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異世界から仕送りしています  作者: いせひこ/大沼田伊勢彦
第一章:異世界生活開始
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第3話:はじめての戦闘

迷宮での戦いです。


ブックマーク、評価してくださった方、ありがとうございます。

ダンジョンの中は明るかった。

床や壁や天井が、魔法で微かに発光しているらしい。


地面は土がむき出しで、壁も岩の混じった土壁だ。触ってみるとひんやりとしていて、ちょっと気持ちよい。

ふとアナライズで見てみると、物理防御力と魔法防御力がそれぞれ1000もあった。


流石ダンジョンの壁である。ただの土壁ではないようだ。


高さは3メートルほど。幅は5メートルはあるだろうか。

意外と広いな……。


暫く進むと、地面から魔力が噴出しているのが見えた。

足を止めて弓を構える。


「『クリエイトウェポン』。アロー」


俺の手の中に、光輝く一本の矢が出現する。

魔力で武器を作り出す魔法だ。第四階位魔法なので人前では使えない。

これが第六とか第七階位であれば、誰も知らないので固有スキルと言って誤魔化す事ができる。

だが、第四階位だと知っている人間がいるかもしれない。現に、『常識』の中にこの魔法が存在した。


魔力が徐々に固形化していく。


「ぼえええええええぇぇぇぇぇええ!!」


雄叫びをあげながら現れたのは、1メートルくらいの身長の、山羊頭の小人だった。


シュブニグラス迷宮に山羊頭って……。


山羊小鬼という雑魚モンスターだ。


光の矢を番えて弦を引く。

右手を放すと、矢が光の軌跡を残して勢いよく飛ぶ。

山羊小鬼の額に見事命中する。


「ぼえええええぇぇぇぇぇぇぇぇえ!!」


痛みに絶叫する山羊小鬼。

『アナライズ』で見ると、まだHPが3分の1くらい残っていた。


激痛にひるんでいる間にもう一発。


今度は胸に矢が直撃する。

直後、山羊小鬼の体が四散し、光の粒子となって消えていった。


モンスターはダンジョンが自身の魔力を使って生み出した魔物だ。

死ねば一部は魔力となってダンジョンに還元される。

遺体は残らず、残りの魔力は魔石となってその場に残る。


こぶし大の鈍い輝きの石が床に落ちた。

山羊小鬼の魔石だ。

冒険者ギルドに持って行けば一個2デューで引き取ってくれる。


野生の獣や魔物と違い、素材などは残らない。


「よし。なんとかなるな」


問題なく戦えた事に安堵しつつ、俺は魔石を拾ってリュックサックに入れた。


「サーチ」


そして周囲の状況を探る魔法を行使する。

第五階位魔法なので人に尋ねられたら『野伏レンジャー』や『探索者フェレット』のスキル『周辺探査』だと誤魔化す事にする。


先に10メートルほど進むと丁字路があり、右に曲がってすぐのところで戦闘が発生している。

モンスターは1。冒険者は4。

まさか山羊小鬼に苦戦しているのだろうか?


いや『常識』でも雑魚モンスターとは言え、一対一では熟練の戦士でなければ厳しいとあるので、新米冒険者四人とかだと厳しいのかもしれない。


俺の筋力に俺の魔力で作った矢を乗せて撃っても、二発かかったから、HPが高いのだろう。

ステータスちゃんと見とけばよかったな。


さてどうするか……。

目立つのを避けるなら、面倒事には関わらないのが無難だ。

でも無視するのもなー。


とりあえず様子だけ見て、全滅しそうなら助けてやろう。

可愛い女の子でもいるといいな。

異世界チートとくれば、ハーレムはお約束だろう。



クルス 23歳 人間 ♂ 戦士LV4

エドガー 19歳 人間 ♂ 戦士LV3

フェブール 166歳 エルフ ♂ 狩人LV8

メルディエルド 31歳 人間 ♂ 神性術士LV14



なんだ男か。


口に出していたら殴られそうな嘆息が心の中で発生する。

『常識』では知っていたけど、実際エルフ見ると軽く感動するな。

できれば女の子で見たかったけど。


ステータス的にはアーノルドより全体で10~20低い。

LVも神性術士ヒエラティックのおっさん以外は軒並み低いので、やっぱり駆け出しだろうか。


エルフのLVが若干高いのは、年長者の面目躍如ってところかな。

あ、エルフって大体人間の十倍くらいの寿命なのか。とすると、彼は人間に換算すると16~17歳って感じなのかな。

ふ~ん、長命な分人間より成長しにくいのか。


戦っているのは予想通り山羊小鬼だった。

矢が何本か刺さっているが元気に動き回っている。


「ぼえええええぇぇぇぇぇえ!!」


雄叫びを上げながら山羊小鬼が前衛のクルスに向かって突進する。


「くっ!」


それを木の盾で防ぐクルス。何度も攻撃を受けた後だったのか、傷つきボロボロだった盾は砕けて散った。

おい、この時点で赤字だぞ。

それとも何回か戦闘した後なのか?


ノックバックしたクルスと入れ替わるようにエドガーが前に出る。


「くらえっ!」


叫んで剣を振るうが、山羊小鬼は角で受け止める。


「させるかっ!」


鉤爪で反撃しようとした山羊小鬼の右肩に、フェブールの放った矢が突き刺さる。


「でやぁっ!」


のけぞった山羊小鬼をエドガーが袈裟斬りにする。


「ぶおおおおぉぉぉお!」


激痛に叫ぶ山羊小鬼。しかしまだ倒れない。

刃が敵の体を切り裂いた筈だが、緑の血が飛び散っただけで、傷らしい傷は見えない。


これがこの世界の物理法則。


HPがゼロにならない限り、首や頭を鋭い刃で切り裂かれても死ぬ事はなく、傷も残らない。


肩や四肢など、直接生死に関わらない部位はその限りではない。

どうやら致死の一撃だけを、ダメージだけ与えて事象自体はキャンセルしているようだ。


「フォースショット」


それまで後方で待機していたメルなんとかさんが魔法を放つ。


ちなみに神性術士ヒエラティックは回復や補助魔法だけを使う訳じゃない。

この世界で信仰されている、多くの神の力を借りた魔法、祝福を使う者が神性術士ヒエラティックだ。

神性術士ヒエラティック自身が信仰している神の祝福しか使えないので、その種類によっては探索で役に立たない事もある。


勿論、回復や補助の祝福を使える神もいるが、呪いや状態異常を付与させるような祝福ばかり使う神もいる。


『フォースショット』はそんな神性術士ヒエラティックの中で数少ない共通の祝福だ。


理力の弾丸が山羊小鬼を直撃する。

山羊小鬼は大きくのけぞった後、四散し光と化した。


歓声を上げる彼らに背を向け、俺は通路の反対側へと歩き出したのだった。


なんだ男か。


やっぱりエルフは女で見たいですよねw

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