第101話:異世界からの帰還
クラス召喚された彼らが帰還します。
若干、世界に関する情報も語られます。
フェルディアルが出現すると、学生たちは呆けたような表情で彼女を見た。
まぁ、異世界にやって来たとは言え、基本的に校舎内で過ごしていただけらしいからな。
神秘的で幻想的な雰囲気を纏った、超人的な美人が出現したら、そりゃ心を奪われても仕方ないよな。
「我が使徒、タクマよ。何故私を呼び出したのか」
鈴の音のような声で、しかし厳かな口調でもって、フェルディアルは俺に尋ねる。
全部わかっているだろうに。雰囲気作りってやつか。
「はい。我が主のお力をお貸しいただきたく、お呼び出しさせていただきました」
付き合ってやるか。その方が、学生達も理解しやすいだろうし。
俺は膝を折って、頭を下げる。
それを見て、立花とユーマ君が慌ててその場に跪き、学生たちが後に続く。
サラとミカエルは、フェルディアルが出現した時、既に跪いていた。
「ここに居る者達は、この世界の者ではありません。また、自らの意思でこちらの世界へ渡って来た訳でもありません。この哀れな迷子を導いてやってはくださいませんか?」
「成る程、事情はわかりました。可能不可能であれば、彼らを元の世界に還す事は可能です」
学生達の一部が顔を上げる。驚いている者と、喜んでいる者で半々ってところか。
「しかし、今のままでは私の力を使っても、彼らをただ還す事しかできません」
「と言いますと?」
「こちらの世界に来てから過ごしたのと同じ時間が、向こうでも経過しているという事です」
ざわつく学生達。まぁ、当然か。
確かこっちに来て三ヶ月とか言ってたもんな。それだけの時間行方不明になっていたとしたら、元の世界では大きな事件になっているだろう。
間違いなく、元の世界に戻ったら、警察なんかに事情聴取されるだろうな。
全員で口裏を合わせて記憶に無い、と言い続けても、黙っている事が苦痛な人間もいるだろうし。
ポロっと親しい人間に零してしまう奴だって居るかもしれない。
へたをすると、事件の被害者じゃなくて、加害者だと疑われる可能性だってある。
実際、五人死んでる訳だし。
そこまで深く考えなかったとしても、彼らが通っている高校は、俺が通っていた頃と変わっていないなら、県内でも有数の進学校だ。
三ヶ月、学業に従事していなかった事が、どれだけの悪影響を与えるか、危惧して当然だろう。
「今のままでは、という事は、彼らがこの世界に来たばかりの時間に、戻せるという事でしょうか?」
不安のままでいさせると、暴発する奴が出て来るかもしれないからな。
ここは話を進めよう。フェルディアルの言葉が真実であるかどうかを確認する術は俺にはないが、彼女の目的はわかっている訳だしな。
「流石は我が使徒です。私と魂の繋がりを強めれば、私の力を効率良く受け取る事ができるようになります」
そうですね……と暫くフェルディアルは考え込み、
「その者達がこちらの世界に飛ばされてから、一時間経過した世界に戻す事が可能です」
「おお……」
今度は歓喜の呟きが多く漏れた。
「私の洗礼を受ける事で、魂が深く繋がる事ができます。勿論、強制はいたしません。洗礼を受けないからと行って、帰れない訳ではありません」
なんて言っても、拒否する奴なんていないだろうなぁ。
だって還るのは全員一緒でも、自分だけ三カ月後の世界に戻される、とか嫌だろう。
「あの、女神様……」
そこで、立花が声を上げた。
学生達だけでなく、ユーマ君までもが驚いた表情を浮かべる。
ほんと、こいつ肝座ってんな。
「亡くなった人間を、元の時間に戻す事は可能でしょうか?」
なるほど、そう来たか。
魂が輪廻の輪に入ってしまったら蘇生は不可能、というのは立花も知っている。
けれど、フェルディアルは時空の女神だ。
蘇らせるのではなく、時間を戻すのなら可能かもしれない、と考えたんだな。
「ただ亡くなっただけなら可能です」
「……では魂が輪廻の輪に入ってしまったり、他の神に吸収されてしまった場合は……」
「残念ですが、私の力でもそれは不可能です」
実際のところはわからないけれど、一応筋は通っている。納得せざるを得ないな。
「では、私を半日前の世界に連れて行っていただく事は可能でしょうか!?」
「半日前に?」
あ、こいつユーマ君を止めるつもりか?
「例えばの話だが、勇者ユーマ」
「なんでしょう? 神の使徒」
俺の呼び掛けがいつもと違った事を察し、咄嗟に合わせてくれるユーマ君。
「今回の事情を彼女から説明されたとして、君は他の勇者への懲罰を止めるか?」
「止めないな。理由が無い。ボクも事情を知っていれば別だが、半日前のボクが彼女から言われて、それを信じるとは思えない」
「あなたを止める必要は無いわ。あなたは鮒田君に負けるのだから」
「!?」
若干、立花の物言いが挑発的になったのは、ユーマ君の、ある意味で異常とも言える独善性に嫌悪感を抱いたのかもしれない。
確かに、ユーマ君は寛容の勇者の【固有技能】に完全にハマってたからな。
成る程、立花が止めようとしてるのは、俺と鮒田達か。
俺がユーマ君にかかった状態異常を解除しなければ、彼らはユーマ君に殺されないし、かと言って、そのまま放っておけばユーマ君が殺されてしまう。
「けれどそれは上手く行くのか? 俺と彼らの両方を止めるって事は、お前が分身しないといけないだろう? その状態で、彼らを止められるのか?」
「使徒様の方なら、過去の私に事情を話せば、過去の私の朧月に情報が伝わるわ」
ああ、そういう能力だったな。
「どのみち不可能ですよ」
しかし、立花の考えを否定したのは、誰あろうフェルディアルだった。
「そもそもこれは、貴方達を元の世界に還すのが、異世界に飛ばされてから一時間後、に繋がる話なのですが、同じ魂が近くに存在すると、ハウリングを起こしてしまいます」
「ああ、タイムパラドックス」
過去の自分と出会うと、過去の自分か自分自身、あるいはその両方が消滅する、というあれだろうか。
「ええ、ならばあとはわかりますね。共振を起こした魂はそのまま崩壊してしまい、貴方は輪廻の輪にさえ入れなくなってしまいます」
「そうですか……」
ある程度、自分が被害を被る事は許容するらしい立花だが、これまで話した限りだと、それは自己犠牲というより、苦労を背負い込む事を苦に思わない程度のものみたいだからな。
他人を救うために自分の命が必要なら、彼女は他人を見捨てる人間だ。
勿論、それが普通の事だし、普通なら、他人のために要らない苦労を背負い込む事さえ嫌な筈だから、そういう意味で、彼女は普通の人間より素晴らしい心根の持ち主だとは思うけれどな。
「その消滅はすぐに起きるものですか?」
「程度にもよりますが、長くて十数分でしょう」
「では、鮒田君達を止める事はできませんね……」
そうか、彼女が危惧したのはそこか。過去の自分に会って事情を伝えたとしても、同じ魂の持ち主が消滅、つまり、今の自分と過去の自分の両方が消滅してしまうなら、ユーマ君を殺そうとしている鮒田達を止める人間も居なくなるもんな。
嫌悪感を抱いたらしいユーマ君もきちんと救おうとしている辺り、公平なのか、それとも、所謂命の選別に無頓着なのか。
「光の勇者さん」
「なんだろう?」
「貴方が殺した五人を生かすために、犠牲になるつもりはありますか?」
「ないよ」
尋ねる立花に即答するユーマ君。
なんか、二人の間に火花が散っている気がするな。
ある程度立花から事情を説明されていた学生達も、実際に『殺した』という単語を聞いて、ユーマ君を恐怖の眼差しで見るようになった。
「では仕方ありません、女神様、先程の提案は無かった事にしてください」
ああ、自分の命は犠牲にできても、他人の命を勝手に犠牲にするのは憚られるのか。
ていうか、やっぱりこいつ、全ての命を平等に扱っているだろ。
一見すると素晴らしい事みたいだけど、けれど異常だ。
誰だって、よく知らない他人より、自分や自分の大切な人の命の方が大事なのは当たり前だ。
けど彼女は、自分の命も、他人の命も、全て一個の命と考えているようだ。
立花とユーマ君の二人が犠牲になっても、五人が助かれば三人分得、とか思っていそうだな。
その自分の考えを他人に強要しない分、ユーマ君よりはマシなのかな?
「それでは皆さん、これから洗礼を与えます。魔方陣の中へ進んでください」
フェルディアルに言われて、まず一歩を踏み出したのは立花だ。
躊躇していた学生達も、それを見てぱらぱら、と魔方陣の中に入り始める。
女子の方が積極的なのは、女性は強いって事なのか、立花の求心力なのかはわからないな。
「ところでユーマ君、なんでここに?」
学生たちが洗礼を受けている間、俺はユーマ君に話しかけた。
「光の神から神託を受けまして」
「ふーん、ところで、ここってなんだと思う?」
「神の揺り籠の外側ですよね?」
「それはそうなんだけどな、立花の話だと、ここに出るモンスターはジャイアントキャタピラーとからしいいんだ」
「割とポピュラーなモンスターですよな?」
「けれど、話を聞く限り、外観が俺達の知ってるジャイアントキャタピラーとは大分違うらしい」
「はあ……」
あまりピンときてないみたいだな。
「『致死予測』で確認した名前だから、間違ってはいないんだろう。俺も、相手の情報を読み取るスキルを持っているから後で見てみるけど、もしも、ここに出現するジャイアントキャタピラーが本来の姿なのだとしたら?」
「どういう事ですか?」
「この荒廃した台地こそが、この世界の本当の姿かもしれないって事さ」
「え!?」
それはまさしく、ウェルズ山脈が神の揺り籠だった証拠になる。
人が生きていくには過酷過ぎる環境を、神の力で改善。その力が及ぶ範囲を、神の揺り籠で囲ったのだとしたら?
それだけなら神の慈悲で済む話なんだが……。
「神は信仰心を集めて自分の力にする」
「はい……」
「今は光の神の元に秩序が保たれているけど、他の神の力が上がると、そのバランスが崩れる、だっけ?」
「はい……」
「つまり神の揺り籠の東側は、神が造った、陣取り合戦の盤上だと……」
「タクマさん!」
俺の言葉を遮り、ユーマ君が大声を上げる。
「あくまで想像だ。いや、妄想の類だよ。陰謀論、好きだったんでな」
「……悪趣味です」
冗談めかして言うと、ユーマ君は俺を睨みつけながら、溜息を吐いた。
けど、フェルディアルが自分の力を高めるために、わざわざ異世界に教団を創ったのは事実みたいだし、ひょっとしたら本当に、主神の座でも巡って争っているのかもしれない。
年がら年中ではなくて、大統領選挙みたいに、何年かに一度、信仰心を比べて、トップを競う大会みたいなのがあっても不思議じゃないよな。
「女神様、お願いがあります」
全員の洗礼が終わった時、立花が再び声を上げた。
「なんでしょう?」
「私はこのままこの世界に残ります」
「え!?」
立花のその宣言に、驚きの声を漏らしたのは、彼女の級友だった。
「私達はこの世界に飛ばされてきました。事故にせよ、故意にせよ、それはつまり、私達をこちらに呼び出した相手が居るはずです」
まぁ、確かにその通りだよな。
けど、その原因を突き止めてどうするつもりだ?
「事故にせよ故意にせよ、私達のような存在を呼ばなければならなかった事情が存在する筈。善い事であるなら、私達の呼び出しに失敗して困っている筈です。悪い事であるなら、私達のような被害者が二度と出ないようにする必要があります」
「い、委員長がそれをする必要はないんじゃない?」
「そ、そうだよ、そこの勇者とか、使徒? とかに任せようよ」
「駄目よ。これは私達の問題だわ。それに、使徒様はここまで助けて貰ってこれ以上迷惑はかけられないし、勇者様はお忙しいようだから、同じく迷惑はかけられないわ」
どうも、ユーマ君には棘があるなぁ。
「それで頼みとは、この世界に残る事の許可でしょうか?」
「いいえ、女神様。勝手な話ではありますが、私の問題が解決したのち、これから皆が戻る時間に、私も戻していただきたいのです」
「構いませんが、貴方の主観時間は進んだままですよ?」
「構いません」
言い切ったな。それはそれで別の問題が発生しないか?
つまり、立花達がこちらの世界にやって来てから、一時間後の元の世界に戻れるけれど、こっちで過ごした分は立花は経験したままって事だろ?
彼女達を呼び出した人間(人間かどうかわからないが)との問題を解決するまでに五年かかったとしたら、立花は五歳年取った状態で、元の世界に還るって事だよな。
「それ、親とか大丈夫なのか?」
思わず尋ねてしまった。
確か彼女は高校二年生。つまり17歳くらいだ。
17歳と22歳だと、外見に大分差がつくんじゃないだろうか。
「大丈夫です」
言い切られてしまうと、それ以上何も言えないな。
「わかりました。貴方が望むなら、そのようにいたしましょう」
「ありがとうございます」
本人達が納得している以上、これ以上は口を挟めない。
彼女のクラスメート達も、彼女の性格をわかっているのか、それ以上は何も言わなかった。
「ユキやメグに家に来て貰って、何事もなく過ごして貰えれば、親も気にしないわよ」
本気か冗談か、クラスメートにそんな声をかけている。
「それではこれより、皆さまを元の世界へとお戻しいたします。魂の加護も無くなりますし、勇者として覚醒する事もないでしょうが、何かお困りの事がありましたら、お近くの『天の盃』事務所をお訪ねください」
フェルディアルがそうやって締めようとしているし、学生達は帰れる事で期待が昂ぶっているので俺は敢えて言わないが、まぁ、向こうの世界に戻ったら、困った事が発生するだろうな。
ユーマ君に殺された五人の事を、どうやって説明するつもりだよ。
それを相談して、教団が協力する事で、信者を向こうで集めるつもりなのかな?
あざといっつーか、抜け目ないっつーか。
そして魔方陣が輝くと、光が学生達を包み込む。
眩い光が消えたそこには、フェルディアルと、立花だけが残されていた。
「それで、立花、これからどうするつもりだ?」
「とりあえず周辺の調査ですね。これまでは皆の安全を確保する事が最優先で、あまり遠くを探索できませんでしたので」
「それではオトメさん、タクマさんのところでお世話になったらいかがですか?」
「「「「え?」」」」
俺と立花だけでなく、サラとミカエルも声を上げる。
「私は時空の女神。時間と空間を司る神です。私の力はきっと貴女の役に立つでしょう。タクマさんは私の使徒であり、定期的に連絡を取る約束をしています」
なんでフェルディアルがこんなに薦めるんだろう。
信仰心はもう集めた訳だし、サポートをするなら、元の世界に戻った他の生徒の方だよな。
「それに、この世界の事を何も知らないまま探索するより、この世界の事も、貴女の事情も知っているタクマさんに協力して貰った方が捗るでしょう」
「それはその通りだと思いますが、話で聞いた限りだと、タクマさんの拠点からこの辺りは遠いのではないですか?」
そうだよな。この周辺を探索するなら、ウチを拠点にするのは非効率的だ。
「言ってしまえば、この辺りに貴女をこちらの世界に呼びだした存在は居ないでしょう」
「え?」
「ヒトが神の揺り籠と呼ぶかの山脈の外側は、ヒトは勿論、神さえも見捨てた土地。そのような場所に召喚魔法などという超高度技術を有した存在はいませんよ」
うーん……。言っている事は尤もなんだろうけど、なんだろうな。
そこはかとなくうさん臭さを感じる。
勇者を味方につけたいのか?
でも、加護を与えるならともかく、立花は既に別の神の勇者になっているしなぁ。
ああ、彼女がこっちで何かしらの功績を残して、彼女に加護を与えている神の信仰心が高まると困る、とか?
それなら自分の管理下に置きたい気持ちもわかるが……。
「そうですね、闇雲に探すよりはその方が良いかもしれません。勿論、タクマさんが良ければですけど」
「あー……」
さてどうするか。
色々な思惑があるんだろうけど、わざわざ俺にこうまで押し付けようとするって事は、俺をトラブルに巻き込もうとしている可能性が高いよな。
ってことはだ、ここで断っても、いずれ向こうから寄って来るんじゃないのか?
突然巻き込まれるよりは、準備ができる分マシか?
それに、この世界の事をまるで知らない立花を放置しておいて、騙されてこちらの敵に回られても困るしな。
今はまだ俺の方が強いけど、勇者である以上、あっという間に俺に追いついて、追い抜いていくだろうし。
「……まぁ、ここまで関わってしまった以上は、仕方ないか。いいよ、引き受けよう」
「ありがとうございます」
「貴方ならそう言っていただけると思っていました」
「サラ、ミカエル」
感謝は伝わって来るけど、感謝しか伝わって来ない立花と、喜びも感謝も伝わって来ないフェルディアルの言葉を聞き流し、俺は二人に向き直る。
「そういうわけだから、仲良くな。あと、そういうつもりじゃないから」
立花をハーレムに入れたつもりはないし、彼女もそのつもりはないだろう。
ノーラの時のように外堀を埋められないためにも、先に釘を刺しておかないとな。
ちなみに、ノーラの場合も、まだ陥落はしていないから、その辺り誤解しないように。
「わかっています」
「勿論、わかっているよ」
それわかってない奴の返事だろう。
後で、モニカやカタリナ辺りにちゃんと言い含めておいた方がいいな。
「それでは、私はこれにて失礼させていただきますね。皆さんが外に出られたら、この建物も戻しますので」
そう言って、フェルディアルは出現した時とは逆に、足先から地面へと消えていった。
「という訳だ、ユーマ君。今回はこれで収めて貰えるかな?」
「……まぁ、色々言いたい事はありますけど、良いでしょう。女神様の下した沙汰を、すぐに覆す訳にはいきませんから」
別の神を戴いているとは言え、その辺りは考慮してくれるか、助かる。
「けれど、再び見えた時は、神の裁きを受けていただく事になると思いますから、覚悟していてくださいね」
「ええ、そうならないよう、精進しましょう」
そんな捨て台詞を残して、ユーマ君は去って行った。
あー、緊張した。
ユーマ君がどういう行動原理で動いているかはわかっているけど、それだけに、踏み外しちゃいけないラインも見えちゃうからな。
そのラインの外に踏み出さないよう、気を付けないといけないから、緊張するんだよな。
踏み外したら、どんな言い訳をしても許してくれないから余計だ。
「図々しいお話しですが、よろしくお願いいたします」
そして立花が俺に向かって頭を下げる。
「ああ、いいよ。お前も色々大変だな」
「いえ、残る事を決めたのは私ですし」
「そもそもお前がこっちに来たのはどういう理由があろうと理不尽にには違いないんだから……まぁいいや」
多分、いや、絶対俺じゃ説得できない。
例えかつての俺であっても、そして、そんな俺を超えるハイパー俺であっても、無理だ。
だってそれは立花の根本から変える行為だからな。
大して心の篭ってない言葉で変えられる訳ねーよ。
「とりあえず帰ろう。色々疲れた」
見ると、外はもう暗い。
いっそここで一泊してフェルディアルに嫌がらせをしてやろうとも思ったけれど、折角ならちゃんとした布団で寝たいよ。
少々タクマが女神に不信感を抱いた感じでしょうか。
とは言え、彼はきちんと目的があって異世界に来ているので、女神が例え邪神だったとしても、反旗を翻したりはしない訳ですが……。




