


「……はい」


かすかに首輪が赤く発光している。そんなに見たかったのか。楽しみにし過ぎだろう。


良い色になったところで油から引き上げる。唐揚げの時と同じように、油壺の上に網を置き、その上に置いて油を切る。

更に盛り付け塩胡椒を振る。千切りキャベツを添えて完成だ。


折角だからキャベツにマヨネーズつけてやろう。少しでもサラの野菜嫌いが直るようにな。


「「いただきます」」


すかさずフォークを持って肉にかぶりつこうとしたサラだったが、横にナイフが置かれている事に気付き、その動きを止めた。

一瞬の逡巡の後、サラはナイフを手に取り、肉を切り取る。

以前カツレツを作った時は、ナイフが置かれていたにも関わらず、フォークで突き刺してそのまま齧りついた事を考えると、多少成長しているんだな。

あの時は軽く注意した程度だったから、今回も気付かないと思ったのだけど。

LVアップの時のステータス上昇とは違って、わかりやすい指針が無いから、こういう成長が見られるのは嬉しいな。


子育てってこういう気分なのか? なんて言ったら実際に子育てをしている人に怒られてしまうだろうか。

まぁ、俺の年齢なら確かにサラ程とはいかなくても、小学生低学年くらいの子供が居てもおかしくないからなぁ。

既にDTを捨てた事もあって、恋愛感情より先に父性本能が出ても仕方ないよな。


そう言えばユリアからウスターソース貰ってたけど忘れてたなぁ。まぁ、次の機会でいいか。

トンカツにソースって否定的な人も居るって聞くし。


マヨネーズのお陰か、出されたものは残さず食べる性分なのか、千切りキャベツを欠片一つに至るまでサラは綺麗に食べ切った。


翌日、幾分かマシになったようだけど、相変わらずサラは筋肉痛に呻いていた。

そう言えば俺は筋肉痛にならなかったな。女神の力によるものなのか? それとも、ある程度ステータスが高いと気にならなくなるんだろうか?


朝食には白パンの上に目玉焼きを乗せた、所謂ラピュタパンを出した。

折角なのでサラにもラピュタパンと言って食べさせた。特に意味は無い。わかりやすい名称が欲しかっただけだ。


昨日の掃除エリアはキッチンや脱衣所、トイレだった。できればトイレは風呂同様毎日掃除したいところだけど、サラが慣れないうちは仕方ないと思っている。

うん? 俺がする? 家のトイレも掃除した事無い俺が?

まぁ経験の無さなら、サラの方がダンチであるのは間違いないけれどさ。

誤解を恐れず言うなら、トイレ掃除なんてしたくない、というのが本音だ。


ガルツで昼食を摂った後はお馴染みの勉強だ。

引き算に多少苦戦したようだけど、最終的には問題無く計算できるようになった。繰り下がりも簡単に理解できたようだし、やっぱり地頭が良いのかもしれない。

読み書きも日本語で言うひらがなは完璧だ。助詞や接続詞なんかの単語のスペルは、元々文字数が多くない事もあって間違う事が無くなった。

計算は次からは掛け算に。読み書きは簡単な単語に加え、いよいよ魔法を教えていこうと思う。


今日の夕飯はカルボナーラパスタだ。

牛乳が手に入ったけれど、量が少ないので飲用にするよりはこういう料理に使った方が良いだろう。

パスタ、所謂スパゲッティ麺はこの世界にも普通にあった。けれど、基本的には塩茹でにするだけだ。

ミートソースもトマトソースも無いもんなぁ。

あ、ケチャップ頼み忘れた。また今度頼んでおこう。今度は幾ら請求されるかわかったもんじゃないけど。


牛乳とバターと小麦粉を混ぜてフライパンで煮立たせ、茹でたパスタをそこへ投入。

絡ませるように炒めて、最後に卵を落として完成だ。

できれば白身がトロトロのうちに、黄身が半熟のままフライパンから上げたいけれど、この世界で卵を生食する事の危険は以前に言った通り。

潰してパスタに混ぜてしっかりと火を通す。


「あとは皿に盛れば完成、と」


トングが無いので菜箸で代用。そう言えば、箸の使い方も教えた方がいいな。

懸念した通り、サラはパスタと同じくらい、俺が箸を操る手元を不思議そうな目で見つめていた。


「「いただきます」」


流石にパスタの食べ方はわかっているらしく、サラはフォークでクルクルと巻いて、少量を口に入れる。


「ふわ……」


その瞬間にサラの口からそんな声が漏れた。

うっとりと目を閉じて咀嚼している様子を見ると、気に入ってくれたようだ。

俺は正直、クリームソースの配合を間違えたなぁ、と思っていた。

牛乳の癖が残っているのはこれがこの世界の牛乳だからなんだろうか? 小麦粉のとろみも凄いな。もうちょっとしっかりと溶かすべきだった。


まぁ、サラが美味しいと思ってくれてるならそれでいいか。味の進化は今後のサラに任せよう。


翌日の朝食はパンにハムを挟んだもの。サンドイッチというよりは、ハンバーガーに近いか。

マーガリンを塗ったものとマヨネーズを塗ったものの二種類用意してみた。俺はマーガリンの方が好きだったが、サラはマヨネーズの方を気に入ったようだ。

どうも、濃い味を好む傾向にあるな。気を付けないと味覚障害になるぞ。


ガルツで昼食を摂った後はダンジョンへ。


この日も危なげなく、しかし時間をかけて山羊小鬼をサラに倒させる。

五体倒してもLVが上がらなかったので、今日は切り上げて帰る事にした。


明日はちょっと特別な料理を作るつもりなので、今日が一週間の集大成とする事にした。

つまり御馳走を作るんだ。

そして俺の貧相なイメージで思い浮かび、拙い料理の腕前で作れる御馳走となると限られてくる。


今日作るのは鹿肉のステーキだ。

1cmという贅沢な分厚さにカットした、30cm程の肉をただ焼くだけ。


ニンジンとフライドポテトを付け合わせに、ステーキの味つけは塩胡椒だけだけど、まぁこれは仕方ない。

作ってる間、サラが一時も肉から目を離さなかったのは面白かった。

俺はしっかりと火を通そうと思ったのだけれど、大体ミディアムくらいに焼けたところで、


「あっ……」


とサラが声を上げたので、その焼き加減で止める事にした。


「「いただきます」」


食べる時はナイフとフォークで。サラはナイフで切り取るのがもどかしそうだったけれど、まぁ、ある程度の行儀の良さも必要だと思ったのでそのままナイフを使わせる事にした。

やっぱり下拵えのしていない肉は若干硬かったし、鹿肉だからか野趣溢れる癖の強い味だった。

付け合わせのポテトとニンジンも合わせて綺麗に食べ切った後のサラの満足気な顔が見れたから、良しとする。


翌日の朝食はパンとゆで卵。正直、レパートリーはとっくに尽きている。

日本に居た頃から、朝飯は基本、ご飯で三種類程度とパンのローテーションだったからなぁ。そしてそのご飯が封じられている以上、どうしてもネタ切れになってしまう。


まぁ、特にサラは文句も無いようだったから良いけどさ。相変わらず青汁は不評のようだ。


掃除ローテーションは一周したけれど、サラを購入してから丁度十日目、つまり、一週間の最終日なので、今日は掃除は休みにする。


「今後も一周するごとに一日掃除を休みにしよう。無理する必要はないからな」


つまり一日の掃除を頑張れば、一週間単位での休みが増える訳だけど、サラはピンと来ていないようだった。

この席は基本月月火水木金金だからなぁ。祝福の日って言っても、大体の人間は休まないからなぁ。一日休むと飢える人間が多いって事なんだけどさ。


休みの基準に関してはピンと来ていないようだったけど、サラは掃除が休みになるのはやはり嬉しいようだった。

筋肉痛が無関係って事は無いだろうな。あとレベルアップと筋肉痛は無関係だと言う事が判明した。

まぁ非戦闘系の職業でもその職業に関する行為をして経験値を貯めるとレベルアップするんだから、筋肉痛と関係無いのは当たり前か。


さて、今日の勉強は大失敗だった。

サラに掛け算を理解させるのに時間がかかったせいだ。

3×5とか、いっそ9×9とかは理解できるんだけど、1の位の掛け算がどうにも理解できなかったようだ。

0の位の掛け算も同じように理解するのに時間がかかった。

やっぱ九九ができないってかなり厳しいな。これ二桁以上の掛け算って教えるの難しそうだ。

計算に時間を使ってしまったので、読み書きは書き取りの復習と単語を幾つか教える事しかできなかった。

魔法は来週。


さて。

最近はサラもわくわくして待っている夕食の時間だ。


「今日はお前がうちに来て一週間って事で、記念になる料理を作る」


「昨日のステーキよりもですか!?」


「ああ。ある意味、昨日よりも豪勢だし特別だ」


「おお……」


感動に打ち震え、感嘆の呟きを漏らすサラ。これ、日本だったら拝まれていたんじゃないだろうか?


まずはリビングのテーブルを端にどけて、魔法の石で囲いを作る。その中に鉄板とコンクリートを置き、火を焚いた。

そしてその上に、鉄板を被せる。

十分鉄板が熱されたところで猪の脂身で油を引く。


「これから焼肉を行う」


「焼肉……ですか?」


「基本的にはこのような熱した鉄板の上で肉を焼くだけだ」


「はぁ」


肉は嬉しいんだろうけど、その調理法が良くわかっていないようだった。

とりあえず端によけたテーブルの上に、更に盛り付けた生肉を置く。

カルビ、ロース、ハラミ、ホルモン、タン。全て猪と鹿だけど、基本の部位は準備できたと思う。

勿論、焼き野菜も準備。ニンジンとタマネギくらいだけどな。ルードルイでカボチャっぽいものを見た記憶があるけど、更に俺の記憶が確かなら、カボチャって結構足が早いから、二人で一つのカボチャを消費するならこんな付け合わせのような調理方法じゃ駄目だろうと判断したため、今回は見送った。


焼肉のタレはウスターソースをベースに色々混ぜて作ってみた。

まぁ、市販の黄金的な奴とはいかなかったけれど、そこそこ美味いものができたと思う。

混ぜたり薄めたりしたせいで結構な量になってしまったけれど、まぁ、足りないよりは良いだろう。余ったら『マジックボックス』にしまっておけばいい。

あ、カボチャも『マジックボックス』で保存すれば良かったんじゃ……。

……まぁ、次の機会にな。


「まぁ、試した方が早いな」


言って俺はロースを一枚取り、鉄板の上に乗せる。

じゅわー、という良い音と共に、食欲を刺激する匂いが漂い始める。


ひっくり返すと良い色になっている。暫く置いてから鉄板から上げ、サラの取り皿に置いてやる。


「ほれ、食べてみ?」


「い、いただきます……」


戸惑っている様子じゃない。多分、目の前の肉の美味しそうな姿に感動していたんだろう。

『奴隷の心得』から考えると、俺より先に食べる事をまず躊躇しそうなもんだけど、それは気にしてないようだった。


「はぁううぅぅぅ~」


一口食べて、幸せそうな表情で嬉しそうな声を上げるサラ。

うん、予想通りとは言え、そこまで喜んで貰えれば用意した甲斐があるってもんだ。


「こうやって肉を焼いて食べる訳だ。そして、基本的にこの肉は誰のものでもない」


「え?」


「まぁ、その種類の肉を一枚も食べてない人間が居るなら、その相手に残しておいてやるのがマナーだけど、基本は自由だ」


そして俺は肉を差す。


「その肉を好きなだけ焼いて好きなだけ食べていい」


「!!!????」


表情は驚きに満ちているけど、目はすげぇ輝いてるな。


「ただし、肉は必ず一枚ずつ焼く事。肉五枚に対し、野菜を一つ食べる事は絶対のルールだ」


「ん……」


サラはちらり、と野菜の乗った皿に目をやり、眉を潜める。タマネギはともかく、ニンジンが嫌いな事も知っているからな。


「焼肉は戦争と同じだ。最低限のルールはあるけれど、それを守る限りは弱い奴が悪い。理解したか?」


「はい!」


と返事をしながら、サラはフォークでロースを突き刺していた。

うむ、良い反応だ。しかしまだ甘いな。

肉の皿の傍には、俺がいつも使っている菜箸が置かれている。

けれどサラはそれを手に取らなかった。まだ上手く使えないからだ。


しかし、トングが無いこの状況で、手掴みでもなければ、肉を一枚ずつ鉄板に置いて焼くのは難しいだろう。

そうこのような状況下で、箸は最速の調理道具となる。


食べるスピードを差し引いても、箸を使いこなす俺と、フォークしか使えないサラでは、食べられる量に圧倒的な差が生じてしまう。

肉が好きなサラにとって、それはどれほどの屈辱だろうか。

これを機に、箸の使い方を覚えてくれると嬉しい。


サラよ、精進するがいい。お前の成長のため、俺は高い壁となって立ちはだかろう。


という訳で特別な料理は焼肉でした。

片付け大変そうな準備でしたね。

焼肉は戦争です。

後悔しないためには俊敏にならなあかんねん。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
[良い点] 肉は良いですねぇ 心を豊かにさせてくれます。 サラちゃんもコレで心を開いてくれれば
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ