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異世界から仕送りしています  作者: いせひこ/大沼田伊勢彦
第一章:異世界生活開始
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第1話:異世界、来ちゃいました

異世界、来ちゃいました。

説明文多めです。

光が収まると、俺は外に出ていた。

石畳が続く大通り。

両側に立ち並ぶ、石と煉瓦でできた家。

これぞ中世ヨーロッパ。

これぞ剣と魔法の世界。

わかりやすいファンタジー。


道行く人々はシンプルなデザインの服に身を包んでいる。

布に詳しい訳じゃないけど、なんとなく、粗雑なものが多い気がする。


髪の色は茶髪が多いな。次いで金色。黒は少ないが、いない訳じゃないみたいだ。


人々の中に鎧を身につけた人もいる。

帯刀している人間。槍だろうか、布で包まれた長物を担いでいる人。

ローブを身に纏い、杖を持ったいかにもな人。


服の裾からはみ出した、揺れるしっぽはきっとアクセサリーではないのだろう。

あのフサフサの耳に触ってみたいけど、どうだろう?

お約束のファンタジーでは、真に心を許した者にしか触らせないとかあるけど……。


ああ、『常識』にあったわ。

そこまで重くはないけど、普通に失礼なのか。


まぁ、一般人でもいきなり知らない人間に耳触られたら怖いもんな。


髪の長い女性が少ないな。

なるほど。手入れが面倒なのか。

石鹸ですら高級品。シャンプーやリンスなんてものは存在さえしてない。


植物の油を基に作った髪専用の香油は小指程の小瓶で1万デュー。日本円で百万円だ。

髪が長ければ使う量も多いから、自然と長い髪は上流階級の女性の象徴になった訳だな。


「…………マジできちまったんだなぁ……」


俺は思わず呟いた。

流石に光る魔法陣から見たこともない美人が浮かび上がれば、信じるしかなかった。


が、やっぱり実際に来てしまうとちょっと現実感が薄いな。

初めての海外旅行みたいな感覚だな。海外行った事ないけど。


やべ、ちょっと怖くなってきた。

俺本当にこの世界でやっていけるのか?

だってさっきから往来を行き交う人、誰も彼もが俺より強そうだぞ。


彼らは冒険者。荒事を基本とした何でも屋。

俺も、それになるのだとフェルディアルに言われた。

なれるのか……?

12年間ヒキコモリのモヤシ君に……。


いや、待て。確か女神は俺にチートを授けてくれた筈だ。


確かステータス強化と特殊スキル追加と、あと魔法だっけか?


どれどれ……?


自分のステータスを確かめようとすると、頭に何か文字が浮かんできた。


「……せるふ……あならいず……?」


その文字を読み上げると、目の前に透明なウィンドウが出現する。


「うおっ!」


思わず声に出して驚いてしまう。

通り過ぎる人々が怪訝な表情でこちらを見る。


……これが見えてる訳じゃないらしいな……。


彼らの目には、突然叫んだ変な人だと映っているんだろう。

それはそれで嫌だが……。


改めてウィンドウを見てみる。

そこには文字と数字が並んでいた。

どうやら俺のステータスらしい。



名前:佐伯琢磨

年齢:28歳(肉体年齢18歳)

性別:♂

種族:人間

役職:異世界からの訪問者

職業:なし

状態:混乱(軽度)興奮(軽度)恐慌(軽度)


種族LV1

職業LV:取得職業なし


HP:167/167

MP:193/196


生命力:112

魔力:135

体力:108

筋力:110

知力:120

器用:108

敏捷:105

頑強:130

魔抵:150

幸運:100


装備:布の服 布のズボン 革の靴


保有スキル

神々の祝福 技能八百万 魔導の覇者 異世界の知識 世界の常識



…………比較対象がないと強いのか弱いのかよくわからんな。

魔抵(魔法抵抗)がやたらと高い事は想像がつく。

頑強、おそらく物理防御力も高いし、生存力に重きを置いて強化されたのだろうか。


スキルはなんか仰々しいな。

神とか八百万とか覇者とか。

絶対高位スキルだろう。


MPが減っているのはステータス確認の魔法だかスキルを使ったからだろうか。

消費3は多いのか少ないのか……。


ていうか状態異常……!!!


混乱興奮恐慌って……。明らかにテンパッてるじゃないですかーやだー。



状態変化:混乱(軽度)→混乱(中度)



あ、混乱が悪化した。

落ち着こう。落ち着け。落ち着け。


『サニティ』


頭の中に魔法が浮かんできた。

更に集中すると、効果が見える。



位階:第二階位魔法

消費MP:2

効果:対象の心の平静さを取り戻させる



ピンポイントな魔法だな、おい。

いや、混乱や恐慌って状態異常があるんだから、それを中和する魔法があって当然か。


「サニティ……」

小さく呟くと、何となく落ち着いてきた気がする。



状態:平静



確認すると状態異常が消えていた。

とりあえず良かった。


ちなみに位階は魔法の分類の一つだ。

第一階位から第十階位までが存在し、数字が大きいほど消費MPや効果が大きくなる。


一般的な魔法使いは第一階位魔法しか使えないそうだ。

これは才能とか必要なく、魔導士ギルドで訓練を受ければ誰でも使えるようになるらしい。


第二階位は更に努力を続けた魔法使いが使えるようになる。

専門の魔導士や高LVの冒険者がこの域にあるらしい。


第三階位は圧倒的な才能か、人生を捧げるほどの努力の果てに使用できるようになるそうだ。

超一流、と銘打たれた魔法使いのみに立つことを許された領域だ。


第四階位になると、伝承の中でしかその存在を確認できない。

第三階位魔法を使用できる者が、得意な系統の第四階位魔法を一つ二つ使用できるようになる事もあるらしい。


第五階位は神や悪魔といった、人を超越した存在のみが使用できるとされている。

勇者と呼ばれる存在は、最終奥義的な扱いで、一つくらい保有しているそうだ。


第六以上となると、理論上存在していると言われているだけの存在だ。

伝承などの中に登場する、奇跡などを便宜上名前をつけ、効果を推測し、ここに当てはめている状態らしい。


ちなみに、さっき使用した『セルフアナライズ』は第六階位魔法だ。


いきなり伝説以上の魔法を使えてしまったが、これは俺のスキル、『魔導の覇者』が関係している。

これは神が定めたこの世界で使用できる、すべての魔法を使用できる、というスキルだ。

うん。紛れもないチートだ、これ。


消費MPがどれもこれも大きくて、今の俺じゃ使えない魔法ばかりだけど。

第六階位の『セルフアナライズ』や、第七階位の『アナライズ』(他人のステータスを確認する魔法)などの補助系魔法はかなり消費MPが低いけど。


当然『常識』の中には第六階位魔法とかの情報は入っていないけど、俺がその魔法を使えるため、知識を獲得できている状態だ。

ちなみに、神が定めた魔法の位階と、人が研究の末分類した魔法の位階は齟齬が生じている。


まぁ、当然だよな。

人の分類の方は、魔法を使用できる人に協力をしてもらい、使用可能な人の人数、消費MPの多さ。効果の平均値などから分類しただけに過ぎないんだから。


神の方は、それぞれ魔法を作った神々が存在し、それぞれに効果の強さや魔法の格などから分類したらしい。


なんだろう。

フェルディアルみたいな神々が、深夜のファミレスでワイワイ言いながら楽しそうに分類している図が浮かんでしまった。


さて、気を取り直して他の人のステータスも確認してみよう。

まずは丁度そこを歩いている、いかにもベテラン戦士風のおっさんから。



名前:アーノルド

年齢:24歳

性別:♂

種族:人間

役職:冒険者

職業:剣戦士

状態:疲労(中度)空腹(軽度)


種族LV17

職業LV:戦士LV12 剣戦士LV7


HP:152/178

MP:14/76


生命力:108

魔力:33

体力:68

筋力:70

知力:27

器用:56

敏捷:53

頑強:55

魔抵:18

幸運:28


装備:鉄の大剣 矢避けの鉢金 プレートメイル 革のグローブ アイアングリーブ メイス


保有スキル

剣戦闘 鎧戦闘 武器戦闘 直感 忍耐

スマッシュ ダブルスラッシュ フライングブレード 



大分お疲れですね。迷宮帰りですか?

『常識』によると、太陽の位置から今朝の十時くらいだから、早朝から潜っていたんだろうか。

MP0になると気絶するから気を付けろよ、おっさん。


ていうか年下だったし。おっさん呼ばわりすまん。

でもかなり厳つい顔つきで、口元にも顎にもたっぷりと髭蓄えてんだもんよ。

おっさん呼ばわりもしかたなくね?

あれで背が低かったら間違いなくドワーフだと思ってたよ。


剣戦士ライトセイバー戦士ファイターの上位というか、派生職みたいなやつだ。

ある程度まで強くなった戦士ファイターが剣の扱いに長けると剣戦士ライトセイバーになる。

とはいえ、普通は剣を使い続けた戦士ファイターが、ある程度強くなると剣戦士ライトセイバーになるってのが一般的だ。


ちなみにLVはこの世界では認識されていない。

相手のステータスは勿論、自分のステータスを見る事ができる人間がいないんだから当然だよな。

ただ、戦えば戦うほど強くなるって認識はあるらしい。

それでもある程度年齢を経ると老いが始まり、LV=ステータスが下がるみたいだ。


大体30歳前後から衰え=所有経験値の減少が起こるらしい。

あー、女神が俺の元の年齢のままだと、あと数年で働けなくなるって言ってた意味がわかったよ。


へたすりゃこの世界に来た瞬間に所有経験値が下がり始めてたかもな。

で、向こうの世界でも大した経験なんて積んでない俺だ。短い時間で経験値が0以下になってロスト=老衰で死亡してただろうな。


ステータスは俺の方が大分上だ。

生命力が高いのは前衛職ばかり獲得しているからだろうな。


ステータスを確認できないので、『常識』の中に平均的な数値は存在していない。

だから俺の数値がどのくらい高いのかはまだわからない。

剣の他にサブウェポンまで準備してるようなベテラン冒険者が平均より弱いって事はないだろうけど、一応他の人間も確認してみよう。


統計学は偏りをなくすには2000人以上からデータを取る必要があるらしいが……。


まぁ、そんなには必要ないよな。

特に俺は『アナライズ』があるから、それで相手のステータスを確認すれば、いざ戦闘になった時に勝率が計算しやすい。


だからあと一人くらい確認しておくくらいでいいだろう。

折角だから、そこのいかにも初心者な若者を……。



名前:ユーマ・クジョウ

年齢:16歳

性別:♂

種族:人間

役職:光の勇者

職業:勇者

状態:平静


種族LV3

職業LV:勇者LV1


HP:459/459

MP:301/301


生命力:358

魔力:278

体力:190

筋力:220

知力:35

器用:205

敏捷:195

頑強:180

魔抵:500

幸運:300


装備:光の剣 革の鎧 布のズボン 革のブーツ


保有スキル

光の神の加護 英雄の資質 光魔法 剣戦闘 直感 致死予測 忍耐 精神抵抗

死後の一戦 ラッキースケベ

ダブルスラッシュ アクセル ラッシュ 英雄力解放



すごいのいたああああああぁぁぁぁぁぁぁぁああ!!!!


勇者いましたw

ユーマの名前が欧米風なのには一応理由があります。

大した理由ではないので、もし本編で再登場したらその時にでも。

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