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第108話:ドラゴンの武具

ある意味前回までのリザルト回と、新章導入部です。


神の揺り籠から戻った俺達は、一週間ほどダラダラ過ごして、その後にルードルイへ赴く事になった。


家でダラダラしていたのは、まぁ、あれだ。

サラとミカエル以外は置いていったから、彼女達の機嫌を取る必要があったんだよ。


立花たちばながいたからサラとミカエルともしていない、って言い訳したら、二人もモニカ達に味方して墓穴を掘るはめになってしまった。


「もう少し声を抑えて貰えませんか?」


朝に立花と顔を合わせたらそんな事を言われた。

これが顔を赤らめて目を逸らしていたりしたら可愛かったんだが、真顔で抑揚のない口調だったからな。


冷静なのか冷静なのを装っていたのかはわからないけれど。


俺が皆の相手をしている間、立花はノーラと共にシュブニグラス迷宮に潜っていた。

ドラゴンとの戦いで苦戦しただけじゃなくて、サンライトドラゴンやその上の龍王オーロロヴァイン相手だと完全に力不足だったからだろうな。


彼女がこの世界に留まった理由が、自分を召喚した相手と会ってその事情を聞く事だ。

解決するかどうかはともかく、もしもオーロロヴァイン級の相手を倒して欲しいって事情だった場合に備えてるってところだろうか。


勇者ヒーロー』ってその特性で他の職業獲得しにくくなってるらしいし、成長も遅いらしいけど、特殊な獲得条件を持つ職業だとどうなんだろうな。

捕食者プレデター』とか『捕食者プレデター』とか『捕食者プレデター』とか。


まぁ、プレデターが出現するのが例のダンジョンしか知らないからまたあそこに行く事になる訳だけど……。

あ、でも立花と出会ったのあのダンジョンだし、Gを怖がらない性格なのかな?


「そろそろ元の生活に戻るぞ」


そして爛れた生活を続ける事一週間、全員の攻勢が帰宅した当時より緩んだところを見計らって俺がそう宣言した。


いや、真面目に嬉しいし楽しいんだけどね、みんなとイチャイチャするの。

実年齢こそあれだけど、肉体は健全な若い男性な訳だし。

一晩に複数回とか、複数人を同時にってのは、男性として憧れというかロマンみたいなものを体現してる訳だしね。


でも、まぁ、ね。


ほら、母さんの依頼で俺は真人間にならないといけない訳だからさ。

この世界で愛人を持つのが甲斐性だったとしても、その女性達とひたすら仲良くするのが真人間だとは言えないじゃん?


「そうね、ここらで一度溜めるのもいいかもね」


モニカは賛同してくれたが、その言い方に不吉なものを感じるな。


「わたくしとしても、一度に多くこなすより、コンスタントにしていただいた方が当たりやすいと思いますので、異論はありませんわ」


そしてカタリナはカタリナで打算的だ。


「皆様とご一緒するのもいいですけれど、一対一でじっくりと愛されるのがやはり一番ですね」


この面子でエレンが一番の救いになるとかそうそうないぞ。


「それで、タクマ君。元の生活に戻るのはいいけれど、何かするのかい?」


「何かって?」


「いや、生活費は畑の野菜とシュブニグラス迷宮の戦果、それを元にして製造したアイテムの売買で十分だし、仕送り分もある程度余裕があるだろう?」


ああ、つまりいつも通りに過ごすのはいいけれど、何か特別な行動を起こすのか? って事な。

ほんと、生産の基盤が整うと、これだけのチートがあれば金稼ぐのって楽だわー。

この世界に来たばかりのこれで、10デュー、20デューの差に一喜一憂していたのが嘘みたいだ。


まぁ、これも皆がいてくれたお陰でもあるんだけどな。

俺一人だと日々の生活の糧を得るのは皆に任せて気ままにダンジョン探索、なんてできなかっただろうし。

というか、一人だけだと限界まで怠けるのは前科があるしな。


まぁ、一人で日銭を稼ぎながら仕送り分を地道に貯めるって生活も悪くはないと思うけど。

絶対途中で飽きるわ。


経営、運営系のゲームでも、軌道に乗るまでの試行錯誤が楽しいってそれ一番言われてるから。

街開発系ゲームで、開発しきった街にあえて隕石降らせたり怪獣呼んだりして壊すのってこの感覚のせいよね。


さておき。


「とりあえず、テテスの所へ行って色々装備の新調かな? ドラゴンの素材使った防具もできてるだろうし」


「そう言えば、そんにゃはにゃしをしていたね」


自分の装備を依頼しに行った時の事を思い出したのか、ノーラが頷いている。


「この間貰った鱗は、流石のテテスでも手に余るだろうからな。あとは火竜の全身鎧を修理できるかどうか聞いてみる感じか」


「わかった、じゃあ準備するね」


ミカエルがそう言うと、全員が自室へ向かい始める。


「え? 全員行くつもりか?」


「「「え?」」」


疑問に疑問が返って来た。


「ちょっと行って戻ってくるだけだし、別にそんな……」


「なんか、貴方の場合そのまま何かのトラブルに巻き込まれて暫く帰ってこなさそうなのよね」


モニカの言葉に全員が頷く。

それに関しては俺も言い訳ができない。

『テレポート』で事情説明のために少しくらいは戻って来れるだろうけど、またすぐに出発しちゃうだろうしなぁ。


「それで結局連れていけるのはすぐに準備できる人だけでしょ? だったら最初から準備してついていった方がいいじゃない」


ねぇ? と周囲に確認を取ると、全員が同意したように頷いた。


「わかったよ、全員連れて行くから準備してこい」


今回ばかりは俺も折れた。

神の揺り籠から戻って来てすぐ、また数日家を空ける、となると彼女達に悪い気がするからな。


とは言え、全員で動くとなると、それはそれで凄いフラグ臭がするんだよな。


何も無ければいいけど(フラグ)。




と言う訳で準備を終えて『テレポート』でルードルイへ。

サラ、カタリナ、ミカエルにモニカとエレンだけじゃなく、ノーラと立花までついてきた。

ノーラの家族には畑は危険だから触らないようにだけ伝えておいた。

それは彼らも良く知っているから大丈夫だろう。


そう言えば家の周りからポツポツ獣人の難民テントが減り始めてるな。

帝国との戦争が終わって、土地を割譲されたらしいから、そこの開発に回されるようになったんだろう。


逃亡元のラングノニア王国から凄い抗議とか来てそうだけど、まぁそれは俺が気にする事じゃないか。


「また随分と大所帯だね。とりあえずドラゴンの装備は一式造ってみたよ」


俺達を出迎えたテテスは呆れたような表情を浮かべた。


ドラゴンの素材で作られたのは胸と腹を覆う鎧と腰当、脚甲に篭手、兜と盾だ。

フル装備したサラはかなりの迫力。背が低い事がギャップになって逆に強そうに見えた。


「どうだ?」


「少し重いです。これではいざという時に間に合わないかもしれません」


何にかは聞かなくてもわかる。


「けど、間に合った時に自分も無事なら、もう一回守れるぞ」


「なるほど、そうですね」


まぁ俺としてはサラは避けるタイプの前衛になって欲しいんだけど、ビルドがもうそっち向きじゃなくなってるからなぁ。

殴られる前提で戦術を考えるのは心臓に悪いからな。


「あとはこのドラゴンランスだね。今持ってるウーズスタンみたいに特殊な効果は無いけれど、純粋に強いよ。丈夫だし」


ドワーフであるためヒトより身長がやや低いとはいえ、自分の身の丈を越える長さの槍を持って、ややよたつくテテス。

おい、『筋力』低いんだから無理すんな。


「……なるほど」


それを受け取り、軽々と振り回すサラ。


「こちらもやや重いですね。手数が減りそうです」


基本はそっちで、ウーズスタンの『強酸』が必要な相手には持ち替える形にするのがいいのかな?

カタリナ辺りに持たせて中距離攻撃できるようにするのも面白そうだけど。


「あとはドラゴンの皮で作った服だね。伸縮性に乏しいから実際皆が使うなら採寸からやり直しだけど」



テテスの竜皮の服:【分類】防具

     【種類】服

     【耐性】斬〇突○打〇火〇熱〇氷○水△風△土△石△雷△光△闇△

     物理防御力45

     魔法防御力42

     重量3



耐性優秀過ぎだろ。

前にモニカが着てた、堅亀の胸当てより強い服ってなんだよ。


「でも伸縮性に乏しいとすると、動きを阻害するんじゃないのかい?」


「袖無しにしたら問題無いから大丈夫」


ミカエルの疑問にテテスが応える。

あー、それで『テテスの』ってついてんのか。

見た目ランニングシャツだもんな。


「じゃあそれを全員分かな。肌の上に直接着るようにすれば他の装備と重複させられるだろうし」


「はい、毎度」


「それとドラゴン装備も一式くれ。サラ用でな。モニカ、ミカエル、盾はどうする?」


「私の戦闘スタイルにはちょっと重過ぎるわね」


「ボクは折角だし貰っておこうかな」


「じゃあ盾をもう二つ」


「二つ?」


「カタリナに持たせる」


「わたくしですか?」


「基本的に片手は空くだろ? 防御は固めておいて損は無いさ」


カタリナの『筋力』なら問題無く扱えるだろうし、モニカみたいに機動力を重視する訳じゃないからな。


「かしこまりました」


「あ、じゃあ先輩、私の分もいいですか?」


「立花、いいのか?」


「私の錫杖も片手で扱えますし、そもそも出し入れ自由ですからね」


「わかった、じゃあテテス、三つで」


「わかったよ、持ち手の部分は調整したいから、そっちは暫くあとになるよ」


「ああ、構わないよ」


実際は、そこまで拘って使う訳じゃないから、多少握りに違和感があっても問題無いと思うが、こういう時の職人には逆らわない方がいい。


「それと、武器は槍だけか?」


「剣や斧も作れるけれど、片手で扱うには重いよ?」


テテスは得意なのが防具や装飾品だからな。ウーズスタンみたいなギミック武器以外は、基本的に普通の武器しか作れないんだよな、


俺が無言でモニカとミカエルを見ると、二人共首を横に振った。


「じゃあそれはナシでいいや。それと、お前って火竜装備修理できたりする?」


「え? まぁ素材があればできるよ」


「じゃあそれも頼むよ」


なんかコイツに任せたら性能の上昇だけでなく、妙な特性もつきそうだけど。


「わざわざ素材獲ってきたのかい? まぁドラゴン一頭丸ごと納品するくらいだから、もう君が何をしようと驚かないけどさ」


苦笑いを浮かべるテテスの前に、俺は『マジックボックス』から龍王の鱗を取り出す。


「これ加工できる?」


「驚かないって言ったそばから、上限を更新するのやめてもらえるかい?」


どうやら一目で普通の素材でない事は見抜いたようだった。


「うー……ん、やってみないとわからないけれど、ちょっと自信が無いなぁ。失敗してもいいって言うならやってみるけど……」


「うーん……」


言ってしまえば棚ボタで手に入れた素材だから、無いものとして扱う分には問題無いんだよな。

ただ、無くなってしまうのはそれはそれで勿体無い気がする。


「変に罪悪感持たれても困るからやめとくわ」


「そうだね、それが賢明だね」


やっぱり自信が無かったんだろう、そう言うテテスの表情は明らかにほっとしていた。


「それじゃ、例えば、これを加工できそうな奴って知らない?」


「できるとしたらドワーフだろうね。オレみたいなはぐれを探すのは大変だろうから、ドワーフの職人が集まってるところへ行くのがいいかな?」


「それってどこだ?」


「ロドニア王国だよ」


どうやら、次の行き先が決まったらしかった。


という訳で次の目的地が決定しました。

章題からもわかる通り、いよいよ外国へ行きます。

まぁ神の揺り籠も外国みたいなもんでしたが。

あ、言葉に関してはタクマは言語チートによる自動翻訳があるので大丈夫です。

ノーラとサラ達が普通にコミュニケーション取れてる状況で今更ですが。

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