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異世界から仕送りしています  作者: いせひこ/大沼田伊勢彦
第二章:エレノニア王国探訪記
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第15話:エルフィンリード

ストックがあるからと言って油断してたらダメですね

年度末の忙しさを忘れていました

あと、評価していただいた方、ありがとうございました

これからも頑張っていきますので、応援よろしくお願いいたします


翌日、食料を買い込んでフィクレツを出発する。

東門から出ると、南東に向かって街道が伸びている。

そのまま進むと、エレニア大森林を抜け、その先の城砦都市フェブスへと辿り着く。


エレア山地から流れる二本の大河の一本、東エレア川の下流にあり、エルフィンリードへの備えとして建設され、発展した都市だ。


日が暮れる頃、エレニア大森林の入口付近に辿り着く。

その日はそこにある村で一泊させてもらい、翌日からは街道を外れてエレニア大森林に入る。

更に日が暮れるまで歩くと、始祖ダンジョン、エルフィンリードがその姿を現す。


一周三十メートルはある巨大な古木。

一番低い位置にある枝でさえ、五メートル程の高さにあり、見上げてもその全貌を見る事はできない。

周囲の木々と絡み合っている事もあり、一体その枝はどのくらいの範囲まで広がっているのか。


上空から見てみないと、それを窺い知る事はできないだろう。


それほど巨大な木の下に居るって言うのに、しっかりと日の光が差し込んでいるのは、やはりこの木が魔力を帯びたダンジョンだからだろうか。


しかし、『常識』で知ってはいたけど、実際見るとすげぇ迫力だな。


ダンジョンの入口はその巨木の根元。

軍隊が行進できそうな広い穴が空いている。

それはもう、穴と言っても良いのかわからないけど、まぁ元々の木がでかいからな。

相対的に見れば十分『穴』だろう。


シュブニグラス迷宮はその成り立ちから、入口に人工的な手が加えられていたからあまり感じなかったけれど、この自然が創り出した風景は一種の芸術作品だよな。


見てわかる通り、エルフィンリードは森林タイプのダンジョンだ。

最初は木の根によって通路が造られたダンジョンになっているけど、少し進むと、生い茂る木や茂みによって造られた迷路へと変わる。

ダンジョンを形成する程の魔力を帯びた木々なので、シュブニグラスの壁と同じく、防御力はクソ高い。

俺のステータスでは、まだ壁を壊してショートカットするような進み方はできない。


まだ、な……。


出現するモンスターも植物系が多く、魔獣系、虫系など、いかにも森の中の迷宮といった種類のモンスターが出てくる。


そしてエルフィンリードの一番の特徴は、あちこちに自生している豊富な薬草だろう。

現代日本で言うところの漢方薬くらいの効果しかないものから、世界樹の葉的な魔法的なものまで多種多様な植物が生えている。


ここに来るまでも、傷薬の原料となる薬草や、MP回復薬を作るための茸など、有用な植物を採取して来た。

隙を見て『マジックボックス』に移しているけど、リュックの許容量を超えそうだ。


「随分と集めたわね。まだダンジョンに入ってもいないのに……」


そんな俺を半眼で見て呟くセニア。

彼女も自らのリュックに幾つかの薬草を入れているが、『錬成』が使える俺と違い、素材なら何でも、という訳ではなく、それなりの売却額になる素材だけを厳選して採取していた。

正直、俺のリュックがぱんぱんなのは、彼女が今リュックに入れているものより高額の素材を入手した際、入れ替えて捨てようとした安い素材を俺が貰い受けているからなのだけど。


まぁ、俺から言い出した事なのでその反論は大いに間違っているから、口にする事はしない。


「そう言えば、エルフィンリードを管理してるのはエルフの集落なんだっけ?」


「そう言えばそういう話を聞いた事があるわね」


野営の準備をしつつ、俺はセニアに会話を振った。

この二日で、何でもない雑談をするくらいには打ち解ける事に成功していた。

それでも、何かテーマが無いと話しかけられない程度だが。


「でも、森に入ってからも見てないな」


魔物や野獣、野盗やモンスターはここに来るまで何度か遭遇したけどな。


「私たちは南から来たからでしょう? エルフの集落はダンジョンの北側。東エレア川の近くじゃなかったかしら?」


ああ、言われて確認すれば、『常識』にあったわ。

管理と言ってもモンスターが氾濫しないように適度にダンジョンに潜るくらいしかしてないからな。

密猟って概念が無いからなぁ、この世界。

人が管理している畑や私有地の山林ならともかく、自然に自生しているものを絶滅させる勢いで採取しても、誰も文句を言わない。

根絶やしになった後に文句が出るとは思うけどな。


勿論、貴重な薬草や木の実の類なら厳重に管理されているのだけど、残念ながらというか、幸いにもというか、その手の貴重なものはエレニア大森林には存在していない。

少なくとも、その存在は確認されていない。

エルフが情報を隠蔽しているなら知らないけどな。


「それで、ダンジョンには潜るの?」


「そりゃ、ここまで来て森で一泊して帰るってのもアレだろう?」


「私は別にそれでもいいけど。素材と魔石と剥ぎ取りでそれなりに稼げたし」


それは俺も同じだ。特に俺は『キャストアストーン』と『錬成』で売却額の底上げが図れるからな。

あと薬草をすり潰して傷薬を作り、それを清涼な水と『錬成』するとヒーリングポーションが作れる。

これを更にある毒草の根(有毒)をすり潰したものに混ぜて、ヒナシ丸薬を作ると『薬師ファマシティスト』の職業を得られる。

薬系のアイテムは作った薬と他の素材で別の薬を作り、その薬と別の薬で更に別の薬を作る、という事が多い。


このような樹形図を十三段階積み重ねた先に、死者蘇生の霊薬ソーマがある。

まともに作ろうと思ったら、『錬金術師アルケミスト』と『薬師ファマシティスト』が90LV以上必要で、更に上級職の『霊薬精製師エベルス』もLV30以上必要になる。

勿論俺は職業さえ獲得できれば、作る事ができるけど。

あ、素材は別な。


そこらに転がっていた折れた木の幹をハの字型に置いて椅子代わりにし、中心に焚火を作る。

こちらでは火起こし機か火打石で枯れ木や枯れ葉に火をつけるのが普通だけど、俺は威力を弱めた『ファイアショット』を種火にした。


「魔法をそんな風に使う人は初めて見たわ」


まぁ、普通はMPが勿体無いもんなぁ。

でも寝れば回復するし、あとは寝るだけなんだから、結構合理的だと思うんだけど。


焚火を使って道中で狩ったウサギの肉を焼く。

毛を毟って簡単に捌いたウサギを串に刺しただけのものだ。

当然、俺にウサギの捌き方の知識なんて無かったけれど、そこは『常識』で補った。

ちなみに、セニアも知らなかった。


「肉がちょっと硬いな」


脂分は少なく、引き締まっているのでどちらかと言うと赤身肉に近いんだろうか。

野生の動物だとこんな感じなんだろうな。

家畜と違って満足に食べられる事も少ないだろうし。


正直セニアには色々と聞きたい事があったが、どこまでなら踏み込んでいいのかわからず、聞きあぐねていた。

一方のセニアも無言だった。

ただ彼女の方は俺と違ってコミュニケーションに難がある訳じゃなく、俺の事情を慮って敢えて聞かないでいてくれているのが伝わってくる。


炎の柔らかな灯りに照らされた、美少女の横顔とか、反則だよな……。


「じゃあまずは俺が見張りをするから、先に寝ていいよ」


「そう? ならお願いするわ」


いい頃合いになったので、俺はセニアに休むよう促した。

彼女も、ここで変に遠慮するような事は無かった。布団代わりのマントにくるまり、木に背中を預ける形で横になる。

寝袋は無いからなぁ。作れば売れるんだろうか? 作り方知らないけど。


セニアの寝方は一見すると理に適っている。

木が背中を守ってくれるし、火に照らされているから何か異変が起きたらすぐに気付ける。

けど、そこ、暑くない? 眩しいだろうし。

俺なら間違いなく、炙られている肉の気分になると思うけど……。


さて、ここでモテるための行動を取るなら、敢えてセニアを起こさず、俺が一人で見張りを行う事だろう。

けれど、それで明日の探索に支障をきたすようでは本末転倒だし、正直、セニアにモテようという気がなかった。

これはセニアが好みではないとかではない。


整った目鼻立ちに小顔のすこぶるつきの美少女。光沢を放つ金色の髪は、いかにも手触りが良さそうだ。

女性らしい起伏には乏しいものの、むしろそれが良い。

いや、誤解しないで欲しい。ロリって訳じゃない。

14歳という、確かに現代日本では犯罪ものの年齢だけど、別にそれが好みって訳じゃないんだ。

なんていうか、細長い手足に起伏の無い体。所謂、スレンダー体形が好きなんだ。

巨乳? それはそれで好みですがなにか?


何度か野営を共にしたとは言え、完全に二人きりなのは初めてだ。

村で泊まった時も、使われてないボロ小屋だったけど、周囲には人の気配を感じていた。

多分、いかにもな美少女と冴えない青年の組み合わせに、のどかな村の女性達でも危機感を覚えたんじゃないだろうか。


勿論、彼女たちの心配は杞憂に終わった訳だけど。


ちなみにこの世界、人間の『成人』は15歳からだ。

外で働く分には年齢制限は無いし、結婚なども子供が産めるなら多少幼い事は気にしない事が多い。


まぁ、あくまで大人と子供の境界線の目安だ。

児ポ法なんて無いし、子作りした相手の年齢が一桁でも、双方の合意があれば合法だ。

世間からどう見られるかは別だけどな。


つまりなんていうか。

セニアは俺を信用しすぎじゃないだろうか?


俺が変な気を起こしたらどうするつもりなのか?


敵わないから、と開き直ってるのかな?


半日歩き詰めで疲れていたのか、それとも精神的な疲労なのか。

そんな事を考えていたらいつの間にか眠っていたらしい。

ふと目を覚ますと、東の空が白み始めていた。


……六時間くらい寝てたのか……


それも背もたれも無い木の幹に腰かけたままなんて器用な体勢で。

セニアを見る。

ぐっすりと眠っているようだ。


うん、図らずもモテ男の行動を取ってしまった結果になったな。

寝てたと正直に言う選択肢もあったけど、セニアをいたずらに不安にさせる必要も無いだろう。

実際何も無かったようなんだから、セニアが目を覚ましたら、何も無かったと報告しよう。

流石に、途中で目を覚まして俺が寝ている事に気付いたのなら、起こすだろうし。

そのまま俺を休ませてくれるにしても、今度はセニアが起きている筈だ。


「どうして起こしてくれなかったの?」


朝ご飯代わりに昨日のウサギ肉の残りを齧っていたら、セニアが頬を膨らませながら訪ねてきた。

うわぁ、つつきてぇ。


「なんかセニア、いつも周囲を必要以上に警戒してたろ? 疲れてるだろうと思って」


セニアが起きるまでに考えておいた言い訳を口にする。


「…………」


自覚があったんだろう。セニアは黙ってしまった。


「何か気になる事でもあるのか? あ、俺の事なら大丈夫だぞ? 同意も得ずに女性に手を出す趣味は無いから」


「そ、そういう訳じゃないわよ!」


頬を赤く染めてセニアが怒鳴る。

うん。やっぱり冗談混じりに言えば、深刻な空気にならないですむな。


シリアスなんて耐えられねぇよ。

あと、流れでセニアに正体告白されたら面倒だ。


あくまでお前は駆け出し女性冒険者。

是非俺と別れるその時まで、帝国王女としての正体は現さないでいただきたい。


厄介ごとは無いに限る。



朝食を摂った後、いよいよエルフィンリードに入る。


入ってすぐは木の根で通路が形成されていた。

床も壁も天井も、木の根が絡み合っている。

とても硬く、平坦なその道は、まるでコンクリートの上を歩ているような安定感がある。


「なにをしているの?」


セニアが俺の後ろを歩きながら尋ねて来た。

その時俺は、右手を壁に伸ばして、手のひらをかざしていたのだから、当然の疑問だっただろう。


「ん、ちょっと試してみようと思って」


「試す?」


「赤の仁槍――フレイムランス――」


俺の手のひらから炎の槍が出現し、壁に直撃する。

爆音と炎を撒き散らし、衝撃波が空気を揺らした。

おお、眼球が歪む。

ちょっと近かったな。


もうもうとたちこめる黒煙が消えると、そこには焦げ一つ無い木の根の壁があった。


「ふむ、ダメか……」


「当たり前でしょ!? ダンジョンの壁を壊すだなんて、無理に決まってるじゃない!」


俺の呟きに反応し、セニアが叫ぶ。顔、真っ赤だぞ。肌が白いから目立つんだな。

そしてセニアは俺の言葉を勘違いしていた。

もちろん、傍目には俺が壁を魔法で壊そうとしたようにしか見えないだろう。

けど、俺が試したのは別の事だ。


ダンジョンの壁を攻撃しても、経験値が入るかどうか試したんだ。


細かく数値が見れる訳じゃないが、何かしら行動を行うと、経験値が入った感覚が今まではあった。

けれど、今回はそれが無い。


ダメージが0だったからか、元々入らないのかはわからないけど、決して壊れる事の無い物質相手に魔法を延々撃ち込み続け、経験値を稼ぐ方法は使えないって事だな。

これができれば、特定の行動を取った時に種族LVが上がると獲得できる系の職業を狙いやすくなると思ったんだが……。


そして俺はゆっくりと前に向き直る。

そこでは、モンスター登場の予兆である、魔力の噴出が起こっていた。


「! くるぞ……!」


セニアが剣を抜いて構えた。

随分とタイミングがいいけど、偶然だ。

壁や天井を攻撃したからと言って、モンスターが出現するなんて事は無い。

『常識』によると、だけどな。


ダンジョンが魔力をその体内に蓄えていて、それを用いて成長する以上、ダンジョンそのものに魔力を撃ち込めば、何かしらの反応があってもおかしくはない。


「ち、オークか……」


出現したそれ(・・)を見て俺は呟く。

ちなみにオークと言っても、昨今話題の豚の怪物じゃない。

一昔前のファンタジーでは、オークと言えば樫の木で造られたゴーレムの事だった。


樫の幹と枝が複雑に絡み合い、人型を形成している。

それが二体。俺達を前後から挟むように出現した。


漢字からわかる通り、樫は非常に硬い。その上で粘りがあり、強度も耐久性にも優れている。

そのため昔から建材に使用されている。

某文明発展ゲームでは非常に有力な生産力上昇資源であるため、これを使用できる建築学は、航海術の次に是非取りたいテクノロジーだ(レヴォリューションの場合)。


「赤の一弾――ファイアショット――」


とは言え、植物型モンスターの基本性能として、火属性に弱い。

魔法の一撃を受けたオークは、その場で派手に燃え始めた。


生木なら延焼防止材にも使われるくらい燃えにくいんだけど、モンスターのオークはダンジョンから独立して動いているせいで、乾燥してるんだよな。


「はっ!」


こいつはこれで良い。そう考えてセニアを見る。

セニアは裂帛の気合いと共にオークに向けて突きを繰り出していた。


通常の小剣であれば、ゴーレムな上、硬い樫でできたオークに対して、突きは相性が悪い。

切れ味を重視した、日本刀的な剣でも同じ。

刃の武器なら、斧や俺の持っているブロードソードのように、圧し折るタイプの武器が良い。


けど、セニアの持っている武器は魔法の武器だ。


ちなみに、『魔法の武器』と『魔法が付与された武器』は明確な違いがある。

後者はそのままだ。普通の武器にあらゆる効果の魔法を付与エンチャントしたものの事。

これに対し前者は、『魔力を帯びた』もしくは『魔力によって生成された』武器の事だ。


通常、武器による攻撃で相手にダメージを与える場合、自身の筋力+武器の物理攻撃力で産出される。

けれど魔法の武器は、共通の基本性能として、ここに自身の魔力も加算されるのだ。

例え魔力の低い人間でも、マイナスの数値はあり得ない。

つまり、どんなボンクラが使用しても、物理攻撃力が同じ武器と比べて、相手に与えるダメージが増加するというわけ。


しかもこれにより、この武器を使用した攻撃は魔法属性に変更される。

対応する相手のステータスが頑強から魔抵に代わるのだ。

そして多くの人間、モンスターは、魔抵の方が頑強より低い。


魔法防御に特化した相手には、魔力を流さず攻撃すれば良いだけだしな。


セニアが持つ小剣、夜啼き鶯に限らず、彼女の装備は全て魔法の武具だ。


堅亀の胸当ては、一見するとただの金属製の胸当てのように見える。しかしこの防具は鉄より硬く、同じ体積の木材より軽い。

虎のような俊敏さを持つ堅亀虎の甲羅を『錬成』して造られた防具で、高い物理防御力に魔法の防具のため魔法防御力もある。そして、水属性の攻撃に対しても耐性が上がる。


甲殻虫のブーツは、やはり一見するとただの革のブーツなのだが、堅亀の胸当てと同じく、硬く、軽い。

砂漠地帯に生息する、バガーと呼ばれる巨大な甲殻虫の魔物の革を『錬成』して造られた魔法の防具。熱と斬撃属性の攻撃に対して耐性が上がる。


そして薄紫花糸のグローブは、これまた一見すると革の手袋に見えるが、やはり硬くて軽く、更に柔らかいので指の動きを殆ど阻害しない。

熱帯地方に出没する、夜行性の植物型モンスター、ブリュンヒルデの繊維を糸に加工して、それを『錬成』した魔法の防具。器用の上昇に加え、スキル使用時の消費MPが減少するという効果もある。


星の首飾りはそのまま、星の(・・)首飾りだ。

文字通り星、つまり太陽を使い神が精製したと言われる逸品だ。

魔法の道具どころの話じゃねぇな。

流石に神製の道具は、俺の『アナライズ』じゃ詳しいステータスは見れなかった。


セニアの一撃でオークが崩れ、消滅する。


ダンジョンのモンスターは多くが耐久力に優れている。

狭いダンジョンで素早く飛び回っても、その特性を活かせないし、殺られる(ハック)前に()殺れ(スラッシュ)が基本の迷宮攻略ダンジョンアタックで、火力特化のモンスターなんてカモでしかない。

勿論、油断して『事故』に遭う可能性はあるけど。


そんな高い耐久力を持つダンジョンのモンスターを相手に一撃か。

オークの中心を貫いていたが、人型とは言え、通常の人間や生物のように、部位狙いでダメージの上昇が望める訳じゃないからなぁ。

セニアのステータスを考慮すると、あの武器、相当な威力だぞ。



夜啼き鶯:[分類]近接武器

     [種類]小剣

     [属性]突き・斬撃

     [備考]魔法の武器

     [性能]物理攻撃力108・重量4

     突き属性の攻撃時、与ダメージ20%増加

     [固有性能]夜啼き鶯の献身

     対象の傷、病巣、欠損部位をこの武器で攻撃した時、対象の病状を治療する



おお、なんとチートな……。

攻撃力ブロードソードの五倍かよ……。


俺は多少呆れつつも、燃え尽きたオークから魔石を回収する。


オークの魔石は10デューだ。

ガルツの中心にあるシュブニグラスと違って、エルフィンリードは街から少し距離があるし、ダンジョンの場所も森の奥。

道が知られているとは言え、やはり道中、平原と比べれば森林は危険が多い。

その分、魔石の売却価格も高くなるんだ。


「ところで、どうしてオークが出現した時舌打ちしたの?」


「……魔法が使えるとは言え、通常の武器だと相性が悪いから、面倒だと思って」


「ふぅん」


それ以上はセニアも追及してこなかった。

俺のメインウェポンは弓。つまり突き属性なので、納得してくれたのだろう。


本当の理由は言える訳がないし、言わなければ彼女も気づかないだろう。

エルフィンリードに出現するモンスターの中で、俺が出現を期待しているモンスターが居る。


ヒトトリクサというモンスターで、その名の通り人を捕らえて生命力を吸い取り、自身の養分とする。

そう、このモンスターは人を捕まえるんだ。

蔦で、絡めとって。


気が強く、気品溢れる、金髪美人王女を。

しょくしゅが。

絡めとるんだ。


期待するだろ。男として。

何にとは具体的には言わないし、実際にはすぐに助けるけどさ。



次回から本格的なダンジョン探索に入ります


オークと言えば樫の木のパペットゴーレム。剣の世界では常識です


触手モンスターVS姫騎士

オークが豚でない以上、こっちは期待したいですね

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― 新着の感想 ―
[気になる点] 説明が多すぎてつらい。普通ならだれかとの会話の中で得られる知識も『常識』で保管されてしまうので主人公の脳内でつらつらと述べられる。戦闘以外の『常識』はコミュニケーションの中で得てほしか…
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