1話ー始まりの始まりー
一人の青年はある時、自分の能力の使い方を知った
最悪の使い方を最低な状況で
「……ふは、今日も『平和』だなぁ」
「そうですねぇ、長官」
黒塗りの机に肘をつき、長官と呼ばれた黒髪の青年は笑った
傍らには茶髪の女性が楽しげに微笑んでいる
けれども、二人の笑顔も一枚の紙を見ては消えてしまった
「あー……またかな?」
「また、ですよ?最近活発ですねぇ」
その一枚の紙に書かれていたのは何人かの少年少女のことや彼らが起こした事件について
窃盗、傷害……その他もろもろ、ひどいと殺人まで書かれていた
そしてその犯行場所には必ずある書き置きがある
「『我らが正義を聞け、いつかその首をへし折って見せる』ねえ……、怖い怖い」
口では怖いというが、笑顔で楽しげな口調で紙を机に放った
その放られた紙は茶髪の女性がクスクスと笑いながら自分の手に取ろうとしたが、彼女の手に渡る前に紙は跡形もなく消えてしまう
「長官ー、一応私の書類なんですよ?むやみに消さないでください」
「いーじゃんか、どーせ梨沙や時雨はおぼえてるんでしょ?」
まあそうですけど、不服そうに梨沙と呼ばれた女性はため息を着く
そんな様子を気にも留めず、長官の青年は笑う
彼は笑顔のまま、彼女に支持を出した
「梨沙、時雨と……そうだな、龍牙あたりに次何か起こったら鎮圧するよう言っておいてー」
「わかりました、結城長官」
ここでの鎮圧はほぼ殺しを意味するのだが、やられる前にやらなくちゃと最低で最悪の長官、結城は
残酷なほど子供のように楽しげな笑みを浮かべて呟いた
この長官こと結城や梨沙、それと時雨、龍牙の名字はのちのち発覚しますが、結城に関しては作者が殴り倒したいです




