閑話:彼女の話
彼らは突然やってきた。
私が子供達と平和に暮らしているところへ。
突然にやってきて、私を好き勝手に蹂躙し始めた。
彼らは争っていた。
誰が一番偉いのかを、言い争っていた。
直接手を出す事はできないのだという。
それは世界が終わってしまうから。
知らない。
そんな事は知らない。
そんな世界は滅べばいいと思う。
私が子供達と穏やかに過ごしているところへ突然やってきて。
好き勝手放題に振舞う彼らが欠けてしまうと壊れる世界なんて。
勝手に壊れてしまえと思う。
子供達が私のそんな思いをくみ取ってくれたのか。
あるいはくみ取ってしまったのか。
彼らの連れてきた子供と争い始めた。
彼らの子供は弱い。
そして愚かだ。
けれど、彼らは子供に対して甘かった。
故に、彼らの子供は愚かだったのだろう。
自分達がどこに生きているかも知らないで。
自分達が何故生きているかも知らないで。
私と子供達を、彼らの力を借りて、彼らと同じように蹂躙し始めた。
まるで最初からここにいたかのように振舞い。
子供達を排除し始めた。
私は嘆き、悲しんだ。
子供達の悲鳴が聞こえる。
私の痛みなんて、子供達のそれに比べれば微々たるものだ。
子供達の声が聞こえる。
けれど私からは何もできない。
私にできる事は子供達を産み出し、見守る事だけ。
彼らのように子供を守る事も、子供の代わりに争う事もできない。
彼らは私を使って、彼らの王を決めようと言い出した。
子供同士を争わせて、一番強かった子供の親を王にしようと言い出した。
理解ができない。
子供達をわざと争わせるなんて、理解が及ばない。
私は子供達を守りたかった。
けれど私からは何もできない。
それでもなんとかしたかった。
子供達を救いたかった。
そんな時に生まれた私の新しい子供が、彼らの仲間だと思われた。
理由はわからない。
けれどその子供は、他の子どもと違って私を理解できるようだった。
私の声を聴き、私と話せるようだった。
その子は彼らの中に溶け込み、彼らの子供の争いにルールを作らせた。
彼らの子供が多く住んでいる場所に囲いを作り、その中で争うように決めさせた。
彼らの子供は私の子供に比べて弱かった。
彼らの力を借りなくては、一方的に殺されてしまうくらいに弱かった。
その子は私の子供達を囲いの外に出した。
彼らの子供と混じってしまった私の子供は、彼らに彼らの子供だと思われてしまった。
その子は混じってしまった子供達を隠した。
彼らは激怒したが、その隠した子供達を見つけて殺せば、彼らの子供が強くなれると言い包めた。
彼らは突然やってきた。
突然やって来て、私と私の子供達を蹂躙した。
自分達の王を決めるために、自分達の子供を争わせるようになった。
そのルールを作ったのが、誰かも知らずに。
彼らは今も、争いを続けている。




